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コンサート感想


2011年9月11日(日)13:30 すみだトリフォニー
東京楽友協会交響楽団 / 大井剛史 指揮
 グラズノフ : 叙情的な詩
 チャイコフスキー : 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 ショスタコーヴィチ : 交響曲第11番「1905年」

(隊長作)


高校時代からショスタコは、とことん好きだが、第11番を初めて聴いたCDが
ビシュコフ盤だったばかりに、まったく楽曲の凄さに気づかず生きてきた。

それが2007年6月23日の名フィル定演(指揮クライツベルク、故人)で、
その素晴らしさを知り、以降11番をショスタコ最高傑作と崇めて、
機会さえ合えば聴いてきた。

その後、同曲を聴いたのは以下2回で、聴きたくて堪らないのに、
あまり機会が無いという事が判って頂けよう。

● 2008年2月11日、オーケストラ・ダスビダーニャ定演
● 2011年7月15日、東京ニューシティ管(指揮フェラネッツ)

そして、2011年は幸運に年に2回も、11番を聴ける機会に恵まれた。
しかも奇跡が起きるかもしれないアマオケ演奏。

そんなわけで、今やアマオケ定演のメッカ、
すみだトリフォニーに行って来ました。



東京芸劇やミューザ川崎が、再オープンするまで、
トリフォニーの独占状態は続くんでしょう。

観客動員はというと、1階はギュウ詰め状態。
歴史ある東京楽友協会が定評あるのか、珍しい第11番に客が反応したのか、
とにかく大入り。

これは、錦糸町駅近くにあるロケーションも手伝っているようで、
トリフォニーの演奏会で、ガラガラだった例しがない。

墨田区&錦糸町&トリフォニーのクラシック洗脳作戦は、大成功なようで、
地元の爺婆が、かなり常連になっているようなんだね。

クラシックも楽友協会にも、縁が無かったけど、
トリフォニーの千円コンサートなら行ってみる、
そんな連中が多いようなんだね。

とにかく、ほぼ満席の熱気ムンムンな観客数は、
演奏側ボルテージも上がります。



さて、演奏感想、結論から述べましょう。
2011年は約四十公演を聴いたんですが、アマオケ部門では、
今回のタコ11と、翌週に聴いた芸大フィルが最高演奏会だった。

タコ11のお陰で最高演奏だったんでしょ、というヤッカミも
聞こえてきそうだが、さにあらず。

2011年7月15日、同じタコ11を東京ニューシティ管(プロ)で聴いたんだが、
楽友協会ほどの感動は得られていない。

演奏と感動の関係は不思議なもので、技術面と精神面、
さらにローケーションや聴く日の体調など細々と絡み合って
「感動する、しない」に繋がってゆくのだが、
「感動せずにはいられない」演奏というのがある。

隣席がアホだったり、楽曲がイマイチだったりしたとしても、
感じずにはいられないパワーが迸っている場合がある。

今回の演奏は、タコ11が持つ強烈な爆発と破壊のパワーが、
演奏者を共感せしめ、それが観衆に伝播した好例といえる。

音楽本来が持つ凄み、それを演者が共感かつ憑依したかのような演奏、
それを観衆が受け止めざるを得ない。

こういった幸福な演奏会が年に数回はやってくる。

実際、2011年は四十回中、3回しか、これほどなまでの
演奏には出会えていない。ちなみに2012年は、7月下旬現在、
37公演中1回しか大感動できていない。



細かな感想も書き残しておく。
タコ11は、ラスト、鐘の音の余韻を味わうことに極意があるような曲なので、
フライング・ブラヴォーなんてもっての外なんですが、
トリフォニーのお客さん達はその辺よく判っていた。

鐘の音の残響が意図的に短かったのが解せんが、キチンと終わってから
拍手が始まった。良かった、良かった。

全体としてテンポはマッタリ系。
しかし終盤は加速がかかり、それが効果的だった(好きなパターン)。

音量はかなりなもので、音響最大から最弱へ一気にボリュウムを絞る
コントラストも素晴らしい出来栄え。

全般的に音量は大きいのに、最大音響から更に破壊的爆発音に
引き上がるパワーも凄まじく、この豪腕には興奮してしまった。

帰り道、何度も反芻した。
いや〜、良かった!

アンコールなし。



過去のコンサート感想。

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