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コンサート感想


2010年8月15日(日)14:00  しらかわホール
名古屋弦楽ゾリステン / 加藤晃 指揮
 アンゲラー : おもちゃの交響曲
 ストラヴィンスキー : 協奏曲「ダンバートン・オークス」
 モーツァルト : 交響曲第27番
 フィンジ : エクローグ
 レスピーギ : リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲
 キラール : オラヴァ

(隊長作)

前回と同じく、合奏団規模の少数精鋭集団。
当団突撃は4回目であり、その実力は十分認識している。
指揮者加藤晃のアグレッシブな汗飛び散りまくりな熱演を、
敢えて8月に見るのがオツだ。



ここのチャーム・ポイントは、指揮者が髪を振り乱して指揮棒を
振り回す様に、何かが乗り移ったかのように呼応する奏者たち。
これだけ自分のタクトで人が動いてくれたら、指揮者冥利に
尽きるでしょう。

また、選曲が充実かつ渋いこと。
冒頭は楽団員の子女がおもちゃ楽器担当をするなど
微笑ましいが、ストラヴィンスキーからスロットル全開。

最近、メインだけ練習を重ねて、前中プロは適当
というオケが多かったが、ここは全てに手を抜かない。
彼らの中ではそれなりに練習頻度に軽重があるのかもしれないが、
聴く側からしてはどれも十分錬度の高い仕上りになっているのが嬉しい。

ストラヴィンスキーは編成が極少な演奏だったが、
この少数でこれだけの演奏が出来ることに舌を巻く。
団員の中から最優秀メンバーを選抜したのだろうが、
これだけ妙手揃いだと演奏も楽しかろう。

モーツァルトの交響曲は眠かった。
演奏は上手いし、スピードのあるテンポだったので
私好みだったんだが、それでもモーツァルトは眠かった。
私には、モーツァルトを聴いたり語ったりする資格がないのです。



フィンジは「頌歌」や「レクイエム・ダ・カメラ」くらいしか
聴いておらず、本曲「エクローグ」は初めて聴いた。
ピアノと弦楽による調性ある解かりやすい綺麗な曲。

解かりやす過ぎて、少し安っぽい気もしないではなかったが、
終盤の暗鬱な展開は良かった。こういった近現代の楽曲も
遜色なく聴かせる技量に、ただただ脱帽。

レスピーギの古風な舞曲は第3組曲。
これが第1や第2だったら、そのセンスに拍手喝采なんだが、
やっぱり名曲と言えばまだまだ第3組曲なのか。

ケーゲル指揮アルビノーニ(CD)を思い出して欲しい。
重厚すぎて、レスピーギのサラリとセンス良く
歌い流そうとしている感は全く無く、或る意味、
別の曲のような演奏になっていた。

これは決して非難などで無く、ひとつのスタイルを
押し通した素晴らしい演奏の結実だとも思う。
ただ自分の中のレスピーギと違っただけで、それでいて
これはこれで十分堪能できる解釈と演奏だった。



キラール「オラヴァ」は、弦楽合奏曲で、
オスティナート(反復)技法による曲。

キラールはポーランドでは有名作曲家で、
映画「戦場のピアニスト」の音楽担当と言えば、
身近に感じる人も多いだろう。

それにしても、しらかわホールは重低音がズンズン来る。
それを活かした演奏だったからとも言えるが、名古屋では
最も演奏が堪能できるホールだと再評価したい。

過去のコンサート感想。

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