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コンサート感想


2011年11月6日(日)18:30 新宿文化センター
東京理科大学管弦楽団 / 川合良一 指揮
 エルガー : エニグマ変奏曲
 チャイコフスキー : 交響曲第6番「悲愴」

(隊長作)


どういう事情か、本当のところは知らないけれど、
演奏会の開演時間について語りたい。

最近、土曜でも日曜でも午後2時開演がほとんどを占めている。
これはアマオケ・学生オケについての開演時間であって、
プロオケのことではない。

アマオケは基本、半年に一回の定期演奏会を目指して練習に励む。
いよいよ本番を迎え、全体合奏やタイムスケジュール予行などをこなして、
ゲネプロ・本番に至る。

本番デーは朝から楽器搬入やら折込チラシ、花束や差し入れのクローク係やら
当日チケットのお釣り準備とか、もう前回のアンチョコで確認しないと
思い出せないほど雑用が繁多にある。

それでなくても本番演奏へのプレッシャーもあるし、
時間さへあればさらい直したいしで、演奏はあっと言う間に終わる。

ところがこの後、打ち上げが待っている。
ただでさへ、ヘトヘトなのに、酒だけは外せねえと楽しみにしている輩も
多いので、打ち上げ用の専任者を用意している団体もある。

14時開演、16時終演、16時半から撤収に入り、17〜18時には完全撤退だ。
18時前後から打ち上げが始まり、中締めが20時、二次会もあれば22時頃解散、
そして次の日はいつもの平日が始まる。

こう考えてくると、14時開演は理想的な開演時間となる。
今考えると、18時とか19時開演というのはどういうスケジュールで
やってたんだろう。

21時終演、22時撤収だから、打ち上げは無理、
そんな「打ち上げ反対派」の深慮遠謀だっただろうか。

しかし学生は若い。
わが大学は打ち上げを後日、別の日にセッティングし、
夕方から終電間際まで延々とやっていた。

学生だからこそ出来る技なんですね。
ところが最近は、客の方が14時開演を好むという。

そもそもクラシック演奏会に熱心なのは年寄りが多く、
年寄りは遅くならないうちに家に帰りたがる。
19時開演、21時終演なんて、帰宅するのは22時前後で
とんでもないと思うのだろう。


私はクラシック演奏会=夜の演奏会といった古い概念があり、
煌々と輝く華やかなコンサート会場から暗い夜道へ歩くのが、
演奏会からの帰り道というイメージがある。

NHKホールを出て、区役所前交差点へ伸びる並木道といったら
夜道というイメージなんだがなぁ。

ただし客の方も16時終演だとありがたい事が多い。
新宿のディスクユニオンだって開いてるし、
夕食も18時頃には空いている店を選べる。

帰宅するのは20時頃で、明日から仕事だとしてもゆっくりした夜が過ごせる。

さて、今回こんなことをグダグダと書き連ねたのは、
珍しく日曜夜コンサートに巡りあったからだ。

この日の前日、土曜日は鎌倉で演奏会を聴き、その夜、
江ノ島で遊んだりしたもんだから、土曜日の帰宅は深夜近かった。
もうグッタリしてた。

もし、今回の演奏会が日曜日14時開演だったら、
おそらく行かなかったろう。

ところが日曜日夜開演である。
疲れた体は日曜日昼まで惰眠を貪り、すっかり体力回復。
折角の日曜日、このままではダラダラしたままで終わっちゃうな、
などと考え始めている。

そんな日曜の昼下がりから外出の準備を始めても、
18時半開演だったから余裕で間に合ったのです。

いやあ、日曜夜の開演は実に素晴らしい!
この夜は演奏会を堪能した後、阿佐ヶ谷のブックオフに行って、
阿佐ヶ谷のインドカレー「クマリ」にも寄った。

クマリは夜でもお得なセット・メニューがあり、
カレー2種&ライス&ナン&タンドリーチキン&サラダと
テンコ盛りで1,280円。

しかも手堅い旨さで、自分チの近くにあったらしょっちゅう
行っちゃうんだけどな。



東京理科大学管弦楽団は二度目の突撃。
一度目は今から十年近くも前、2004年11月21日だ。
この時はエルガー交響曲第1番を採り上げてくれたので狂喜して
駆けつけた事を憶えている。

その後、ステンハンマル交響曲第2番(2009年)を聴きに行けなかったのが
心底残念で、理科大と言えばステンハンマル聴き逃した、と焼きついている。

さてさて、演奏感想。
前プロの無い、2曲構成。
プロオケで聴いてたらピンと来なくとも、アマオケで聴くと
その難しさに気付くは多々ある。

時に下手だなと思うこともあるが、時にうぉーと思うほど
心に来る演奏があり、聴き応えがあった。

クレッシェンドの仕上がりが素晴らしく、
管楽器奏者の中に相当な手練れが混じっている。

最近エニグマが各団で採り上げられ、ちょっとした流れがきているが、
難しいソロがいくつもあり、このソロに対応できるかが一つの
ネックになっている。

それでも、ソロのミスがあったとしても、
エニグマのもたらす大きなうねり、そして感動は大きく、
ソロのミスは一切不問としてでもこの曲は広まって欲しい。

むかしからエルガーと言えばデュプレの名演のお陰で
チェロ協奏曲が有名だが、そろそろエルガーといえば
交響曲とエニグマになりそうだ。

また、威風堂々といえば第1番しか演奏されないが、
第2番〜第6番(補筆完成)だって負けず劣らずであり、
第1番以外を採り上げてくれたら聴きに行く。

チャイコフスキーの悲愴。
学生オケの、しかも実質最後の別れとなる冬の定演で悲愴はずるいよね。

私の学生時代も悲愴をやった冬定演があったが、
もう演奏している側からして情緒不安定だった。

いま、春夏の演奏会をチェックしてるんだけど、
意外と春夏でも悲愴演奏会はあるんだよね。

むかし悲愴といえば秋冬の正規定演で採り上げられる大曲だったが、
最近ではマーラーやブルックナーなど超弩級メインが増えたので、
弩級交響曲「悲愴」は春夏演奏会に廻されてるんかもしれない。

そうは言っても、悲愴は悲しくて思い入れタップリなほど映える曲。
やっぱり悲愴は学生生活最後の冬定演でこそ、最高に輝く楽曲だと思う。
聴いてるお客さん(オケ経験者)も悲愴にまつわる思い出を持つ人が
多いだろうから、学生達の思いのこもった音に、ジーンとくるんですなぁ。

アンコールは、バッハのアリア。

(隊長作)



過去のコンサート感想。

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