バーンスタイン 「ウェスト・サイド・ストーリー」 - 19 - (2004年8月)
(オリジナル・ブロードウェイ・キャスト・レコーディング)
バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
(SK 60724)(輸入盤)
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【 ミュージカルとか 】
時間があったら音楽を聴いている人生だが、聴いている守備範囲はかなり狭い。
ヘビメタとかパンクスとかは全く聴かないまま人生を終わりそうだし、
最近流行りのヒップホップとかも若者があれほど熱狂的に支持しているのには
何かがあるのかもしれないのに無視している。
クラシックと云うのは、当時のあらゆる街の音楽や流行り歌を貪欲に吸収して、
それを徹底的に実験したり昇華したり、本質に辿り着いたものだけが残っているんだと思う。
だから、現代のクラシックも、現代の流行シーンに目を叛けては勿体無いし、
またそこから活かせるものは生かした方が時代を反映できるとも思う。
クラシックと云えばオペラだが、ミュージカルというのがある。
こちらは歌と踊りと耳に心地よい音楽で全編が彩られ、
オペラでもオペレッタでもない事が直ぐ分かる独特な輝きと軽さがある。
クラシックはいつまでたっても究めるという事は難しいけれど、
二十年も聴いてくると大方の作品には触れる事ができた。
が、私は若い時から本能的にこの魅惑な世界・ミュージカルは避けてきた。
高校当時、私がクラシックに狂っていた時、親友がミュージカルに狂っていた、
という事がその大きな原因のような気がする。
なんとなく、ミュージカルの方が取っ組み安そうで、
下手に手を出すとそっちに呑み込まれそうな恐怖感を抱いていたからだ。
生憎、その親友から押し付けられた「オペラ座の怪人」のテープは、
私を魅了しなかった。
ミュージカル、何するものぞ、と嘲る事で私は安心した。
ただ、どうも私の中では、ミュージカルが気になる存在として続く。
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【 CD感想 】
大学時代、いくつかのミュージカル映画をレンタルで観てみた。
その中で、圧倒的に感銘を受けてしまったのが、「ウェスト・サイド・ストーリー」だ。
この映画をリアルタイムで観た方には遠く及ばないが、私はどうも懐古趣味が強いようだ。
現代の往き過ぎた過激な世界より、60〜70年代の淡く切ない頃のテレビや映画が大好きだ。
また、「ロメオとジュリエット」の筋書きそのものが好きなので、
この映画の筋書き(ほとんど同じなのだが)も当然好きになった。
そして、何と云ってもバーンスタインの音楽、何でもありの音楽の中にみせる、
美しいバラードが痺れさせてしまった。
例えば「トゥナイト」、例えば「サムホェァ」。
こういった率直でメロメロなラブ・ソングは、クラシックではちょっとお目に掛かれない。
クラシックでは、愛とか恋とかはもう少し文学的で高尚に、
そして哲学のフィルターを使って本格的に表現している事が多い。
要するに、小難しいのだ。
しかし、我々の普通に持っている恋愛感情が、こんなに大掛かりなものではなく、
もっと直情的で簡単に噴出するお安いものが現実だ。
それは巷のポップスのほとんどがラブ・ソングで占められている事が、如実に表わしている。
当曲の中では、シンフォニック・ダンスが独立して最も有名になっている。
しかし、このミュージカル全体には無数のナンバーが散りばめられており、
その多くが傑作なる出来というんだから名作にならざるをえない。
今まで、映画そのもの、バーンスタイン自作自演の「シンフォニック・ダンス」、
そして今回の「オリジナル・ブロードウェイ・キャスト」、と3種の違演を聴いてきた。
その中で最も雰囲気が出ていたのが、当盤だ。
オケはニューヨーク・フィルのようだがチープな弦が返って効果的だし、
歌手人もオペラティックでも無く映画ほど下手でも無く。
それでいて、激しいリズムを伴ったダンス・シーンなどはイケイケなハイ・テンション。
半月ほど前に入手したのだが、すっかり「この盤は...!」と魅了されている。
下記のHPを参考にさせていただきました。
世の中、究めている方がいるもんです。
「ウエストサイドストーリー - ウエストサイドストーリー資料館」
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/9578/