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コンサート感想


2011年7月10日(土)14:00  市原市市民会館
市原フィルハーモニー管弦楽団 / 小出英樹指揮
 メンデルスゾーン : フィンガルの洞窟
 ニールセン : 交響曲第2番「四つの気質」
 シベリウス : ヴァイオリン協奏曲

(隊長作)
東日本大震災のとき、市原の石油タンクから
巨大な火柱が上がった事故を、覚えておいででしょうか。

平時のタンク大炎上なら一週間は、トップ・ニュースになったでしょうが、
非常事態の当時では、いくつもある大ニュースの一つでした。




『この世の終わりかと思いました・・・・』とupされた方のコメントがあります。
大地震の時は、こういう事も起こるのだと記憶しておかねばと思います。



五井駅は、あの事故があったコンビナートからは少し陸地にありました。
7月の空は真っ青で、駅前ビル以外は高い建物もなく、見晴らしのいい街です。
こんな長閑な街で、火柱が上がったなんて。



千葉駅からJRで約二十分、市原に来たのは初めてです。
市原と云えばジェフ市原ですが、まさかサッカー観戦より早く、
コンサート鑑賞に訪れる日が来ようとは・・・。

そう、今回は市原フィルが「ニールセン第2番」を採り上げたから、
市原市までやってきました!

ニールセンの人気は少しづつですが、着々と上がっています。

(隊長作)

北欧音楽と言えば、フィンランドのシベリウスですが、
今回のニールセンは、デンマークを代表する作曲家です。

ノルウェー代表がグリーグだとすれば、スウェーデンは誰がいると思います?
これが意外と人材豊富で、ステンハンマル、ベルワルド、トゥビン、
ペッタション、ペッタション=ベリエル、ラーションなど数多くいます。

特筆したいのが「アッテルベリ」でして、
2012年7月8日、ヴィルトーゾ・フィルが川崎教育文化会館で
アッテルベリ第1番を採り上げるので、是非聴きに行って下さい。

それから、2012年9月16日、オーケストラ「エクセルシス」が
杉並公会堂にて、パリーの第2番「ケンブリッジ」をやってくれます。

更に驚きなのが、2013年1月6日、アウローラ管弦楽団が
すみだトリフォニーにて、プロコフィエフ第4番だと言うじゃないですか!
アッテルベリ、パリー、プロコフィエフ・・・。
本当にありがたい選曲です・・・ありがたや、ありがたや。



折角、海に近い千葉に来たので、海の幸でも喰いたいなぁと
駅前を見渡したんですが、開演までの時間に余裕がない。

そこで、駅に隣接した「サンプラザ市原」に行き、
最上階(12階)にあるレストラン「Miyako」で、ランチしました。

ここは平日日替わりランチ500円、麺ランチ600円。
ギンレスレトロハンバーグ800円、ミートスパ600円、
カレー600円、ギレンススペシャルでも1,000円です。

我々は、カレーライスとハンバーグとミートスパを食べましたが、
手堅い洋食屋さんの味で、旨かったです。



駅前見物も堪能し、バスに乗って市民会館に行こうかと
停留場に行くと、バスの本数が少ない。

地方は、マイカーが発達していて、
みんな公共交通機関に依存してない。

こりゃ間に合うのか?と不安になり、
年に数回しか乗らないタクシーに乗ってしまった。

2キロほど距離があり、バスに乗れたとしても
時間が掛かって間に合わなかっただろう。
帰りはバスに乗ったことは言うまでもないが。



ホールは古い市民会館の代表的な建物だが、
音響は響き過ぎることなく良かった。

開演前、ロビーコンサートが催され、
シベリウスのアンダンテ・フェスティボだった。

今から十年位前かな、
「とんでもなく良い曲だ、どうして演奏頻度が少ないの?」
と思ったものだが、今じゃこんな形でも登場している人気曲。
弦とティンパニだけで、最大限のハーモニーが広がって、
聴衆も感動していたようだ。

私は演奏頻度の少ない楽曲、19世紀以降の楽曲演奏会を
主に行ってるのだが、今回のニールセンにせよ、
マーラーやショスタコにせよ、そういった後期ロマン派以降を
採り上げるオケに共通していることがある。

それは金管が上手く、主導権を握っている模様。
それゆえに金管が、トロンボーンも含めて活躍できる楽曲となると、
19世紀以降になってしまう。

問題は、オケ全体が調和の取れた水準だといいんだが、
弦と管の格差があると、演奏は厳しいものになる。

今回はそういった問題点を、上手く処理した演奏だったと思う。
管を中心にハッキリクッキリとさせ、打楽器で要所要所
くさびを打ち込んでゆく。

弦がモヤモヤとなりかかっても、管と打楽器で締めてゆく。
なかなか上手い手法だと、指揮者に感心した。



ニールセンは中プロで、あくまでメインはシベリウスVコンだったので、
錬度が分散されたんだろうが、いつか是非メインをニールセンで
再登場させて欲しい。

ニールセンやってくれるんだったら、また市原に来たいと思う。

シベリウスのヴァイオリン協奏曲。
ソリストは東フィルの2ndヴァイオリン首席奏者宮川正雪氏なんだが、
「2ndヴァイオリン首席奏者」のソリストって初めて聴くかもしれん。
なかなか面白くって良い。

ソリストの演奏は、線が細いが繊細とも言える。
シベリウスの音楽は繊細と豪胆が表裏一体なので、
豪胆さへの斬り返しが決まれば更に良かった。

また、2ndのトップとして経験豊富なようで、
オケに合わせて音楽を造っているなぁと優しさを感じた。

ソリスト様の演奏に伴奏は遅れず付いて来いよ、
というオレ様演奏も面白いが、近現代の協奏曲は
ヴィルトゥオーゾよりソリストも器官の一つだから、
こういったスタイルの方が合っている。

(隊長作)

ホールのお向かいの市役所。

過去のコンサート感想。

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