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コンサート感想


2011年9月25日(日)20:00 杉並公会堂
モーニングフィルハーモニー管弦楽団 / 小柳英之 指揮
 マーラー : 交響曲第6番

(隊長作)

東京アマオケ界の地力が、いかに強いか、
こういった集団が存在している自体が一つの証し。

多くのアマオケにとって、マーラーやショスタコを演奏するのは
一つの頂点であって、冒険であろう。

我が青春の大学オケでも、マーラー第1番を採り上げるべきか喧々諤々。
今にして思えば、当たって砕けたって失うものなんて大したこと無かったのに、
当時は第3楽章冒頭のベース・ソロ一つとっても、激論が続いた。

社会人となり、社会人オケの何でもない定演で、
マーラー第1番を採り上げた事があった。あれほど畏れていたマーラーを、
誰もが淡々と弾いている。こんなもんなの?と内心がっかりしたものだ。

やはり毎日のように練習を共にする学生オケでやった演目こそ、
一生のレパートリーになったんだなぁと思う。社会人オケには複数在籍したので、
学生オケでの演目より多くの楽曲を体験したが、聴いていて当時を思い出すのは、
いつも学生オケで演奏した有名交響曲だ。

そんなあの頃から、かれこれ二十年ほど経った。もう、マーラーは完全に
オーケストラ界のスタンダードとなり、人気演目となった。
そして今回のような、つわもの達が数回のセッションでマーラーをエンジョイする。

何ともまあ、時代の変わることが早いものか。私が老人になった頃は、
数回のセッションでハルサイやプロコ2番をやっちまう演奏会が
出てくるかもしれない。



今回感心したことが、もう二点。開演時間と経費節減だ。

海外では、レストランや交通機関が深夜まで動いているからこそ
出来るのかもしれないが、開演20時というのがよくある。

欧州の中北部、ベルリンやロンドン以北なんかは20時でも
空が白々としていて、あまり遅いという感覚も無い。
20時開演、22時終演。それから、お酒とディナーを軽く楽しみ、
23時に電車に乗る。

今回は日曜20時というのが、少し残念だったが、
土曜20時だったら、全然ウェルカムだ。

少し前までは、土曜といえばダブルヘッダー、
14時開演と19時開演の2本立てが多く組めた。

ところが震災後の電力自粛から、夜演奏会がかなり減った。
最近は復調の兆しが出ているが、土日演奏会は、13:30、14:00、15:00が、
主流となってしまった。

私は、金曜の夜は23時頃まで古本屋巡りし、金曜から
土曜未明まで、夜更かしするのが、最近のパターンとなっている。
それゆえに、土曜は昼近くまで惰眠を貪り、14時開演は正直つらいのです。
(隊長作)



もう一つの関心点、経費節減。
経済を回すためには、多くのサービスと無駄も必要だが、
経費を悩むばかりに、演奏会そのものに尻込みしてしまうのでは、
本末転倒。

プログラムや受付から会場案内までのスタッフは、
いったい幾ら掛かっているのだろうと思ってしまう。

ロビースタッフが皆無な演奏会もあれば、錦糸町の某ホールのように
アマオケ演奏会なのに、ズラリと女性スタッフが各階にいる演奏会もあり、
これだけの人を雇うと、いくら経費に掛かっているのか、
それはチケット代にも影響してるんでしょ? と、考えてしまう。

開演に間に合わなかった人が、演奏中にゴソゴソ入って興醒めになるのを防ぐには
ロビースタッフはありがたいが、それだけならスタッフ数人と降り番の楽団員で
十分でなかろうか。

そのぶん経費を節減し、楽器を買うなり、運搬費や練習場レンタル費に回すなり、
楽団費を安くした方がいい。聴衆側としたら年2回定演制に拘らず、
うまいオケには、ドンドン演奏して欲しい。

特に珍しい演目を採り上げた場合は、東京公演と横浜もしくは埼玉などでの2公演にし、
一つは土曜日、もう一つは翌週の日曜日なんかにズラして、聴衆のチャンスを増やして欲しい。

演奏会演目とは実に不思議なもので、素晴らしい演目演奏会ほど重なるのです。
これは弊紙メルマガが2004年に始まって以来、ずっと感じてきたこと。
2012年11月18日14時に好事例がある。場所は横浜みなとみらい、大ホールと小ホール。

大ホールでは、横浜フィルがブルックナー第5番を、
小ホールでは、横浜シティ・シンフォニエッタが、
ヴォーン=ウィリアムズ(RVW)第5番を、採り上げるのだ。
(隊長作)

我が隊でも、これには驚いたが仕方ない。
私がRVWを聴き、隊長がブルックナーに行くことにした。

せめて13時開演と15時開演とかにズラしてくれれば、なんとかなろうに、
実に残念な事例だ。両曲とも、私みたいにヲタを自認した人が好みそうな曲なので、
RVWを取るかブルックナー(しかも珍しい第5番)を取るか、悩ましいところだろう。


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さてさて、ようやっと感想。
さすが個々のプレイヤーは旨い。腕に自信が無ければ参加できるわけもなく、
個々の技量勝負の箇所は流石と聴き惚れた。

しかし対位法や複雑な絡み合いを身上とするマーラーだ、そうは問屋が卸さない。
ハラハラした場面も愛嬌で、取り憑かれたように弾いている人からは
マーラー愛をたくさん感じた。

そう、マーラーが大好きな人がぶつけ合った演奏、これもまた良い。


悲劇的といえば運命のハンマー。
毎回これをどう叩いてくれるかも見所の一つなんですが、
当団は「木の音」がしっかりして良かった。

ホール音響のせいで見た目ほど効果的な打撃音にならない演奏会も聴いてきたが、
杉並公会堂は「ドッゴーン!」と木槌ならではの音がホールに鳴り響いた。

オケは大きく弦、木管、金管、打楽器と分けられるが、弦は巧者揃い。
逆に金管は不安定で、と言ってもマラ6だから不安定にならざるも
得ないのかもしれないが。当団HPを通して本演奏会の録音も聴けるので、
私の言いたいことがここで解るかも。

また、何度も申し上げて恐縮ですが、杉並公会堂はいまだに「ワンワン・ホール」です。
残響が多過ぎでして、中規模編成によるバロック〜初期ロマン派なら
うっとりした響きになるかもしれません。

しかし大規模編成による爆音は反響に反響が重なってブヮンブヮンです。

ですから大編成オケは音響が抑制された古いホールにすべきです。
綺麗で新しいホールの方が一般客は喜ぶでしょうが、せっかく細部まで練習したのなら
ワンワン・ホールは台なしです。

先述の当団HPを通して聴ける録音も反響が凄いんですが、
実演もこれに近かったです。決して録音機材のせいだけでもありません。





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余禄。

杉並公会堂1階にあるカフェ「エスプレッソ・アメリカーノ」に行きました。
スコーン、ロールケーキ、アイスカフェなどを食べたんですが、普通に美味しかった。
スコーンは温めて出してくれるし、ロールケーキには蜂蜜シロップがよくあってました。



過去のコンサート感想。

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