たこ(隊長作)

ショスタコーヴィチ  交響曲第4番   - 18 -  (2004年7月)
   訪問者数 ショスタコーヴィチ  交響曲第4番


 ロジェストヴェンスキー指揮 VPO
 (CINCIN CCCD 1021)(輸入盤)

  rorororororororororororororororororororororororororororororororororororororo

  【 狂気 】
  
  私は高校生時代からクラシックを聴き始めたんですが、クラシックに何を
  求めるのかで、人それぞれのクラシック街道が変わってきます。
  「崇高・壮麗」なものを求めるのか、「美」を求めるのか、
  はたまた今流行りの「癒し」を求めるのか。
  
  クラシックと十把一絡げに云いますが、様々なタイプが
  ひっくり返ってるので、クラシック・ファンと云っても様々です。
  ですから、飲み会などで意外な人がクラシックを聴くことが分かって熱心
  な会話が始まっても、その傾向が全然違ったりすると会話は醒めてゆきます。
  
  私は心掛けとしては、オールラウンドで「聴き漁る」事を大切にし、「聴かず嫌い」を
  恐れているんですが、それでも聴く気にさへならないジャンルというものがあります。
  大雑把に言えば、「甘っちょろい」作品や演奏は軽んじてしまう。
  その甘っちょろさの中にも、ヴィヴィっとなエッセンスやユーモアが
  隠されていれば別ですけど。例えばサティとかラフマニノフとかね。
  
  高校生の頃の私が、クラシックと云う大海原に追い求めたものは、「狂気」でした。
  もともと洋楽を聴いてたんですが、洋楽に限らず一般の音楽って
  一番があって、歌詞を変えた二番が続くじゃないですか。   むか(隊長作)

アレが許せなかった。
  その旋律はさっき聞いたっちゅうねん!
  なんで歌詞だけ変えて二回も三回も同じメロディを歌っとんねん?
  
  そんな頃に次から次とメロディが溢れ続けるクラシックに出会ったものだから、
  「さすがクラシックはちゃうのう」と感心してしまった。
  また、自分が探せば探すほど興趣に富んだ音楽が見つかる。
  そんな発見の毎日にすっかり嵌ってしまった。
  
  思春期の頃って、みなさんも心理学や精神医学に関心を持ったり、
  哲学に憧れたりする頃じゃ無いでしょうか?

  音楽の持つパワーが、人を酔わせ狂わせる魔力があるんじゃなかろうか?
  狂喜乱舞といいますが、そんな桁外れなパワーを持った音楽ってなかろうか?
  私はそんな楽曲を探し始めました。
  音楽の魔力に取り付かれた美少年が抱いた幻想でございました。
  
  auauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauauau   tako(隊長作)

この曲を初めて聴いた時の衝撃は恐ろしかったです。
  何が何だか全然分からん。
  狂ってる、でも、これは俺が探していたものだ。
  そんな直感に体が震えました。
  
  初期の頃からショスタコは第5番を知ってましたし、初めて買ったCDが
  「タコ8」と「マラ4」だったので、ショスタコの特異性には免疫があるつもりでした。
  ショスタコ15曲の中でも「第4番」を知ったのは後の方で、
  第13番「バビ・ヤール」や第14番「死者の歌」も既に愛聴していたので、
  第4番はあまり期待せずに聴いたんだと思います。
  
  ただ、ショスタコが演奏リハーサルまで行っておきながら、演奏直前に全楽譜を回収してまで
  公開演奏を封印した、というエピソードには心トキメイテいました。
  どれほどの音楽なんやろう?
  ショスタコが封印してまで演奏公開を恐れたのは、どんな音楽なのだ?
  
  ご存知のように、この頃のショスタコとソ連政府の関係は非常に緊迫したものがあり、
  ここで大問題作を発表しては作曲家生命どころかシベリア強制労働もありえる状況でした。
  この第4番発表を取り止めた彼は、例の第5番で華々しく
  優等生振りをアピールしてお上のご機嫌を取り結ぶ。
  しかし彼が当時本当に歌いたかった「歌」は、第4番に違いありません。
  
  この曲は、「やりたいこと全部やります」という曲です。
  普通、こんな事やったら、お客さん退屈かなぁ?とか、
  ここまでやると下品かな?とか、
  いろいろセルフコントロール(呻吟)してしまいます。
  それを敢えてやっちまったのが、この第4番です。   太鼓(隊長作)

拍手デス。
喝采デス。
  ヘヴィメタとかロックとか、体制や大人に反発した音楽がありますけど、
  あんなの目じゃない。
  だって、懸けてないもの。
  この第4番は命懸け音楽です。
  結局は土壇場でビビっちゃって、全楽譜回収に至るんですが、
  彼が書いた時点では命を懸けて書いたと思える。
  それだけに発表してたら、本当に処刑・処罰に繋がった事と思われます。
    
  さて、タコ4が素晴らしい事くらい既に御存知な読者諸兄は、
  私がどの盤を推奨するかが眼中かと思います。
  実は決定的絶対盤は未だ見つかってません。
  覇気と勢いでは、ロジェヴェン盤(3種)やコンドラシン盤ですが、
  録音や音の疵がある。
  今回ロジェヴェン&VPOを挙げましたが、実に流動的です。
  外盤ですが、タワーレコードならいつも売ってます。
  それが無いけれど、丁寧なのが玉に疵、ハイティンク盤。
  チョン・ミュンフン盤には随分期待しましたが、音がデカイだけでしょう。
  
  他にもインバルやヤルヴィ、バルシャイ、スラトキン、ロストロ、ラトル、
  など色々ありますが、楽曲は「これだ〜!」と思えるんですが、
  それを乗り越えた「演奏」が出てこない。
  「まだまだ!もっともっと!!」そんな気がいつもしてしまいます。
  音楽そのものが、そう思わせるんでしょうか。
  
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