あめ(隊長作)

2004年11月20日(土)  18:30   - 58 -   訪問者数

    田中一嘉指揮  お茶の水管弦楽団  新宿文化センター

    スッペ    軽歌劇「詩人と農夫」序曲
    ドビュッシー 小組曲(ビュッセル編)
    ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」

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東京医科歯科大学とお茶の水女子大学の学生を
中心とした大学生によって
構成されている学生オケです。

以前、学生オケのブルックナーは
かなり危険、
と書いた事がありました。


  今回も「お茶の水」管弦楽団だったので、お茶大のOBオケ(大人)か、
  お茶の水界隈の地域オケ(大人)だろうと思って出掛けたんですが、
  お茶の水界隈にあるお茶大と東医歯大を中心とした学生オケだったのです。
  最近の私は歯医者さんに通っておりまして、そこの先生が東医歯大出身。
  なんとも不思議なご縁であります。
  
  昔は自分も学生だったこともあって、学生オケはかなり行きました。
  しかし今年は、慶應ワグネル・埼玉大・早大フィル・早大弦楽合奏団・
  東大音楽部と、意外にも5団体しか行ってません。
  学生オケというのは栄枯盛衰が激しく、たった1年で全く異なるサウンドを
  出すもんですから、博打みたいな懸けコンサートになってしまいます。
  その分、当たった時の意外性や、有名大学オケでの大外れなど、
  何が起こるか聴いてみるまで判りません。
  
  また冬の定演は、1年生から卒業予定生まで全員を基本的には
  出演させなきゃならん訳で、プログラミングも苦渋の後が見られます。
  今回のお茶管もそうで、スッペ、ドビュッシー、ブルックナーです。
  オーケストラで最も重要なイベントの一つとも言える「選曲会議」。
  学生オケでもっとも闘わされる論議が「演奏可否」です。
  
  どんなに良い曲や、どんなに挑戦したい曲があったとしても、ここぞという箇所で
  「この音がうちのオーボエ奏者では出せません」とか、
  「今年のコンマスではこれほどのヴァイオリン・ソロはきついでしょ
  なんて言い出してたら、候補曲はどんどん落ちていきます。

  そこで今年はどうしても当選させたい曲があったれば、根回しは勿論のこと、
  候補曲の美味しい所だけ繋ぎ合わせた特製MDを貸しまくったり、同じ一票を
  持っている意思の無い下級生に夕飯を奢ったり、
  それはもう政治家の世界です。
  
  そんなに迄しても、チャイコやドヴォルザークの名曲パワーは強く、
  合いも変わらずベートーヴェン・ブラームス・チャイコ・ドヴォの四天王の
  順繰りプログラムが産み出され続けます。
  私のいた大学オケも御多聞に漏れず、ご想像のとおりの私の八面六臂の工作も適わず、
  上記の四天王を経験しています。   ?(隊長作)

それ以外もやるにはやったんですがぁね。

  そんな昔話を思い出しながら今夜のプログラムを聴いていると、
  まさに苦渋の後が偲ばれる訳です。
  まず、メインをブルックナー第4番に据えている。
  これは相当大変だったろうと思います。
  このオケも女性が多いんですが、ブルックナーは多くの女性に嫌われています。
  最近の女性はそうでもないのかもしれませんが、
  あのじわじわネチネチ迫ってくる手練手管は、女性の受けが悪いのも想像がつきます。
  
  そしてその見返りと申しますか、ブル4への視線をそらすべくか、
  女性に人気の高いドビュッシーを持ってきている。
  しかも「海」みたいな難曲でない「小組曲」という絶妙な選曲。
  こうやってじっくり聴いてみると、佳曲ばかりのいい音楽であまり演奏されないのが
  不思議になってくるくらい。
  
  前プロのスッペは実に不思議な選曲だ。
  大体こういう時って、無難な魔笛とかエグモンドなんかが多いのに、
  この曲はかなり長大なチェロのソロがあるのだ。
  これはチェロ・トップが相当やりたかったのか、自信があったのか。
  私なら、これだけのチェロ・ソロを承認してくれるトップがいるのなら、
  間違いなくプッチーニの「マノンレスコー」間奏曲をやってくれい!と懇願するだろう。
  前プロにドビュッシーを持ってきて、中プロで間奏曲をやると面白い構成にもなるし、
  プッチーニを定演に載せれる実力も顕示できるし、お薦めなんだが。
  さかな(隊長作)

さてさてようやくメインのブル4感想です。
いつもいつも前フリが長過ぎるんですが、
  よくぞここまで我慢して下さってありがとうございます。
  学生オケのブル4であったわけですが、これは意外な聴きものでした。
  多くの学生オケのブルックナーでは、ブッルクナー愛好家らしき
  金管軍団に滅茶苦茶吹かれて、吹奏楽を聴いているような錯覚を覚えるんですが、
  このオケは弦楽器陣が大健闘。
  
  ぎゅわんぎゅわんとしたしなりさえ感じる弦の音は、ブルックナー的かどうかはさておき
  精気満ち溢れた充実した音色で、特にVn群の実力は都内でも屈指の状況にある。
  逆にブルックナーはホルンにこそ真価が求められるのであるが、
  こちらはちと厳しいようだった。
  ペットとボーンが好調な分だけ目立ったのだろうが、
  全パートの実力が一斉に花開く時期というのは中々難しいのだろう。
  
  我が愛するヴィオラ・パートはと云うと、ブル4は第2楽章で
  独壇場があるんですが、ここは弱音記号にびびらず、
  もっとしっかりとした臈長(ろうた)けた歌で弾き切った方が好みだった。
  この辺の考えは指揮者の考えでもあるので、ヴィオラに言ってもしかたないんだが、
  私だったら事前に打ち合わせておいて当日指揮者無視のヴィオラ部隊反乱、
  とかやってたろうなぁ。
  
  こういう事をすると、金管さんだって突進しちゃって滅茶苦茶な演奏会に
  なっしまうんだが、ヴィオラはもともと音色が滋味なんだから
  自分が思っている以上の音量で弾いて、調度良い加減だと思う。
  
  結局はこのあと、ブル4にはいたく感動してしまった。
  特に終楽章では面白い発見が多くあった。
  終楽章冒頭では、ベースのズンズンズンズンという刻みで始まるんですが、
  多くのCDでは聴こえるか聴こえないかの微弱な音。
  ところが今回ではこれが実に格好良く、それでいて不安な気持ちを
  煽り立てるような響きも出しており、一気にここら辺で痺れてしまった。
  
  音楽ってこういった「つかみはオッケー」的なことも大事だと思う。
  こりゃいいぞ、と思わせるとその後の演奏もポジティブに受け止められるし、
  心が感動体質になっていてキッカケさへあれば直ぐに感動してしまう。
  このあと私は脳天からお尻のあたりまで感動電流が走ること3回、
  不覚にも学生オケにここまで逝かせられるとは、と悔しい気持ちになる程でした。
  
  最近、アマオケで感動し、プロオケでしらけ切った心があるのは
  どうしてなんだろうと考え込んでいます。

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