プッチーニ 歌劇 「マノン・レスコー」 - 7 - (2004年4月)
シノーポリ指揮 フィルハーモニア管
フレーニ 、ブルゾン 、ドミンゴ 、リドル 他
(POCG 3494/5)国内盤
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【 隊員のオペラ遍歴 】
遍歴って言えるほどでもないんだけど...。
交響曲大好きっ子の隊員は、オペラがどうにも苦手でした。
それでいて「オペラが分からんとは可哀想に...」という哀れみの眼差しも、噴飯ものでした。
なんだとぉ、分かってやろうじゃねえの!
と踏ん張ったところで、心底から解らないと意味がありません。
オペラが好きだ、分かってるさ、と嘯(うそぶ)いても悲しくなるだけ。
隊長がオペラ大好き人間なだけに、隊員の焦りは募るばかりでした。
(1)
まずは王道のモーツァルト。
初心者はモーツァルト、って言うもんね。
私のオペラ初体験はウィーン歌劇場での「フィガロの結婚」でした。
本場でっせ。いかに私がオペラにガップリ取り組もうとしてたかが、分かるでしょ?
初めてのシュターツオーパーだったので、随分期待しましたが、
わ、解りませんでした。
CD予習もウンザリする程しましたが、美しい王子の琴線には届かなかった。
それどころか、座席(左バルコニ)からは舞台左が見えにくかったのと、
本場ウィーン聴衆の予想外のマナーの悪さにムカついて、途中退席。
あほです。
最終幕は、誰もいない歌劇場の廊下を独りブラブラ歩いてました。
案内係りが「どうしましか?トイレでもお探しですか?」なんてゼスチャーをするので、
更にムカついた。傷心の若者に構わないで!
「おもろないの!」と日本語で言ってやったものです。
いやぁ、若くて青かった。
(2)
次はロッシーニ&ヴェルディ。
ロッシーニの「チェネレントラ」は、アバドのLDで随分笑いましたが、感動とは何か違う。
「椿姫」は日本でもウィーンでも観ましたが、その時熱くなったきり。
最近とんとご無沙汰。
オペラはどうも肌にあわんなぁ、と諦めの境地。(おいおい)
当時の隊長は「オペラと言えばイタオペ」ってんで、イタオペ聴いてみましたが、
圧倒的な声自慢大会が合わなかった。
オペラが苦手な人って、こういったパターンが多いと思う。
だからいろんな歌手のCDを聴き比べたりしても、無駄でしょう。
我等「オペラ解んない党」は、新たな道を探せばいい。
もう、オペラ人間の教えを請わなくてもいい。
自分が信ずる道を探ればいいのです。
(3)
大まかな入門オペラが解らなかったあなたなら、私の気持ちが解るはず。
交響曲野郎なら、オケ第一主義で取り組めばいい。
やっぱりオペラだから、声楽もそりゃぁありますよ。
声楽なしにすると、オペラじゃ無くなる。
でも、管弦楽がドカンと陣取ったオペラを探せばいいじゃない。
私はこの発想で、ワーグナーとR・シュトラウスの楽劇管弦楽集を聴き出しました。
するとどうでしょう。
やっぱり思った通りだ。
スイスイ頭に入るし、心に染み渡る。
先にオペラ(又は楽劇)の前奏曲や間奏曲を手中にしておけば、次はオペラ抜粋集。
全く邪道なのは承知千万ですが、ジクソーパズルがサマになってゆくように
私の二人のリヒャルトは仕上がっていきました。
そして、トドメは本場でのライブ体験です。
R・シュトラウス「薔薇の騎士」はウィーンにて、ワーグナー「ラインゴールド」はケルン、
「ジークフリート」もウィーンという風に、どんどん虜になっていった。
金もどんどん掛かったが、そういう事は忘れよう。
そういう事も忘れられるくらい、オペラって毒があります。
このあと私は、プロコのオペラに進んでいくのですが、イタオペが解らないのは引け目でした。
ヒガミでした。
負け犬なのか?オレは。
なんだかんだ言っても、オペラ・オブ・オペラが解らないってのはねぇ。
男はつらいよ。いや、ほんまに。
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【 CD感想 】
あるコンサートのアンコールで、チェロ独奏から始まる美しい曲、
素晴らしく甘美な曲に出会った。
オレのイメージにぴったり!?
アンコールって、意外とマイナーで佳い曲やるんですよ。
その甘美な曲が「マノン・レスコー」の有名な間奏曲でした。
この時は、この曲が超有名曲だとさへ知らなかった。
早速我が家のCDを物色すると、カラヤンのオペラ名曲集に入ってました。
小躍りして、かなり長い間、聴いてました。
その後、隊長に聴いてみると、当曲の全曲盤があった。
いいかげんなライブラリだ。
しかし、これが我が心(別名:美しい王子のような心)の琴線を掻きまくり。
CDは2枚もので、適度な長さです。
このオペラは後半がいい。CDなら2枚目からが、特に凄いです。
聴き出しの頃は、有名な「間奏曲」がカラヤンのテンポと大いに違い、違和感あったのですが、
全曲聴き通しに慣れてくると、このドラマティック・テンポもまた味がある。
シノーポリの死が悔やまれる。
そして、ミレッラ・フレーニ。この美声は溜め息が出ますな。
今までソプラノといえば、エマ・カークビーくらいしか感心しなかったのですが、
フレーニがどうしてこのルックスで女王足り得るのか。
まさに天は二物を与えず。
誉めてるんですよ。
大絶賛ですよ。
音楽的には第4幕。
「ご覧、泣いているのは僕だよ」から、凄絶な「あなた、泣いてらしたの?」あたりが大好きです。
交響曲一辺倒の方に、是非トライして欲しい一品。
いつのまにやら、プッチーニ・ワールドが広がってゆくことでしょう。