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コンサート感想


2010年6月13日(日)14:00  けいはんなプラザ
けいはんなフィルハーモニー管弦楽団 / 新田ユリ 指揮
 ベルワルド : 歌劇「ソリアのエストレッラ」序曲
 シベリウス : 交響曲第3番
 ニールセン : 交響曲第1番

(隊長作)



けいはんなフィルは今回で3回目。
前回突撃は2007年12月、音響優秀やまと郡山城ホールで
グラズノフ第7番を聴いて以来。

けいはんなフィルと京都フィロムジカは京都で個性が突き抜けたオケなので、
もっと聴いておきたいのだが、珍しい演奏会と重なるジンクスが続いて、
2年半も御無沙汰してしまった。

今回は奈良市内のブックオフ全店をチェックしてから京都府の
けいはんなプラザに向かった。

奈良市からけいはんな学園都市に入る途中にあった、
スイス風レストラン「アルペンローゼ」(奈良市押熊)。
1階がパン屋で、2階がレストラン。
入ってから高目なランチだった事に気付き臍を噛むが、
たまにはこういった店もいいでしょう。



私はステーキより、ソーセージとかハムとかチーズと云った副産物の方が
大好き。

子供の頃、「アルプスの少女ハイジ」で繰り返し登場したチーズを
のせたパンとか、おばぁさんが切望してた白パンに憧れた。
暖炉でトロトロにしたチーズをかけたパンは、どんなにおいしいのでしょう。

ハイジがハフハフしながら頬張り、おじいさんがやさしくそれを見守る。
旨そやなぁ〜といつも思ってた。



そんな影響もあって、ドイツ・スイス料理にはとても憧れがある。
もう十年前になるだろうか。憧れのザンデルリンク指揮のブルックナーを
聴くべく、スイスはチューリッヒまで旅行した事があった。

行ってから気付いたが、スイスといえばチーズ・フォンデュ。
日本では今ほどメジャーに知らされてない料理で、
スイスでもどこでも取り扱ってる料理というものではなかった。
日本だって、どの店に入っても蕎麦が食べられるわけないでしょ。

本場のチーズ・フォンデュは、鍋にチーズが溶かしてあって、鉄串でパンとか
肉とか刺してチーズを絡みつけて喰うのだが、このチーズ・ソースが予想外だった。

と云うのは、チーズが濃厚だったし、白ワインが混ぜてあるようで、結構
キツイ味なのだ。もちろん美味しいのだが、クセのある味ともいえる。
アルコールに強い現地人が、寒さに備えるために郷土料理として消化した
ようなものか。日本のしょっつる鍋とか、芋煮とか、すき焼きとか。

(隊長作)

また、ラクレットも食べた。
これは二段重ねのホットプレートがあって、上段で肉や野菜(ポテトなど)
を焼き、下段でチーズをとろけさす。肉や野菜が焼けたら、下段でとろけた
チーズと絡め合わせてハフハフと喰らう。

単純な料理というものほど旨いものであって、いくらでも食べれた。
ところが。

その夜、生まれて初めて「胸焼け」というものになって、スイスの夜を
朝まで苦しむことになった。スイスのチーズやワインは本当に美味しい。
ただし、相当濃いのだった。べらぼうに食べると、胸焼けしてしまうのです。



そんなことを思い出しながら、私は「手作りソーセージ盛合せランチセット」、
隊長は「ローストポークのランチセット」を注文。ローストポークは
非常にジューシーで、よくある肉がカスカスなんて事が全くなかった。
ソーセージも2種あって、マスタードと合わせて食べるのが実に美味い!

ランチ1470円はちょっと高かったけど、それだけの旨さはお釣りが来るくらい
だったから大満足だった。次回奈良へ行く時も、ここは再訪したい。

店内のBGMにワーグナーが懸かっていたのが微笑ましかったが、
女の子がデートで喜びそうな室内でワーグナーは似合わないでしょう。
たぶんオーナーの趣味なんだろうな。
他の日には使ってるかもしれないが、こういった洒落たドイツ系料理店に
は、R・シュトラウスの歌曲とかの方が様になるだろうに。
ワーグナーが好きなんだろうなぁ。




さてさて、けいはんなフィル。
今回のお目当ては、もちろん、ニールセン!
最近はこの第1番や第2番の上演も増えてきたけど、やっぱり
ニールセンといえば第4番ばかり。

こうやって、少しづつでも第4番以外が演奏される傾向に拍手。
また、カプリングとして、シベリウス第3番にベルワルドの序曲と、
珍曲てんこ盛り。

関西名物なのか?指揮者新田ユリさんの解説トークありました。
アイノラのクレルヴォ演奏会でも感じたが、この指揮者さんはトークが
上手い。笑いを取るという意味の「上手い」ではなく、淡々と落ち着いた
口調なのにいつしか話術に引き込まれてしまう。
大学の先生でこれくらい話せる人が、どれほどいるだろうか。

(隊長作) 今回のトークの内容は、もちろん北欧音楽。
北欧とひとくくりに考えがちだが、各国の個性は違う、と大変興味深い話題。

ノルウェー、スウェーデン、フィンランドに、海を挟んだデンマーク。
日本から眺めれば前者三国は同じ半島人のように思えるが、
どうしてどうして。日本と中国と朝鮮半島が全く異なるように、
国が違うのはわけがあるのですね。

こういった予備知識を話してくださって、これから聴く3人を思えば、
想像力も広がります。スウェーデンのベルワルド、
フィンランドのシベリウス、デンマークのニールセン。

北欧音楽といえば、むかしグリーグ(ノルウェー)、いまシベリウスです
けれど、こうやってデンマークやスウェーデンの作曲家もナマで
聴けれるようになった私達は幸せです。



ベルワルト序曲。
知らない曲でしたが、いかにも歌劇序曲。
序曲だからと軽視した練度でなく、手堅い演奏。
これは中プロ・メインへ期待が高まります。

シベリウス第3番。
人間、好きなモノに対して熱心になるのが道理で、シベ3を
メインにしても良かったでしょう。
中プロと思えない、熱の入った充実した熱演。
オケも北欧プログラムを組んだだけあって、さすが、
音の出し方をわかってる。

金管がむやみやたらに叫ばない、弦のクールさもよく出来ている。
打楽器も腹に響く奥深い音で、渋い。

ニールセン第1番。
全体はおおらかに構えた演奏なんだけど、攻めるべきシーンはしっとりと
歌わせる。イントネーションがシベリウスっぽいのが新田ユリらしく、
第1楽章ラストのクレッシェンドは鳥肌が立った。

さらに第2楽章が美しく、ほんと、この曲はいいね。
演奏は主旋律の裏でトレモロしてる中間部が前面に出てきたりして、
CDとは違ったバージョンを聴いているような面白さが味わえた。

アンコールはグリーグ登場。
ここでアッテルベリが出てきたら、もっと嬉しかった。



(隊長作)

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