2月28日(土) 18:30 - 8 -
十束尚宏指揮 慶應義塾ワグネル・ソサエティー
東京芸術劇場
マーラー 交響曲第9番
ワーグナー 「リエンツィ」序曲
ウェーバー 「魔弾の射手」序曲
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【 マーラー 】
2月はマーラーの鑑賞が3回。1番・5番・9番でした。
私が学生だった10年前では考えられない大盛況です。
私はかつて、1番と9番を演奏したんですが、恍惚としましたよ。
あまり好きでない1番でさへ、弦分奏の前日からウキウキしてた。
そして、9番はアマオケ人生最高の想い出であるほどです。
ヴィオラは特に重要な役割が随所に散りばめられており、
マーラーのヴィオラへのやさしさを噛み締めたものです。
終楽章は絶美この上なく、自分の体がマーラーの世界に
吸い込まれていくような感覚に陥り、一種の音楽的トランス状態でした。
ですから、アマオケが「マラ9」をやるって情報キャッチすると、じっとしてられませんわ。
あの時の自分の体験を味わう奴らが出るんだと考え、羨ましくて妬ましくて、
せめてお相伴にでも預かりたい。ボクも混ぜてぇ、て気持ち。
さて今回の「マラ9」は、2月最大のワクワク・コンサートでした。
大学オケと言えば、西の京大、東の早慶と言いますもんね。
しかし私は京大を2回聴いたのみで、早大は無し、慶應もOBオケのみでした。
早慶は人気も組織力もあってか、チケットの入手困難や平日演奏会などで、
なかなか機会がありませんでした。私の平日は残業残業なんですよ。
今回は「マラ9」ということで、流石にリキ入れまして、チケット・ゲット!
1月はショスタコ3回、2月はマーラー3回と偏ったコンサート・レヴューですが、
来月はマーラーもショスタコも予定に入っておりません。
両者が嫌いな読者も今しばらくのご辛抱の程、お願い申し上げます。
ちなみに3月はエルガーが2回。他はチャイコフスキーや
R・シュトラウスの「サロメ」、ニールセン他を予定しております。
え?ベートーヴェンやドヴォルザークが無いって?
4月にちゃんと聴きますって。
もう少しお待ち下さい。熱く語らしていただきます。
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N響を聴き終えた我々はCDも購入し一路、池袋へ目指しました。
今年早くも4回目となる芸劇に到着です。
この調子だと、ここに何回来る事になるんだろう。
安全なエレベータで5階に着きますと、沢山のお客さんでひしめいています。
マーラー9番も今や、人気プログラムになっているようです。
我々の席は3階でしたが、左翼の少し前の方。いつもみたいなG席とは大違いです。
当団はかなりの大所帯で、人材も豊富。
そのためでしょうが、マラ9という大曲の前に2曲も序曲がありました。
しかしウェーバーが混じってたのは残念。
ドイツ・ロマン派で繋がってるんですが、いっそマーラー「10番アダージョ」とか
R・シュトラウスの「ドン・ファン」あたりを持ってくると、
おたく心を刺激するんだが。
無理言うなって?そうすると練習配分がどんどん深刻になるもんね。
プログラミングというのは難しいもんですな。
マーラーの感想は、単刀直入に言うと「やっぱり9番は難しい」としみじみ感じました。
あのコンサートを聴かれた多くの観客が、彼らの精一杯の練習と努力と作品に
対する熱い思いを感じ取ったことでしょう。
でも、それなのに、それに報いてくれるには、マラ9はまだ何かを要求したようです。
彼らの必死な演奏と気持ちが伝わってくるだけに、もどかしいパッセージが
私の胸を締め付けました。
指揮者よ。
あなたの作品への解釈には納得いきませんでした。
若い彼らのパワーを最大限まで引き出すべきなのに、あなたの理想を押し付けるあまり、
かなり鈍重なテンポに成り果ててしまい、頭にきました。
もっとキビキビした勢いで曲を進めていくべきで、老成した解釈は無理が重なった。
彼らの能力の高さ故に、指揮者は少し実験を試みたくなったんだろうと思いますが、
指揮者とはその素材を最大限おいしく料理する変幻自在さも必要じゃないかしら。
だけど彼らに責があるわけでも無いので、私は精一杯拍手をしました。
彼らは今後この曲を耳にする毎に、青春のホロ苦さを懐かしむことでしょう。
それも素敵な青春の一ページだと私は羨ましく思います。
だって、大学時代にマラ9をやったんですよ。
羨ましい程の冒険家達じゃないですか。