5月4日(火) 14:00 - 20 -
堤 俊作指揮 俊友会管弦楽団 東京芸術劇場
ブルックナー 交響曲第6番(第一次原典版=ハース版)
ベートーヴェン 交響曲第1番
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【 アマオケ・ブルックナー一般概論 】
ブルックナーって、アマオケが手ぇ出す曲や無い、とツネヅネ思うんです。
それだけ「心」だけで押し通せるモノじゃないし、「心」を一つに纏め上げるのも難しい。
男が好きになる曲、女が好きになる曲、ってある程度あるのが現実。
マーラーやブルックナーは男で、チャイコやショパンが女ってのも、今だに根強い。
「わたしはブルックナー好きよ!」っていう我が隊長みたいな奇人も中にはおろうが、
そうそういるもんじゃないのも真実。
ゆえからに、学生オケなんかがブルックナーやったら、大体メッチャメチャ。
女子比率の多い高弦・木管は元気も共感も無く、
「どーして、こーもウネウネのクソ難しい指使いばかりなワケ?!」と、お冠。
「どうせ一生懸命さらったって、金管野郎がべっとり塗り潰すんだから、聴こえやしないジャン」
などと、否定できないご意見をよく聴いたもんです。
反面、男子比率は低弦・金管に多い。
どうにも聴こえてこないヴィオラくんは、その弾きっぷりからブルックナーが死ぬほど
好きなんだろうと推測は出来るんだが、どうにも聴こえてこない。
チェロ・ベースは流石にズンズンと響いてくるけど。
これは多くのアマオケ・ブルックナー演奏に共通している、金管軍団の
「ブルックナー愛してるぜ!俺達の雄叫び受け止めてくれ!」演奏の成せる業なんです。
キミタチ、どうしてそこまで吹いちゃうの?
「だってヨ、待ちに待ったブルックナーなんだヮ。ブルックナーには俺達のような
神々しくパイプオルガンみたいな吹奏が必要なんャ。」
「そのわりには、弱音での音程が...」
「うるさい!あの弱音がどれほど難しいか、ヴィオラのお前には分からんのだ。
だからこそ強音で、お詫びの意味も込めて熱く吹いとるんだ。」
「強音じゃなくて、狂音ネ。オレのヴィオラが全く掻き消されるんですけど。」
「だったら我々に負けず劣らずしっかり弾けば良い。ブルックナーは弦が
しっかり弾き込んでくれなきゃ重厚感が出てこん。」
「むむむ、随分乱暴な意見だナ。ブルックナーは弦・管・打が最良の
バランス・ハーモニーになって初めて、美しい響きが醸し出せるのに...むむむ。」
ブルックナーに限らず、チャイコやマーラーでも弦VS金管の抗争は絶えないんだよネ。
ですから私は、アマオケ・ブルックナーを敬遠しがち。
ブルックナー大好き隊なのに、今年最初のコンサートがコンニチまで訪れなかったのは、
カクなる訳があったのです。
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「春のアマオケ特集」最終弾、俊友会管です。
特集末尾を飾るに、相応しい演奏でした。
まだ本年半分も過ぎてませんが、アマオケ1・2を争うレベル。
2月のダスビダーニャ、アイノラと匹敵する技量・興奮。
前述しましたブルックナー演奏における難しさを考慮しますと、
この団がベスト・オケとさへ認めざるを得ない。
そんな裏付けは、前プロの「ベト1」で実証されました。
わたくし、何度も申しますように、あんまりベートーヴェン好きじゃない。
ですから「1番」は、かなり聴いてません。
CDはいろいろあるんですが、小馬鹿にして聴いてない。
それが、「この曲、こんなに良かったんかぁ」
と不覚にも思ったほど、いい音楽だった。
こういう感想を抱かしめるのは、指揮者・演奏者冥利に尽きるでしょう。
アマノジャクとしましては、諸手を上げての大賛辞はしたくないのですが、
次回の「ベト7」も聴きに行こうと思ってます。
すべからく、チケット代2,000円はちと高い。
昨今のアマオケ・チケットで2,000円は、ちと、いかがなものか、と。
マイナー・ホールで構わないから、代金を下げて欲しい。
大田アプリコとか文京シビックでいいじゃない。ダメなのか?
「ベト1」が良かったのでも分かるように、弦がしみじみ旨い。
特段チェロが9人全員ともうまく、撓(しな)る弓と共に体が左右に揺れ動く様は美しかった。
基礎体力が安定していると、ドイツものは気持ち良く聴けれる。
また女性ティンパニストが音色強弱を使い分け絶妙で、ベートーヴェン&
ブルックナーという男心をしっかり叩いていた。
メインのブルックナー第6番。
私の中では第5番と絶えずその地位を巡って逡巡しておりますが、第6番
の方がこじんまりとして、演奏時間も短い。
特徴的なのは、第3楽章。
私はブルックナーのスケルツォが苦手なんですが、この第6番スケルツォは最上だ。
切迫感があり、のんびりしてない。
だから3拍子が野暮ったくなく、逆にブルックナー・スケルツォらしさは薄い。
しかし後期ブルックナーに繋がる緊張感漲(みなぎ)る音楽となっている。
この楽章を聴いた辺りで、今日のコンサートは充分満足できた。
あとは音楽がどんどん終わりに向かって行く寂しさが募ってくる。
50分にも渡る音楽を、長いと感じさせない音楽も演奏も大したもんだ。
ブルックナーは「長い」と感じ出したらもう駄目で、「あと何分あるんだ?」なんて考え出したら、
眠くなってくる。
自宅で名演CDを聴いている限りでは、そういう事は無いので、
やはり演奏に大きく左右される音楽なのだろう。
俊友会の次回演奏会は、10月17日(日)北とぴあ(王子駅北口)にて。
ベト7とレ・プレなど。
あまり楽しみなプログラムではないが、このオケのベートーヴェンは聴きものだ。