(隊長作)

2008年11月1日(土)  19:00   - 232 -    訪問者数

    京都府立医科大学交響楽団   藏野雅彦指揮
    京都コンサートホール

     ベルリオーズ   序曲「ローマの謝肉祭」
     グリーグ     「ペール・ギュント」第1組曲
     シベリウス    交響曲第2番

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  京都コンサートホールは、今回で5回目。
  こちらは名古屋の愛知県芸術劇場コンサートホールとは違った方向性でバッドな音響。
  愛知芸劇がワンワン(響き過ぎる)だとすると、京都コンサを一言で言うと「音が来ない」。

  過去5回の京都コンサでの演奏会において、私の感想の多くは   (隊長作)

「熱血度が小さい」とか「クールな演奏」等だった。

  しかし今回、より冷静に分析・検証してみるのだが、どうもこのホールでは、
  音が客席にしっかりと届いていないのではないか?という信じたくない疑惑に行き当たる。
  これはあくまで、我々の耳にとっては、という感想なんですよ。
  
  ふりさけみれば、東京だって悪いホールは多々あった。
  NHKホールは馬鹿でかいハコだし、もっと異様に広い有楽町国際フォーラムAは言わずもがな。
  群馬県高崎市の群馬音楽センターなどは両翼(両端)のエリアは、ほんと音が富んで来ない。
  渋谷オーチャードホールも我々にとっては、音響が好みでない。   

しかし、池袋の東京芸術劇場の
舞台サイド席や最上階最奥地、

上野の東京文化会館5階席や2階サイド、
サントリーホールの舞台サイドエリア
(LA、LB、RAなど)など、

良きホール(座席エリアは限定したい)
はある。

  関西だって良好なホールはあるよ。
  滅多にオーケストラ・コンサートが無くて残念だが、やまと郡山城ホールは理想的な音響なので
  驚いた。大津のびわ湖ホールだって素晴らしいし、浪花っ子が誇るザ・シンフォニーホールも
  やはり良い。昨日初聴きした伊丹アイフォニックホールは、木の温もりが音響にもやさしく、
  響き過ぎずに明確な音像が伝わった。
  
  しかし5回も行って、毎回様々なエリアの座席をチョイスしてきた挙句、
  やはりどうやらバッド・ホールの烙印を押さなければいけない、この悲しさよ。
  私は京都出身なだけに余計残念なんだが、こうも経験が積み重なってしまうと、
  さすがに認めざるを得ない。   

たしかにホールの立地やシチュエーション、
竹細工を思わせるようなホール内部の壁面、
入場口までの螺旋状のスロープとオブジェは
実にデザインが優れている。

うすい緑色の座席も、とても良い感じだ。
しかし何はともあれ、ホールは音響、第一。
(隊長作)



  音響さへ良ければ、トイレが無かろうが、ホワイエが無かろうが、座席が粗末でも私は通う。
  ホール音響は演奏と並ぶくらい重要なものだし、どんなに苦労して演奏しても、
  ホール音響のせいで演奏効果は倍にもなり半減にもなる。
  多くの音楽マニアは音響やホール性能の優劣に気付きはしていると思うが、
  それほど語られていないと思う。
  なぜか?
  それは全国の有名ホールでは、主にプロ・オーケストラが中心に演奏しているからだ。
  
  前回でも述べたが、プロ・オケはやっぱ腐ってもプロ。
  彼らは毎週毎月のように、各都市の最も華やかなホールで演奏し続けている。
  初中演奏していると、ホールの癖と云うものが分かってくる。
  もしくは、コンサート・ディレクターみたいな人が客席にてホール・チェックしていて、
  このホール音響なら各セクションがどのような演奏をすると最善な響きになるか、
  指揮者が望んでいるような音場空間になるかアドヴァイスしてゆく。
  
  しかし悲しいかな、アマオケではそこまでの微調整は難しい。
  日頃は大学の練習場や、貸し練習場、酷い場合は体育館なんかで「響き」そっちのけで
  練習せざるを得ない。それに舞台で演奏して聴こえる音響と、実際の客席で聴こえる音響は違う。
  
  演奏者は自分達の出す音がどのような音塊で客席にぶつかってゆくのか、
  そこまで気にして演奏会に望む団体は少数なのが現実だろう。
  しかも客席に届く音塊は、どれ一つ同じではない。
  
  
  今回の学生オケにおいて不思議でならなかったのは、指揮者がブンブン指揮棒を
  振って楽団員たちを煽るのに、そこから産まれる音と覇気だった。
  血気盛んな学生たちが、半年ものあいだ情熱を注いだ音楽、
  その晴れの舞台で指揮者は楽団達に発破をかける。
  皆がみんな触発されないとしても、半数以上は決起したっていいし、
  実際彼らの表情や演奏姿勢は決起した姿だった。
  
  具体的には、ティンパニの叩きっぷりは相当な音が届いても良いものだった。
  それなのに、現実には「音」としては思ったほど来ない。
  低音が特に来ず、打楽器も弱い。
  恥ずかしながら、こんな状況におかれて、ようやく解かったのです。   (隊長作)

しかも、5回目にして。

  私は今までこのホールで聴いた演奏の感想が、随分ちぐはぐなもの
  だったのかもしれない、と考えている。
  
  ちなみに。
  響き過ぎるホールでは、ステージから離れた座席では更に響き過ぎに拍車がかかるように
  感じるので、そんなホールでは舞台に近い所で聴くようにしています。
  
  実際、以前このホールで聴いた時、舞台から離れた3階サイド席に座った時ですが、
  響き方があまりに凄かったので、今回はステージ近くで聴きました。
  
  某巨大掲示板では、このホールはP席(舞台裏エリア)以外は全滅、
  なんて事を書いている人がいて、まぁ匿名投稿ですから嘘か誠かあやふやですが、
  私達のブログにコメント下さった関西のコンサート愛好者さんも「P席が良いよ」、
  と教えて下さった事がありました。   (隊長作)

もしかして、京都ではそれが常識だったりして?
  
  京都コンサートホールで前回聴いたコンサートは、
  京都市響、ショスタコーヴィチ交響曲第8番。
  サントリーのP席に比べると、ショスタコ第8番なのに音が来なかった。
  「京響は音が小さい」なんて感想を書きましたが、これももしかしたら
  ホールのせいだったのかもしれません。

  この時は低音とかティンパニなど、特定のパートが小さいと思ったのでなく、
  全体が小さかった。しかし生憎なことに、今回の府立医科大定演では、
  P席エリアそのものが閉鎖。
  
  演奏者は自分達の背後に視線を感じるのは嫌なのでしょう。
  アマオケでは良くある事ですが、残念な措置でした。
  
  ここまで書いておきながら逃げ道を作るようなやり方は恥ずかしいのですが、
  ホール音響の感じ方には個人差があり、弦重視で聴くとか管重視で聴くとかでも
  感じ方は違ってきます。   

また、座る場所(エリア)によって
かなり違いが出てくる。
ですから理想的なエリアはこのホールの
どこかにはあるのでしょうし、
それを未だ見つけられない我らにこそ
不明不徳の致す所なのかもしれません。

そんなわけで

  府立医科大(三大オケ)さんには申し訳なかったのですが、
  純粋な演奏感想とは違うことをアレコレと感じたり論じたりしてしまう
  結果となってしまいました。


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  *** 過去の 「京都コンサートホール」 での 『音量小さい』 コンサート感想

    * 京都市交響楽団 沼尻竜典指揮 ショスタコーヴィチ交響曲第8番 他

    * 京都市交響楽団 大友直人指揮 R・シュトラウス:アルプス交響曲 他












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