10月2日(日) 14:00 - 96 -
松沼俊彦指揮 TAMA21交響楽団 アミューたちかわ
ウェーベルン 「夏風の中で」
マーラー 交響曲第6番「悲劇的」
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勇名を馳せているTAMA21を初めて聴いてきました。
だって去年はバルトークのオケコンだし、その前はリヒャルトのアルペン。
もっと云えば、その前はブル7と、ここ数年大曲難曲尽きぬが如しである。
こりゃ来年はブライアンの交響曲第1番「ゴシック」でもやってくれるかな、
と期待してしまうのだが、エルガーの交響曲第3番(ペイン補筆)なんかでも面白い。
冗談はさておき、こういった曲を期待してしまうほどのオケだった。
上手いオケと云うのは共通していて、まず選曲が秀麗。
そして弾ける弾けないなんて次元は軽く超越。
極めつけは、女性が凄まじいこと。
凄まじいなんて書くと怒られそうだが、ガンガン弾く。
椎名誠が「ワシワシ喰う」なんて表現があるが、ああいった類いだ。
スカッとする、気持ちがいい。
楽団全体がマーラーの悲劇的が何たるかをたっぷり呑み込んでて、
つんのめりそうな猛進も私の理想的なテンポ。
この悲劇的って曲は、出だしのズン・ズン・ズン・ズンをどういったテンポで
やっちゃうかで千差万別になる面白い曲なのだが、
こういったグイグイ突っ込んでくるテンポが私は堪らない。
バルビローリ指揮のように、どうしたんだ?というくらいねっとり
歩み出すテンポも終楽章でその効能が驚くほど発揮されるのを知ってはいるが、
やっぱり悲劇的は涙も乾けよとばかりにずんずん歩き去ってゆくさまが愛おしい。
そこにどれだけの思いが込められているか想像させてくれるのであって、
その攻撃的な怒りがどれだけ悲劇性を持ち合わせているのか妄想してしまう。
ただし、冒頭からこのテンポで突っ込んでくることは相当無茶だ。
第1楽章中盤で吹き荒れる展開部が、どんどん波瀾に満ちて、
腕に覚えが無いと崩壊してしまうだろうから。
まぁこれがあれよあれよいうままに、ビシビシ決まってゆく。
ほんとに弦のお嬢さん達がブンブン腕を振るって弾き抜いてゆくさまが
颯爽としている。
大体のオケの1st&2ndは女性が多い。
女性と云うものは美しく奏でられるヴァイオリンやハープに憬れるようで、
ヴァイオリンとは美しくあれねばならない、と頑固に信条とされてらっしゃる方が多い。
しかし、です。
違うんですよー!
ヴァイオリンとは変幻自在の快刀乱麻であるべきセクションなんです。
ある時は美しく、ある時は高貴に。
しかし作曲家がそれを望むなら、かなぐり捨ててむしゃぶりつかんばかりの激情を
暴露させるパワーも持ち合わせてなければならない。
それがこの「悲劇的」には全編要求されているんです。
そしてそれを遺憾なく発揮した、大満足な演奏であった。
ちなみに、ウェーベルンをはじめとしたウィーン学派は、私は全くの
門外漢。
聴くのさへ面倒だなぁと思ってましたが、この「夏風の中で」は
思っていたより解り易く、さわやかな一曲でありました。
なんでも聴かず嫌いはいかんな、と思った次第です。