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コンサート感想


2011年8月7日(日)14:00 渋谷区文化総合センター大和田さくらホール
オーケストラ 《エクセルシス》 / 大浦智弘 指揮
 ノスコフスキー : 演奏会用序曲「モルスキェ・オコ」
 カルウォヴィチ : ヴァイオリン協奏曲イ長調
 カルウォヴィチ : 交響曲「復活」

(隊長作)


「知られざる作品に光を当てるオーケストラ」
というキャッチフレーズを持つ新興オーケストラ。

私が望む、理想を具現化したような団体。
第1回演奏会(2010年10月)はステーンハンマル・プログラムだった。

思い返せば同年、東京外大管が演奏したステーンハンマル交響曲第2番以来、
折角1年に2回も演奏されたステーンハンマルの灯火が、2011年・2012年と
絶えようとしている。

聴けば聞くほど深みがあって感動的な交響曲であり、どうしてこんな素晴らしく
かつ解りやすい交響曲がブレイクしないのか、クラシック界は不思議で一杯だ。

このメルマガを読んで下さってる読者諸兄でさへ、ステーンハンマルは未聴
という方もいらっしゃるのでしょうね。ありえないことです、まったく。

さて、そんなオケの第2回演奏会はカルウォヴィチ。
早くも私の知らない作曲家へ進化。ついてゆけるか、ちと心配。
でも、こんな貴重体験を提供してくれる団体は、本当に大切にしてゆきたい。

ちなみに2012年9月16日予定の第3回演奏会は、待ってました!
私の大好きなパリー。

交響曲第5番が入門に最適なのだが、エクセルシスが採り上げるのは
交響曲第2番「ケンブリッジ」。

どこまでも裏の裏をかいてゆく、アグレッシブな姿勢に脱帽。



ホールがこれまた初突撃、渋谷区文化総合センター大和田さくらホール。
略称で書きたいのだが、どれをチョイスすればいいのか分からない。

渋谷という文字は外せないし、大和田地区にあることもプッシュしたい、
それでいて立地場所「桜ヶ丘」から名づけた「さくらホール」もアピールしたい。

そんな事情「渋谷」「大和田」「さくら」を盛り込んだ故
こんな長ったらしいホール名になってしまったんだろう。
渋谷芸術館とかにスッキリした方が、みんなに覚えてもらえるだろうにね。

ちなみにこのホール、ご存知の方はどれほどいるだろう?
名前の通り、最寄り駅は渋谷駅。そんなに遠くない。

ただし、道玄坂やセンター街もしくは青学方面でなく、
セルリアンタワーの裏と言ったら解るだろうか?

嗚呼あっちの方なの?という声が聞こえてきそうだが、
普通の渋谷ではまず闊歩しない落ち着いたエリア。



この渋谷区立文化総合センターは12階建の馬鹿でかいハコモノで、
最上階のプラネタリウム(大人600円)を筆頭に、6階伝承ホール、
2階図書館、1階保育園などが入った複合施設なのです。

さくらホールは4階にあり、総座席数792席、2層式、
シューボックス型で2階バルコニー席もある構造。



昼前という事もあり、近場でランチを取る。
平日ならいろいろランチを出す店も多そうだが、
日曜日は閑散としたビジネス街のようで、ランチをやっている店が少なかった。

そこでグルリと街を回ってみると、以前TVで紹介していた
山羊のいるカフェというのを見つけた。
店前の檻に山羊が飼われており、店内も満席だった。



そこで他に無いかと探したら・・・ありました。
イイ感じのランチをやっている店が。



海浜食堂といいまして、ランチ各種千円以内。
我らが選んだのは、刺身定食1,000円とチキンカツ定食900円だったのですが、
そのボリゥムの凄いこと。


刺身定食でこんだけの刺身を盛り上げた量は初めて。
まぐろ、ハマチ、イカと実に大量の刺身だった。
チキンカツも肉厚で、これはイイ店を見つけた。




さてさて、演奏会感想。
オール・ポーランド演奏会という珍しいコンセプトであり、
ふつうポーランドと言えばショパンだが、ショパンのショの字も
入っていないプログラムは初めて。

ノスコフスキ(1846−1909)はポーランド発の交響曲を書いた人と言われ、
本日の曲「モルスキェ・オコ」はその交響曲と同時期に書かれたと云う。

曲名「モルスキェ・オコ」は「海の瞳」という意味だそうで、
スロヴァキアとの国境にある湖の名前だそうだ。

全体に暗く、ペルトに近い出だし、強音部はブルックナー風?
ポーランドの息吹を感じることもなく、どこかで聴いた事があるような
ないような、チャイコっぽい感じもあり、こりゃ消えてしまう楽曲だな
と正直感じた。

(隊長作)

お次は、カルウォヴィチ。
第1回演奏会でステーンハンマルを採り上げた集団が選んだカルウォヴィチ
なんだから、どこかしら私の感性にも合うんじゃないかと期待したのですが・・・。

交響曲「復活」と聞けばマーラーの第2番「復活」を連想するが、
こちらは合唱なし。

同時代に書かれた曲としてシェーンベルク「浄夜」、
プッチーニ「マダム・バタフライ」、マーラー第5番、ドビュッシー「海」
といった状況なので、もう少し音楽的にも冒険しても良かっただろう。

26歳の若書きということもあるが、第1楽章の第2主題、
オーボエで始まる可憐で頼りなげな希望の小さな花のような旋律、これは美しい。

重苦しい序奏を経て、闘争の音楽が続くが、フっと裏返って第2主題に変転する。
そのときのオーボエで始まり、弦が絡みつつ美しく発展していく第2主題は
絶品で、この展開部は一聴の価値あり。

この第2主題は様々なバリエィションを施されて何度も出てくるので、
作曲家もお気に入りだったのだろう。



問題は第1主題。
第2主題が、あれほど美しいんだから十分名曲になる原石なのに、
第1主題がどうにも野暮ったい。

この辺の対比を聴いてみたい、という観点からなら本曲は楽しめるだろう。
第2楽章は、名曲予感の叙情的な滑り出しと盛り上がりだが、
あと一手が出て来ない。

第3楽章以降は駄作で、第1楽章で必殺技を使ってしまい、
第2楽章以降ペンは鈍るばかりだったのか。

あと、終楽章でティンパニが「ドンデン、ドンデン、ドンデッデ、ドンデン」
と、かましてから感動的なコーダ突入するのだが、いかにも若者が
恥ずかしげもなく「かっちょいい」音楽を書きました!風になっていて、
この人が33歳で雪崩遭難事故死しなければ、ポーランド音楽ここにあり!
という交響曲第9番なんてのも書き遺してくれたかもしれない。

なんせ26歳で交響曲「復活」なんて大見得切って、ラストでドンデン!
ですからね。

こういった自己主張の強い若者こそ、老成して大化けに化けてくれることを
我々は知っています。

過去のコンサート感想。

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