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コンサート感想


2010年11月20日(土)18:30  すみだトリフォニー
お茶の水管弦楽団 / 河地良智 指揮
 ワーグナー : 歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
 グラズノフ : バレエ「四季」より抜粋
 ブラームス : 交響曲第1番

(隊長作)



やっとの思いでNHKホールに着くと、完売御礼だった。
実はこの日、N響でマーラー「復活」を聴こうと張り切って行き、
いつもように当日券千五百円席を狙ったがソウルドアウトに出くわした。
N響当日券ソウルドアウトは、年に数回あるかないか。

合唱団付きの演奏会は、混み合うのが常道。
おそらく合唱団のご家族ご一行様やご友人並びに関係者様各位という輩が
大挙して押し寄せるんだろうし、そもそもマーラーは人気者になりすぎた。
思い馳せれば数十年前、マーラー「復活」が普通に演奏される事も無かったし、
易々と完売御礼が出る日が来ようとは、あのころ誰が思ったでしょうか。

時代変われば嗜好も変わる。
高二の頃、マーラー復活に大いに感銘を受け、モーツァルトからマーラーに
一気に鞍替えした興奮を思い出す。マーラーやブルックナーは男の音楽、
誰にでも受け入れられるものではない、と思われたものだが、
完売御礼が出るようでは大人気作曲家と認めざるをえない。

それはともかく、原宿駅から歩いてNHKホールまで来たのに門前払い。
このやるせない思いを何にぶつければよいのか。
(隊長作)

いつまでもクヨクヨしたって始まらない。
14時開演や15時開演の演奏会はもう無理だから、
土曜夜開演は無いか探す。演目は少々不満だが、
冬の大学オケ定期は大いに期待できるので、
お茶の水管弦楽団に切り替えた。

永年コンサート通いをやってるとこういった不運はつきもので、
切り替えた演奏会で意外な名演に出くわしたりするもの。
これも何かの縁と思い、錦糸町へと向かった。



実は錦糸町、むかし深く関わった生活圏で、あの頃はよく行った。
北口開発の完成前後で、今やトリフォニーもすっかり地域に根付いた。

音楽文化を錦糸町に根付かせる、という墨田区文化方針は
大成功している。新日本フィルを呼んだ事が最大要因だろうが、
私はそれだけじゃ無いと思う。このトリフォニーが、
アマオケ演奏会を最大限受け入れている成果だとも思う。

東京のアマオケの演奏会のメッカと言えば、むかしは
東京文化会館だったように思うが、今は東のトリフォニー、
西の杉並公会堂。

東京芸術劇場も盛んだし、蒲田のアプリコやミューザ川崎、
みなとみらいもよく名を聞く。しかし東の横綱と言えばココ、
トリフォニーは都心からも近く千葉県からも行きやすい。
音響は響き過ぎると思うんだが、アマオケにはそれが安心
なのかもしれない。

(隊長作)

今回は、御茶ノ水管。
グラズノフ「四季」を採り上げたのは意欲的だが、
楽曲的には好みに合わず、またよく聴いてもいないので
コメントのしようがない。面白かったのは、ワーグナー。

前プロでワーグナーが登場したのだが、ブラ1後のアンコールは
絶対ハンガリー舞曲だなと思っていたのに、予想に反して
またワーグナー。これは嬉しい誤算、しかもローエングリン。

あの華々しい爆発するような冒頭が見事に決まっていて、
ブラ1を見事成功させた興奮が手伝ってか、見事な演奏だった。
おそらく、前プロという緊張する中で演奏するより、アンコールという
大騒ぎの中で演奏した方がローエングリンは上手くいく。
生演奏で、こんなに爆発感のある高揚とした演奏は聴いた例がない。



メインのブラ1は、押して押して押し捲る演奏。
特に終楽章は学生だからこそ出来る力で捻じ伏せるような演奏で、
よくも体力が続くなといった演奏だった。この曲はどの楽章も
素晴らしいと認めざるを得ないが、終楽章はやっぱり別格だ。

聴きどころに次ぐ聴きどころ満載の楽章で、普通は押したり引いたり
しながら進んでゆく。しかし、どこで切っても聴きどころだから、
自分が好きなところを引いたりされると淡白に感じてしまうこともあった。
それを押して押して、押し捲る演奏だとどう聴こえるか。
なかなか実演として味わえない、貴重な実験みたいな演奏は珍しかった。

聴き終った時は、演奏していた人たちと同じくらい疲れてしまったが、
心地よい疲れ。学生演奏だから諸処ミスもあったが、小手先に溺れない
猛攻タイプの演奏だったので、小さなことは気にならなかった。
さすがアマオケ指揮のベテラン河地さんだけある、学生のいい面を
伸ばした演奏だった。

ブラームスは1番や4番は演奏されすぎているのであまり聴きに
行かないようにしているが、聴いてしまうと「いいもんだよなぁ」
と思ってしまう。

東京医科歯科大学の男子もいますが、才色兼備な女性が
圧倒しているお茶の水管。耳だけで聴いたら、男子校演奏のように
聴こえるの何故だろう。

(隊長作)
 

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