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コンサート感想


2012年5月26日(土)14:00 所沢ミューズ
国分寺フィルハーモニー管弦楽団 / 久志本涼 指揮
 ワーグナー : 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死
 ショスタコーヴィチ : 交響曲第9番
 ベートーヴェン : 交響曲第5番

(隊長作)

西武線は新宿と池袋に発着駅を持つが、その2駅から伸びる線路が
一度だけクロスするのが所沢駅。

それまでは南を新宿線、北を池袋線と走るが、所沢をクロスした後は
川越へ北に目指す新宿線と、飯能へ西に目指し秩父線に続いてゆく池袋線がある。

両線が別れてゆく入間・狭山あたりまでは狭い間隔で平行して線路は走り、
ひとつの鉄道会社が計画的に路線を張り巡らしたのでは無いであろうことを
想起させる配線となっている。



さて、今回の所沢ミューズは名前のとおり所沢市に位置するが、
所沢駅前にあるのではない。

所沢駅から新宿線で一駅目の航空公園駅から十分ほど歩いた先にある。
駅東口は開放的な広場があり、でかでかと飛行機YS−11が鎮座しており、
航空公園駅の名に恥じぬ玄関を飾っている。



広場から所沢航空記念公園が長く広がる。
園内各所には飛行機が飾ってあり、航空発祥記念館には
本格的な飛行機展示もなされている。



公園は広々と開放的で明るく、芝生は青々、木々はモクモク、
飛行機といっても民間旅客機だからのんびりしたもので
軍事的な雰囲気は感じない。

その公園の一端に、所沢ミューズがある。



ミューズはパイプオルガンも備えるアークホール2,002席と
マーキーホール798席、キューブホール318席の
3ホールから成る大掛かりな施設で、
年に一度来るか来ないかくらいだから勿体無いほどだ。

今回はショスタコとワーグナーという演目が重なったこともあったから
来たが、アマオケがしょっちゅうやっているという程でもない。

開演前の昼食は、公園端にあった「馬車道」で摂った。
チキンのデミグラス・ソース煮込みと
カツレツ・トマトソースのチーズ掛けオーブン焼きを食べた。



航空公園は家族連れや幼児が一杯だったが、
馬車道では落ち着いて食事が出来たので正解だった。

(隊長作)

国分寺フィルは初めて聴く。
ワーグナー、ショスタコとしつつ、締めは「運命」といった挑戦的かつ
堅実的なプログラムは経験と実績を予感させる。

木管が上手い。
特にショスタコ9番は木管が大活躍するが、タコは上品に吹いては
タコらしさが無くなる事も良く解ってらっしゃる。

一方、あらためてこうやって生演奏を聴いていると、
弦楽器が難し過ぎることがよく伝わる。

たとえば、チャイコフスキーの第5番。あれを譜面どおり
独りで練習していると、とてもじゃないが完璧に弾ける日なんて
来ないように感じる。

しかし練習に練習を重ねると、演奏会直前に急速にサマになってきて、
当日は感動しまくっているうちに演奏も怒涛の勢いで成功してしまったりする。

ところが、ショスタコは根本からそうは出来ない。
節回しは難しいにも程があるし、練習に練習を重ねても
難しいハードルは下がらない。

演奏者全体が猛烈な突き上げるような興奮で演奏に没頭できるほどでもなく、
苦しさのうちに演奏は時間が押し出してゆく。



ショスタキストとしては、それでもタコ演奏はライヴで楽しいのだが、
奏者としたら実に大変だったろう。

これに懲りずにショスタコの別ナンバーも採り上げて欲しい。
翌年(2013年)、プロコ・ナンバー5を採り上げてくれたが、
ショスタコは採り上げていないのが少し不安だ。

メインの運命。
まったく上手かった。
タコの苦行から開放されたかのように、生き生きと
運命を謳歌しているサマが、小憎らしく感じたほどだ。

そんなことだったら、タコをメインに持ってきて、
もっとタコの完璧を目指さんかいっ、と拗ねてしまった。
難しすぎる練習は誰だって面白くないよね・・・。

いや、待てよ。
もしかしたら、「運命」を聴きに来たパンピー相手に、
ショスタコ9番の面白さを布教しようという作戦だったのか?

そうだとしたら、壮大な計画だ。
ずいぶん変わった音楽もあるもんだな、しかも「第9番」が
あんな音楽だなんて、ちょっと面白かったね、
なんて感じてくれた人がいたら良かったね。

終演後、航空公園もそそくさと、我々は次なる目的地、中野に
向かうのであった。




(隊長作)

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