(隊長作)

2008年11月23日(日)  15:00   - 235 -    訪問者数

     名古屋市民管弦楽団    現田茂夫指揮
     愛知県芸術劇場コンサートホール


      マーラー      交響曲第3番

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  我が隊の隊長&隊員がマーラーにのめり込んでいたのは、今から遡る事、
  十数年前から5年くらい前まで。
  それまでは、マーラー演奏会と聞けば、第1番「巨人」でも聴いていたし、
  今回の第3番なぞになると、もうテンション上がりまくり。   (隊長作)

一ヵ月も前からワクワクしてたな。
  どうしてあの頃に、今回の演奏会に巡り合わなかったんだろう。
  
  その後、憑き物が落ちたように、ぱったりとマーラーに関心がなくなった。   

聴き過ぎて飽いたんだろうと思い、
無理せず聴かないようにした。
そして気がついたら、あんなに愛好愛聴
していたのが嘘みたいに、聴いていない今がある。

「やがて私の時代が来る」とマーラーは語りましたが、
我々にはもう、マーラーの時代は過ぎ去ってしまった。
カンバァック!マーラー!!
そんな「マイ・マーラー」復活を願って、
第3番演奏会に出掛けてみるのです。
  
  その前に、グルメ情報。
  名古屋は栄を中心に南方の矢場町や大須界隈に飲食店が連なっています。
  しかし北にも東にも、ビルは延々と続いている。
  ビルある所に人はおり、人ある所に飲食店も点在してます。
  今回は栄から北東に徒歩十分も歩けば着いてしまう「高岳」駅界隈。
  混み合ってる大須商店街で飲食店を探すより、高岳の方がよっぽど落ち着けて食事できます。
  

「セルヴァッジョ」

この辺は目立たないビルやマンションばかりで、街的な魅力は皆無ですが、
こういった街で頑張り続けている飲食店というものは、結構底力があるもの。

だって、味で勝負するしか無いもんね。
実は、イタリアン・カジュアル「セルヴァッジョ」に行ったんだけど、
予約満席であえなく玉砕。近くの「なか卯」で親子丼でも食べッか、
と歩いてたら、「串処ぼんど」が気になった。
私は結局、オシャレなイタリアンよりも、大衆的な庶民派が好きなんだ。
  



  串カツ定食を食べたんだけど、くっついていた「モツ汁」が旨いのなんの。
  思わず吉祥寺「いせや」のモツ煮込みを思い出してしまったよ。
  あれより汁が飲みやすくて、まさに「モツ」&「しる」。

  皿一杯のソースを出してくれて、串カツはどっぷりとソースに浸せるし、モツ汁は美味だし。
  イタリアンに振られた代わりに、思わぬ良い店が見つかって、捨てる神あれば拾う神もあるもの。
  デニーズの北向かいにあるので、表通りから少し入ってますが、見つけ易いと思います。
  
  
  さてさて、マーラー第3番。
  名古屋市民管弦楽団とは、名古屋の期待を一身に背負ったような楽団名。
  それもそのはず、創立五十周年記念演奏会であり、豪華パンフレットには
  愛知県知事と名古屋市長の祝辞が、堂々1ページづつ割いてある。
  こりゃ、しがらみの多い大変な世界だ、それなのによくぞマーラー第3番とブチ上げれたもの。
  (隊長作)

ベートーヴェンの第九で誤魔化さなかったのは快挙。
  きっと招待客の多くは、マーラー第3番のCDなんて持って無いだろうし、
  持ってたってどうせ楽曲の真髄なんか解かっちゃいない。
  そんな人達の前で、マーラーの、しかも第3番が延々と垂れ流される。
  いやぁ、実に愉快。

  今回の演奏会の、最大のポイントは、指揮者選定。
  だれかなぁ、現田ちゃんなんて引っ張ってきたのは。
  佐藤しのぶの夫であり、浜っ子には熱烈な愛好者がいる神奈川フィルの常任指揮者。
  しかぁし!我々は現田ちゃんの演奏会に一度たりとも感動できた例(ためし)は無い。
  芸大卒業、日本の有名オケを数多く振り続けているのに、未だに話題となる演奏が出て来ない。
  そしてこの日も、現田ちゃんはマジックを披露する事も無く、90分のマーラーは終わった。
  
  そもそもにして、マーラーは実演が難しい。CDだと名演名盤が目白押しなので
  マーラーが好きになる人は増えているが、実演に何度も接してゆくと、
  マーラーの凄みを体感できず物足りなく思う人は多いのでは無いだろうか。
  
  ここでは、マーラー初心者や演奏会初心者は除いて語ってます。
  と言うのは、マーラーの音楽は巨大・爆音で、初心者にとっては
  それだけでビックリ魂消たものだから。
  
  しかし中級者以上になって来ると、そうは問屋が下ろさない。
  マーラーを愛し、深く理解し、隅々までマーラーの味わい深さを
  堪能したくなってくると、逆に実演はアラばかりが剥く出しに迫ってくる。
  それもまた一興、ザラザラな化粧ッけのない実演も面白いのは一理あるが、
  実はそうで無い所にマーラーの難しさは潜んでいる。
  
  マーラー演奏においては、技術力に次ぐ技術力が要求され、
  まずはこの段階で大きく振り落とされる。
  しかし仮にも第3番をチョイスする楽団ともなると、   (隊長作)

そんな段階は流石余裕にクリア。
  お次は指揮者。
  超巨大な合唱団付き大編成を自在にコントロールする上に、
  全演奏者に魔法をかけられないと、良い演奏は始まらない。
  この段階で残念だが、うまくいっていなかった。   

マーラー実演は、つくづく難しい。
プロオケの演奏でさへ、何も感じられない
時があり、ツボに嵌って大感動してしまう時
ともあり、そのギャップは激しい。

だからこそ、マーラー演奏会は面白いのであるが。

ただ音がキチンと出ているだけでは感動できる
訳では無い様で、言葉では説明しづらい
「何かが足りない」と思う時が多い。
  
  のた打ち回り、憧れてみたり、落ち込んで遠くを見つめたり、慟哭してみたり。
  マーラーはそういう感情的なモノをトコトン追いかけた先に真っ黒な塊が
  黒光りしている音楽であって、サラリとやってしまうとツマラナイ。
  逆に、解かりやすい大音量ゾーンで大騒ぎしてみれば良いのかと云うと、
  それがまた虚しく絶叫しているだけ演奏になったりする時がある。
  たいへん演奏が難しい作曲家なのだ。
  
  おそらく、「音がキチンと出せた」先の、技術面には無いエッセンスまでプラスしないと、
  「大事なモノが足りない」という感想に至ってしまうのだろう。
  
  そうは云ってもアマオケでそこまで求めるのも野暮な話で、だからと云って
  そこにこそマーラーの真髄は宿っているし、結局は実演実現できた事への賛美に
  終始してしまうことになってしまう。なんだかこれでは、もう少し先に
  ドデカイ物が横たわっていただけに、勿体無い気持ちが忸怩してしまう。
  
  ではどうすれば、アマオケでもドデカイ演奏が成し遂げられるのか。
  アマオケの技術面はギリギリ水準以上あればいいと思う。
  それよりも、やっぱり指揮者。決して有名指揮者などを物色せず、
  とにかくマーラーが三度の飯よりも好きな人が良い。
  或る意味、あなたのオケにいるマーラー・ヲタクの方が良いかもしれない。
  
  マーラーはデフォルメ音楽なんだから、そこを避けて綺麗にやろうとなんかせず、
  あくまでがっぷり四つに組んで、ぐでんぐでんの酔っ払い演奏で攻めたほうが、
  アマオケ演奏なら奇禍に出くわすかもしれない。   

思い返せばプロオケでも、なおかつ
海外有名ドコロの一流オケで聴いても、
マーラー実演は何も感じられない場合が
多かった。ところが、我が隊が良く聴きに行く
ショスタコーヴィチやプロコフィエフには、
何も感じられないとまで思う事は少ない。

アマオケでも、我を忘れるほど
大感動演奏会に出会うのだから不思議。

  マーラーが嫌いでショスタコやプロコが好きだからという事はないし、
  マーラーも爆音爆演の連続だからコンサートに足を運ぶ方ですが、
  どうも過去を振り返ってみて、しっくりいかない記憶が多い。
  
  ショスタコやプロコの場合は表面的に大音量で大騒ぎしても、「それはそれでアリ」
  みたいな包容力がある。悪い言い方をしてしまえば、中身がなくても
  「一生懸命やってれば大丈夫」な雰囲気がある。
  
  ただし一生懸命やってこそ成果が如実に反映される音楽であって、
  頑張んないとたちまちツマライ音楽になるのは、他の作曲家以上かもしれない。
  
  マーラーはおそらく、大名演のステップに持ち上げるのが、
  とても難しい作曲家なのでしょう。だだし、そこまで
  持ち上がった時の感動が、ハンパ無く凄い。
  そこまで持ち上がった超名演奏が録音されて
  CD販売されているのが、逆にいけないのかもしれない。
  
  演奏そのものは非常に上手く、特にホルンはプロ奏者を
  混ぜ込んであるかのような完成度。
  きっとこういうレベルだからマラ3を取り上げたんだろうし、
  それだけに歯痒い思いで、つらつら書いてしまった。
  コンマスのソロも見事だったしね。
  
  各楽章間に拍手が出る。
  名古屋民度のバカ丸出しで、いかに招待客が多かったか解かる珍現象。
  そこへもって指揮者が余裕を見せたいのか一礼なんぞしちゃうもんだから、
  招待客は毎回拍手してしまう始末。ド田舎の公民館でも、
  こんな情けない反応はしないだろう。   

第5楽章から第6楽章に移る時、
流石に指揮者も一礼をしなかったが、
それまでの反復で拍手が入ってしまった。
これによって、第5楽章から終楽章へ移行する
絶妙な静寂は消し飛んだ。

楽章間の静寂も、ひとつの音楽だとは
思う人が少ないんでしょうね。
終楽章の演奏そのものは良かっただけに、
残念な演奏会であった。


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  *** 過去の 『マーラー』 なコンサート感想

    * 齊藤栄一指揮 水星響 / マーラー第1番、 ウォルトン:ヴィオラ協奏曲

    * デプリースト指揮 群響 / マーラー第5番、 ハイドン第88番「V字」

    * 十束尚宏指揮 慶應ワグネル / マーラー第9番

    * 遠藤浩史指揮 厚木響 / マーラー第2番「復活」

    * サラステ指揮 N響 / マーラー第6番「悲劇的」

    * 小林研一郎指揮 早稲田大学フィル / マーラー第1番 他

    * ベルティーニ指揮 都響 / マーラー第9番

    * 山岡重信指揮 豊島区管 / マーラー第5番

    * 尾高忠明指揮 札幌交響楽団 / マーラー交響曲第6番「悲劇的」、武満徹「死と再生」

    * デプリースト指揮 東京都交響楽団 / ベルクVn協「ある天使の思い出のために」、マーラー交響曲第1番

    * バルシャイ指揮 群馬交響楽団 / マーラー 交響曲第10番(バルシャイ補筆完成版)

    * 金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団 / マーラー 交響曲第10番(全5楽章版、クック版に準拠) 他

    * 松沼俊彦指揮 TAMA21交響楽団 / マーラー交響曲第6番「悲劇的」 他

    * バレンボイム指揮 ベルリン・シュターツカペレ / マーラー 交響曲「大地の歌」 他

    * 長田雅人指揮 フライハイト交響楽団 / マーラー 交響曲第2番「復活」

    * 外山雄三指揮 NHK交響楽団 / マーラー 交響曲第5番、 尾高尚忠 交響曲第1番(第2楽章付)

    * 若杉弘指揮 NHK交響楽団 / ウェーベルン パッサカリア、 マーラー 交響曲第9番

    * 京都フィロムジカ管弦楽団 金子建志指揮 / 伊福部 交響譚詩、 マーラー「巨人」(ハンブルク稿)

    * 豊田フィルハーモニー管弦楽団 八城崇幸指揮 / マーラー 交響曲第1番「巨人」 他

    * SNS管弦楽団 森和幸指揮 / マーラー交響曲第5番、 ショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード」

    * オストメールフィルハーモニカー 角田鋼亮指揮 / ショスタコーヴィチ P協奏曲第1番、 マーラー交響曲第6番「悲劇的」

    * オーケストラハモン 長田雅人指揮 / マーラー 交響曲第2番「復活」

    * FAF管弦楽団 森口真司指揮 / マーラー 交響曲第9番 他

    * フィルハーモニア・エテルナ 十束尚宏指揮 / マーラー 交響曲第5番 他

    * シャイー指揮 アムステルダムコンセルトヘボウ管 マーラー交響曲第9番(旅行記)












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