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コンサート感想


2010年6月19日(日)17:30  瑞穂市総合センターサンシャインホール
岐阜大学管弦楽団 / 新通英洋 指揮
 エロール : 歌劇「ザンパ」序曲
 ショパン : ピアノ協奏曲第1番
 ドヴォルザーク : 交響曲第9番「新世界より」

(隊長作)

東海地方でどこが好き?と問われれば、間違いなく答えるのが「岐阜県」。
住んだことも、通ったことも、働いたことも、親戚もいないのに。
それなのに「好きだなぁ」と思うほど、なぜか好き。
行った時の半分以上がグズついた天気で、この日も開演前に雨が降った。
山の近くは天気が崩れやすいを、地でいったような場所です。

何度も書きますが、自分が山に囲まれた京都で育ったせいでしょう。
山が近くに見えると、安心するのです。
山独特の湿気や香りがすると、う〜ん、落ち着く。
ちなみに、海は嫌い、べたつく。




今回は、好印象な大学オケ、岐阜大です。
演目は「新世界より」と「ザンパ」だけど。
前回の熱気溢れる演奏(2009年12月、チャイコフスキー第4番)
を期待して行って来ました。

それに、密かに愛聴しているショパンのPコンというのが良い。
この曲はすっかりお嬢様愛聴曲といったレッテル貼られてますけど、
楽曲としては実に素晴らしい名曲。

プロオケ定演の中プロで義理演奏されたら気の抜けたものしか
聴けないけれど、ガッツ溢れる学生オケなら愛ある演奏が聴けるんでねえか?
そんな期待で、大好きな岐阜に行って来ました。

(隊長作)

その前に、食トーク。
瑞穂市総合センターは、岐阜市と大垣市の間にある瑞穂市、
その市役所東隣にある近代的で颯爽としたホールなんですが、
ココの南道路向かいにある喫茶店「珈琲人たち」が良い。



岐阜県は喫茶店文化が根強く残っていて、我々が心に残している
昔懐かし喫茶店を絵に描いたような店がゴロゴロ残っとる。
外観や内装だけでなく、メニューや味も理想的な「喫茶店の味」なのだ。
コーヒーはいうまでもなく、ナポリタン、ミックスサンド、ピラフ、
カレーライスなど、喫茶店独特の味、コレがなんとも旨いんだよね。

今回注文したのは「焼きそばセット」と「ミックスサンド」。
鉄板の上にソースがしっかり絡まった焼きそばは香ばしく、
その周りに溶き卵が敷いてある。



焼きそばやナポリタンの周りに溶き卵を敷いて麺を包み込む技法は、
東海地方では王道。

ソースがしっかり喰い込んだ焼きそばに卵を絡めると、
味がマイルドになるし福よかになる。
この店のもう一工夫は、麺の上にかかった刻みノリ。
焼きそばと云えば青ノリという人もいるだろうが、
なんのなんの、刻みノリもなかなかイける。

鉄板なのでいつまでもハフハフと熱く喰え、最後の方はソバが
少し焼け過ぎになってスナック菓子のようにカリカリになり、
これがまた旨いのなんの。

サンドイッチは、パンが命。
少し乾燥気味のピシっとしたパンが良く、卵やハム、
きゅうりなどを挟んでもフニャっとななっていないパンが良い。
だからトマトの輪切りを挟むなんて、サンドイッチを何と心得とるのか!



長方形に切ったり、三角形に切ったりとサンドイッチは
いろいろな切り方があるが、私の好きな形は三角形。

むかし千葉県で、通い詰めた喫茶店があった。
いつも頼むのが、ミックスジュースとミックスサンド。
ミックスジュースは酸っぱくないことが重要で、ミックスサンドは
マヨネーズが効いているのにパンがしなっていない。

なんど食べても旨いジュースとサンドだったが、
残念ながら再開発の絡みで無くなってしまった。
人の心にいつまでも残り続ける食べ物を作る人って、本当に偉大だと思う。
あのサンドイッチとジュースが、十年以上経った今でも忘れられないとは、
よもやあの店主は思ってもいまい。

(隊長作)

さてさて、演奏感想。
ソリストが当たりだった。
ピアニストの名前は、堀江里子。
地元の高校や大学で音楽講師を勤めている現状だが、
情感溢れる歌い回しは掘り出し物だ。

ミスタッチはあるものの、ショパンの歌う様が実に良く、
オケがそれについてこれないのが歯痒い。
しっとりとリタルタンドに織り成す締め括り方が美しく、
なぜそのように着地するのか、その歌にどう寄り添えば
オケが美しくなるのかも追求すれば、どえらい演奏になった事だろう。

指揮者もそこらへんは教え込んだんだろうが、出来てなかった。
ともかく、このソリストは思いがけぬ良い奏者だった。

東京のプロオケで、名前もそこそこ知られたピアニストなんかを聴いて、
ちっともなんとも感じない演奏がある。

逆に、まったく期待せず行った演奏会で協奏曲が挟まってあり、
思いがけぬ地元のソリストに出会ったりする。今回のように。
どんな経緯で地元の音楽先生に納まっているのか知らぬが、
人生なんて不公平なものだと思う。

ちょっとしたチャンスと引き手の巡り会わせでサントリーホールで駄演を
繰り広げて得意がっているプロもいれば、田舎の大学オケで思わぬ演奏を
してしまっている人もいる。

だからといって、田舎でよい演奏をしたって、それまでなのが
日本のクラシック界だ。まったく不公平、やるせない。



昨年冬の岐阜大定演はチャイ4の凄演で、手放しで絶賛した。
しかし、夏の演奏会は練り上げ度もまだまだなのか、
メイン「新世界より」は首を傾げた。

ティンパニは腹まで響く大音量で、この曲の必要性を
十分汲み取った良い叩きっぷりだったし、低弦も優秀。
重低音部門は昨年同様ハイレベルを維持していると聴こえた。
頑張って欲しいのは、管。ここら辺の成長が、冬定演の可否を握っているだろう。

(隊長作)

過去のコンサート感想。

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