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コンサート感想


2011年11月3日(木祝)14:00 すみだトリフォニーホール
ルスコアール管弦楽団 / 大井剛史 指揮
 ウォルトン : 「ポーツマス・ポイント」序曲
 コダーイ : ハンガリー民謡「孔雀」による変奏曲
 プロコフィエフ : 交響曲第5番

(隊長作)


前回メルマガで、「アマオケ・コンサートに入場できなかったことは一度も無い」
と、のたまったばかりなのに。

いらんことを言った時に限って、不思議とジンクスは崩れるものである。
2012年12月24日、ルスコアール第33回定期(マーラー「大地の歌」)を聴きに、
杉並公会堂へ行ったのだが、開演数分前だったこともあろうが、座席残数なし
のため、「お引取り願いたい」となったのだ!

くっ、はぁっ!わたくしとしたことが!!

(隊長作)

招待状を貰ってたので冷静に引き下がったが、メイン・大地の歌演奏会で
満員御礼&入場不可とは、なんと時代が変わったことか。

ちなみに、杉並公会堂大ホールは1,190席と「大」ホールと言うには苦しいキャパシティ。
それなのに、フルオケ演奏会が多く、「ゥワンゥワン」と音が響き過ぎる演奏が多い。

ただし今回は、声楽つきの大地なので、日本人声楽家に多い声量不足が
緩和されるんじゃないか、歌声がしっかりたっぷり聴き取れるんじゃないか、
と期待はしていた。また、ルスコはそこを狙って敢えて今回は杉並を
選んだのではないか。



ルスコはココ最近、すみだトリフォニー(1,801席)ばかりで演奏をしており、
招待状やWEB無料サービスなど集客に励んでいるので、想定以上の来客成果が
あった上に、ホール変更(すみだ1,801席→杉並1,190席)による座席数66%という
ダブルパンチを喰らったのだろう。実際喰らったのは、私なのだが。
(隊長作)

それにしても、近年のマーラー・ブームは凄まじい。
第1番「タイタン」なんて珍しくともなんともないし、第5番や第9番、
第4番なんてのも、よく見かける。

ちょっと前なら、第6番演奏会を発見したら興奮で眠れなかったもんだが、
今やアマオケが、第2番「復活」や第3番をやることも慣れてきた。

そして、ルスコは「大地の歌」を出し、しかもそれは満員御礼だ。
「大地の歌なんてやって、ヒト来んの?」とバカ団員が言いそうだが、
「大地の歌やったら、満員御礼で暴動になるんじゃないの?」
といった心配をした方がいいのかもしれない。

しかし私の心はさにあらず、今はもうマーラーからココロ離れて。
学生時代あれほど熱狂したマーラーだが、最近マーラーを聴きたいと思うことは少なく、
今回の「大地の歌、入場不可」にさしてガッカリしなかった自分に寂しさを感じた。

それより早くブックオフ荻窪店へ行ける♪と思ってしまった自分が悲しい。
なにゆえ、マーラーからココロ離れてしまったのか。

ちなみに、今私のココロを締めている最高音楽家はマリピエロ(SQに限定)で、
当然そんな演奏会は無く、寂しい日々を送っている。

二番手アッテルベリも、オーケストラ・ナデージダが採り上げなくなって久しく、
これまた侘び寂び。

三番手まで後退したショスタコ&プロコは、ようやく時代も追い付き、
演奏会はしょっちゅうある。この三番手で憂さ晴らしをしており、
2013年1月はアウローラ管がプロコ第4番(なんと!)、
千葉フィルがプロコ第6番(な、なんと!!)、
3月には、ダスビダーニャがショスタコ第4番(待った甲斐があった)
という大演目を出してくれる。



また、2013年2月3日は素晴らしい演奏会が3つも重なってしまい、
私を悩ませている。

ひとつはFAF管のエルガー第1番。RVWのワスプスも併演されお得感倍増。
ところが同日同刻、オーケストラ・ヴィンデがニールセン第4番をやると知った。
併演には、ニールセン「アラジン」ときたもんだから、希少性ではこちらに
軍配が上がる。

せめて14時開演と18時開演に分散されていたら・・・と思っていたところに、
藝大生による室内楽演奏会プログラムが発表された。

この内容が凄まじく、沢山テンコ盛りの演目の中、ショスタコSQ第3番と
ニールセン木管五重奏曲が混じっていたのだ。エルガーやニールセンの交響曲は
いづれ聴けるとしても、タコSQ3番や、ましてやニールセン木管五重奏などは
そうそう巡り合えない。

でも、エルガーもニールセンも聴きたいし、室内楽は希少過ぎるし・・・
どうして、こうまでダブルんだろう。

(隊長作)

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さてさて、感想。
ウォルトンとコダーイは、全く感慨なし。
どんな曲だったかメロディさへ覚えていないので、探して聴いてみたが、
やっぱり興味も関心も持てない。

ちなみに、コダーイにはちょっとした思い出がある。
学生時代、とあるド田舎で学習塾の先生バイトをやっていた。
一時間ごとに生徒が入れ代わるんで、次の子供たちが来るまでFM放送を
聴いてたんだな。その時、偶然流れたのがコダーイの無伴奏チェロ・ソナタだったが、
これが、無茶苦茶ココロに突き刺さった。

バルトークやヤナーチェクは、未だ好きになれないけど、
コダーイはいいんじゃないかと前向きに好感していた。

ところが今回「孔雀」を聴いたが、やっぱり関心は持てない。
正直理解できないだけなんだが、こういった曲を心から好きになっている人も
いるんだし、私だってマリピエロが好きなんだし、ヒトの趣味嗜好は十人十色
と、よく言ったもんだ。

今回のお目当ては、当然プロコ・ナンバー・ファイヴ。
この曲はプロコフィエフ交響曲の中でも圧倒的に演奏頻度が高く、
それだけに我が隊も実演で聴き込んでいる。
(プロコ第5番は、本演奏で11回目の感想となるはずだ)

これでは聴く側の経験値が上がってしまい、サプライズや意外性を
混ぜ込まないと感動性が弱まってしまうことになってしまう。

ご老人にベートーヴェンを聴かせると、「むかしベームが来日した時にゃあ・・・」
などと宣(のたま)い始めるのと同じ理屈である。

しかし、そんな経験値ある我々でも、ルスコの完成度はなかなかのもんだった。
チャイコフスキーやブラームスなら、ほぼ完璧に演奏出来る楽団はままあるが、
そんな楽団が、プロコをやったらメタメタな事がままある。

しかし、ルスコは難しい演目ばかりやっているだけあって流石、
この難曲中の難曲でも、そのクオリティは崩れることを知らない。

これを分析するに、各パートの力量差が小さく、
満遍なく安定した総合力があるためだ。

先日ワーグナー・ガラを採り上げたアマオケは、さすがワーグナーを
採り上げるだけあって木管と高弦は上手かったが、中低弦おとなしく、
金管一部は厳しかった。

このように、半分のパートが抜きんでて率先した選曲を実現しても、
足を引っ張ってしまうパートがいると結果は残念なことになってしまう。
私は、チームワークとか総合力と言った全体主義が嫌いなんで、こういった結論を
持ってきたくないんだが、オケを聴いていると、どうしてもパート間の力量差が
目立ってしまうと、感想も厳しくなってしまう。

ここまで上手いなら、どうしてもう一歩突っ込んだ獰猛さ(アグレッシブ)を
聴かせてくれないのか、もどかしく感じてしまう。

正確さを重視しているからこそ、安定したクオリティを保持できているのは解る
が、これだけ上手いのならもう一つ上の次元に行ける事に気付いて欲しい。

早い所はもっと速く、スリリングなシーンはもっと際どく。
プロコの良さは「ドキドキ、ワクワク」なんだから、そこんところを
織り込んでくれないとプロコ・ファンは、大満足できない。

そうは言っても、半年後にこのルスコが演奏したエルガー第1番に我々は
ひれ伏してしまうんですな。

2012年6月のルスコ・エルガーは、2012年最高の演奏会となったことを
併記しておきたい。



(隊長作)

過去のコンサート感想。

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