(隊長作)

2009年9月27日(日)  14:00   - 279 -    訪問者数


     関西学生一発オーケストラ   永峰大輔 指揮
     八尾市文化会館プリズムホール

      J・ウィリアムズ   「スターウォーズ」メドレー
      久石譲        「となりのトトロ」より
      マスカーニ      「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
      ブラームス      ハンガリー舞曲第5番
      プロコフィエフ    「ロメオとジュリエット」より
      ビゼー        「カルメン」より闘牛士
      ショスタコーヴィチ  交響曲第5番

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一昨年、SNS管の記念すべき第1回演奏会を聴くべく、
近鉄八尾駅前のプリズムホールに行ったものだった。
どこにでもありそうな駅前、何度も乗降したような気がする、
そんな不思議な駅前。

むかしは近鉄八尾駅北口に西武百貨店があること自体
驚きだったのに、今ではその奥に巨大なアリオ八尾
(イトーヨーカドーが入っている大型複合施設)が出来ていた。
普通の駅前がすっかり変わっていて、複雑な気分。

大阪での八尾というロケーションは、東京で云うと
船橋や津田沼といったところか。


  JRと近鉄の駅が直線距離で1,600mも離れているゆえ、本来なら発展しづらい筈なのに、
  西武百貨店はあるは、アリオは出来るは、なかなかの発展ぶり。
  特急が停まらないはずだから、それを考慮すれば大成功している駅前と云える。

今回は駅前の高架下の飲食店街のなか、
カジュアル・フレンチといった趣の
「タブリエ」で1,300円ランチを食す。

ここは西武百貨店の北向かいにある高架下、
分かり易いと思う。



  そら豆のスープ旨くて、色彩も美しい。メイン料理も盛りつけが美しく美味。
  ただしボリュウムには欠ける、女性向きかなと思ってたら、食後は十分に満腹感に満たされていたので、
  それだけもっと食べたいと思わせる味だった証拠。

  重かったり、くどかったりすると食事中にもういいや、と思ってしまうもんね。

  帰りには、ドアを開けてくれた。
  1,300円ランチなのにこういった接客をしてくれると、また行きたくなってしまう。
  関西の接客はほんと、うまいね。

  (隊長作)

さてさて、今回は「関西学生一発オーケストラ」。

  学生たちが、学生時代の思い出に、一発ドカンとやってみようという、
  私の大好きなコンセプト。成功するにしないにしても、
  とにかくやってみようという心意気が頼もしい。

  何十年も続いている定演をトラディショナルに継続してゆくことも難しいが、
  自分達の代で一から挑戦してみるという行動が憧れる。
  私は学生時代、あちこちのオケでトラには乗ったが、自ら企画して
  「第1回」な演奏会をしなかったのがお恥かしい。
  自分達で、第1回をやってみようと、「思い」さへしなかったもんな・・・。
  

オーケストラの面白いところは、奏者さへ集まれば
何かが始まる、といこと。

実際は毎週の練習会場や団費会費、
演奏会場の手配やプログラム、チケットをどおする。
楽譜や楽器運搬や指揮者は誰にする・・・とか、
もう何からやっても大変なことばかり。

一つのオケならスタッフもいれば技術系もいる、
先輩もいるしOBOGも頼りになる。

  それを自分達でやってみようというのは、実に面白そうな痛快な話じゃないか。

  演奏会場に現われた楽団員たちは、黒服の正装なんかでは無く、
  おそろいのTシャツに各々が履きなれているジーンズ。
  ラフな格好で、学生だからこそサマになる味が出ていた。
  それでいてメインのショスタコは一転して礼服や黒どれすだったので、
  この辺のセンス(気配り)は見事だった。

  たぶん、集まった学生たちがやりたくてしょうがない楽曲をやってみました、
  と云うようなプログラム。

  いつもの私なら、名曲シリーズは・・・と尻込みしてしまうところだが、
  スターウォーズが大好きなのですんなり入り込めた。
  第一曲目からアツイ演奏で、どうしてもっとスターウォーズの演奏って
  やらないんだろう、と真剣に思ってしまう。

  ちなみに最近の私は、バターワースの「2つのイギリス田園詩」なんかを
  愛聴しているので、スターウォーズは真逆なんですが、何度聴いても
  この曲はイヤにならない。また、緻密で構築性の高い演奏よりも、
  こういった好きで好きで演奏しちゃいました、的なノリの方が感動してしまう。

  テンポを落とす所は、極端に落とす。ロマンティシズムあふれる解釈。
  ただ、この曲が大好きな人間から言わして頂けば、スターウォーズは
  クラシック的調理は似合わない。爽喪と光速で過ぎ去って行くイン・テンポこそ、
  甘い旋律まで巻き込んでSFが持つ刹那的な美が活かされてくる。

  テンポを落とすというデフォルメは、相当な美音と響き、精神性を主軸に
  持たないと甘ちょろいだけになってしまう。映画音楽はクラシック音楽より
  下と看做す人がどうしても多いが、こういった優れた映画音楽を聴くと
  数百年後の評価が楽しみになってくる。

  今の若者は「ジブリ」で育ったんだろうな。
  私はアニメよりマンガをトックリと今も読み続けている人間ですが、
  それだけにどうにもジブリ作品は共感できないで来た。
  強いて言えば文学的な「海がきこえる」くらいが好きな作品だが、
  ジブリ・ファンからすれば亜流なのかもしれない。
  

先日NHKで久石譲がインタビューに応えていたが、
彼は若い頃はミニマム・ミュージックを書いていたそうだ。

ああいった物を書いていた人が、よくぞここまで
メロディアスな作品に転向できたなと感心したが、
メロディとミニマムを融合した新境地にそろそろ
進んで欲しい。

もしくは久石譲の交響曲第1番なんて
聴いてみたくはないか?

  今迄の名旋律を随所に散りばめれば、きっと重要な作品になるだろう。

  カヴァレリア・ルスティカーナやハンガリー舞曲は見事な演奏だったけど、
  プロコのロメジュリは危なっかしかった。逆に、社会人オケでも厳しい場合が
  多いカルメンは安定した演奏。

  短い名曲が次から次へと続くが変化と脈絡が飛んでて、意外と面白かった。
  北欧系にまとめたり、独墺系にまとめたりする演奏会があるけど、
  こうやって自由奔放に、でもやりたい事をやり切っている演奏というのも面白い。

  休憩中、八尾市長より祝電あり。
  こんなところまで、凄いね、市長。
  (隊長作)

後半はショスタコの第5番。
  大学生くらいだと、ショスタコをやると云っても「まずは5番」なのだろう。
  でもショスタコは5番から始まるのもしょうがないことだし、
  何だかんだ云っても5番を抑えてから次に進むのが手順なのだろう。
  チャイコの5番、ベートーヴェンの5番みたいなもんなんだろう。
  将来「パリーも5番から」なんて時代が来ないかなぁ。

  ファーストが飛び抜けて上手く、テンションも高い。
  第3楽章は学生に似ず、侘しさが表現できていた。
  問題の終楽章は高速テンポで、解釈面でもなかなか良く出来た演奏。

  終焉直後にブラヴォーと叫ぶ馬鹿がいて、感動に水をさす。
  タコ5がどういう音楽なんか、これっぽっちも判っていない
  青二才が叫んだのだろう。

  演奏直後にブラヴォーと叫ぶ人は、どんな演奏会でも現われるので、
  もう諦めの境地。いつもほどブラヴォーに怒りを感じなかったのが、
  演奏の出来を裏付けていたのかもしれない。


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  *** 『文中に出てきた八尾プリズムホール』 な過去のコンサート感想。

    * SNS管弦楽団 マーラー5番&ショスタコ7番

























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