(隊長作)

2009年3月8日(日)  14:00   - 252 -    訪問者数

     アンサンブル・フォルツァ  永峰大輔指揮
     門真市民文化会館ルミエール

     アーノルド   序曲「ピータールー」
     ワーグナー   「トリスタンとイゾルデ」
     ニールセン   交響曲第4番「不滅」

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雨上がり決死隊のラジオ番組
「雨上がり決死隊べしゃりブリンッ!! 」
(ポッドキャスト有り♪)を聞いている人なら、
一度は行ってみたいと思ってるでしょう?
「産まれも育ちも大阪門真・・・」の前口上で
お馴染み、ホトちゃんこと蛍原徹の街。

今回下車した駅は京阪門真市駅ではなく、
京阪古川橋駅なので「ザ・カドマ」と言えるのかどうか
微妙だが、門真は想像以上に美しい街並。

大阪京橋から北東へ京阪各駅で十分そこそこ。
駅南口はJR駅前みたいにロータリーが
整備されていて、中規模クラスの
ダイエーが幅を効かしている。

  居並ぶお店も小奇麗で、大阪のドヤドヤした雰囲気は皆無。
  そういったものは京橋に置いてきたのだろう。
  
  ダイエーを横目に少し南下すれば、全面ガラス張りのバブル期にデザイン
  されたような門真市民文化会館が現われる。
  

全面ガラスに自身が映らないよう、
気をつけて写真を撮るのに四苦八苦。
八尾のプリズムホールもガラスだらけだったが、
さすが大阪、派手なデザインが大好きなようだ。

ネットで調べて、門真で旨いもん喰わせる店に入る。
ところがどうだ、店内は喫煙率高く、煙たくて
タバコの煙と一緒くたに食事するハメに。
(隊長作)

  中華屋はタバコ必須アイテムなんだろうが、こうやってこの店に二度と
  近寄らない人間が二人できたわけだ(門真市そのものに、滅多に来ないけどね)。
  損してると思うんだけど、常連の喫煙率が激高だと禁煙なんて
  ありえへんのでしょうなぁ。ちなみに料理の方は、ボリュウム満点、
  味不合格。鳥肉の唐揚げは、肉がカスカスだったんよね。
  
  
  さてさて、気を取り直して、アンサンブル・フォルツァ。
  聴きたかったんだ、この楽団。何と言っても、楽団コンセプト。
  (隊長作)
「例えば学生時代、挑戦したくて出来なかった曲、実現しなかった
企画アイディア、時々ふと、思い出したりしませんか?」

  泣かせるねぇ・・・。
  こういう発想は、私もドンピシャ。
  
  このオケの噂は、聞いてたんですよ。
  関西各地のアマオケに行ける様になって、すぐ「行きたい候補」には挙がってました。

  07年2月、ショスタコ12番&シューマン4番。
  08年2月、ブラームスのピアノ四重奏シェーンベルク編、リヒャルトの「ティル」
  08年9月、ガーシュインのへ調協奏曲とブラス音楽。
  
  どれもこれも、行ってみたかった。
  ところが諸処の事情や体調不良と重なり、今回まで来れなかった。
  今回、ニールセン第4番ということで、何が何でも行こうと調整を重ねて参りました。
  
  ニールセンなんてやったって、一体どれほどの人が楽しんでくれるのか、
  と心配された団員さんもいらっしゃるでしょうが、少なくとも
  この私は大いに楽しみましたよ。
  (隊長作)

こうやって、全世界で一つづつ、ニールセン演奏が積み重ねられてゆく事が重要なのです。
  

一発目、アーノルド「ピータールー」。
ブラスでは頻繁に採り上げられる傑作で、
ショスタコの第12番なんかとコンセプトが似た曲です。

アーノルドはナクソスから交響曲全集も出ており、
聴き知っている人も多い20世紀作曲家では
ないでしょうか。

何曲かCDも持っているのですが、
あまりピンと来た事が無かった。

  しかしこの「ピータールー」は19世紀マンチェスターでの労働争議虐殺を
  音楽化したもので、迫力が映画的。
  
  ショスタコの第11番や第12番と、この楽曲のどちらが先に登場したのか
  気になるくらいテクニックが似ている。ショスタコの方が交響曲だけあって、
  掘り下げ方と重みや深さが違いますが、音楽で訴えようとしている事は同じ方向性。
  
  中盤からの展開をもっと掘り下げたものにしたら、かなり有名な交響詩に
  なっていただろう素材です。演奏は打楽器が素晴らしく、
  楽譜指示レベル以上の熱い演奏を繰り広げたようで、
  かえってそれが虐殺事件を生々しく伝えてくれます。
  すっかり興奮です。
  
  ところが中プロ、トリスタンとイゾルデ。
  まったく方向性の異なる音楽。
  アーノルドとニールセンの「動」の間に、トリスタンという「静」を
  挟んだ構成ですが、「静」の音楽は演奏が難しい。
  
  プロとアマの決定的な違いは、静かな箇所でいかに聴かすか。
  ピアニッシモでも連綿とした音質を維持するのは、正直難しいです。
  特にトリスタンのように官能的で、ねちっこくジリジリと歌い回す音楽は
  特にそう。

  三曲とも大音響楽曲なのは飽きがきますが、それにしてもトリスタンはちょっと
  難し過ぎるでしょう。でも、「アルルの女」組曲とか未完成交響曲とかを
  お為ごかしに持ってくるプログラムより遥かにいい。   (隊長作)

とっても前向きで、チャレンジ精神溢れるプログラミングは感心する。

  本日のメインン・ディッシュ。
  ニールセンの「不滅」ならぬ、「滅びざるもの」。
  この和訳はたしかに「不滅」でなく、「滅びざるもの」
  「滅ぶことの無い、永遠不滅なもの」といったとこ。

  解かるんですが、面倒くさいので私は「不滅」と書いてます。
  きっと外国人が「葉隠れ」を「ハラキリ」とかで意訳してしまっているような、
  かなりズレた和訳なんでしょう。
  
  この曲は終楽章のダブル・ティンパニが聴き所でもあり、演奏困難箇所でもあり。
  サン=サーンスのオルガン付に似たような、実演にハードルが厄介な名曲。
  最近ではニールセンも採り上げられ出していますが、まだまだ年間十曲前後しか
  登場してないんじゃないかしらん。

  今年私が把握している限りでのニールセン交響曲演奏会は、2回のみ!
  
  ○5月10日ミューザ川崎、星陵フィル、交響曲第4番
  ○5月31日長久手町文化の家、長久手フィル、交響曲第2番
  
  秋冬のアマオケ定演や、国内プロオケの来シーズン公演発表に期待してます。
  個人的は第5番や第6番がいいんですけどねー。
  どこかのアマオケが第6番なんてやろうもんにゃぁ、本当に驚いてしまうんですが・・・。
  

さてさて、演奏感想。
 ニールセンを採り上げる楽団って、相当なレベルだと思う。

ベートーヴェンやブラームスは経験済み、
チャイコやドヴォルザークも飽きている。
マーラーやショスタコ、ブルックナーやリヒャルトも
面白そうだけど、シベリウスやエルガーに進む仲間もいるよね。

しかし、北欧各国には可憐でかわいらしい
お花がいっぱい。今回のデンマーク・ニールセンしかり、
スウェーデンのステーンハンマルやアッテルベリ、
フィンランドのヴェッスマン。
英国のバタワースやパリー、しかり。

  様々な方向への道が別れてしまうのが19・20世紀音楽。
  そのなかでもニールセンを選んでくれたって事で、何が解かるか。
  ニールセンは北欧各曲の中でも、一際自己主張が強い。

  それでいて音楽構造がドイツやフランスとは異なっており、
  ブラームスからブルックナー、ワーグナー等へ進む練習より余程厄介。
  しかし異なるがゆえ、音楽で見つけられる新しい発見も半端無く、
  音楽の持つ新しい可能性、まったく新しい一面に出会える。
  
  何度も何度もベトベンやブラームスに挑戦して彼らの新しい一面や一瞬の
  刹那を覗き見るのも醍醐味。しかし国が違えば言葉も違う。
  音楽は言語と密接な関係にあるから、不思議なくらい各国独特の音楽語法がある。
  日本の義太夫や長唄だって、独特の味わいがある。
  
  そんな新しい音楽に挑戦する楽団だから基礎技量だって申し分無いのだが、
  演奏は少し違和感もあった。このオケは様々な楽曲に取り組んでいるので
  その辺の対応力は通常以上ではあるが、ニールセン大好き人間が聴いてみると
  やはり違和感。パーツごとはニールセンに違いないのだが、組み合わせる関節が
  気になると言うか、流れるようなニールセンにはなっていない。
  これはこれで面白いのだが、凄い頑張って練習された成果がわかるだけに
  勿体ない。
  
  終楽章のダブル・ティンパニは決まってた。
  ただ二人に見合うだけのバックアップがオケに足りない。
  ニールセンはただ闇雲に全員がマックスで弾いても全体の音量が
  マックスにはならない。ここらへんはチャイコフスキーなんかと
  オーケストレィションが根本的に異なっているからだろう。
  いかにチャイコがアマオケ向きか、ニールセンが玄人向けか分かる。
  
  何はともあれ、このオケの心意気は大いに感じた。   (隊長作)

今後も応援して行きたい。
  次回の演奏予定曲目、マルケス「ダンソン第2番」や様々なダンス・ナンバー。
  分からなさ過ぎるのが、おもしろい。


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  *** 過去の 『ピータールー』 なコンサート感想。

    * 東京楽友協会交響楽団 橘直貴指揮


  *** 過去の 『不滅』 なコンサート感想。

    * 読売日響 ヴァンスカ指揮 その1

    * 読売日響 ヴァンスカ指揮 その2

    * オーケストラ・エレティール 新田ユリ指揮

    * 豊島区管弦楽団 川本統脩指揮
















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