(隊長作)

7月29日(土)19:00   - 119 -    訪問者数

    小林幸人指揮   上野の森交響楽団  杉並公会堂

    ラフマニノフ   ピアノ協奏曲第2番
    ドボルジャーク  交響曲第8番

  wowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowo
  杉並公会堂
今年は、全然コンサートに行ってない。

反省するのが普通なんだろうが、私に反省と云う文字は無い。
なんだか今年はコンサートがツマンナイのだ。

なんか血沸き肉踊るような、演奏を聴き終わったあと踊りだしたくなるような、
聴いている最中に知らずして涙してるような、
そんなコンサートは無いものかねぇ。

  そんな演奏には百回に一回巡りあえたらラッキーだと、分かっちゃいるけど求めてしまう。
  だったら尚更聴かねば出会えないんだが、出会いが遠のくと足も遠のく。
  気がつけば今年も半分が終わり、熱い夏は始まっている。   (隊長作)

そもそもサマーコンサートって、どこのオケも大曲より爽やかな名曲路線。
  私にとっては実に厳しい季節なんですが、名曲名曲とバカにしてても始まらない。
  敢えて名曲にも手を出して、喰わず嫌いを直しちゃいたい。
  
  その昔、ラフマニノフのPコンは第3番の方がイイ、と気づいたけれど、
  第2番だって捨てたもんでもなかろう。
  村の鎮守の神様は〜♪ドヴォルザークの第8番はそんな野暮の骨頂だけど、
  好きな人は大勢いる。
  コテコテの名曲コンサートだけど、あの、新築「杉並公会堂」で演奏会だと知り、
  行って見ました。
  
  予想に反して!...と書きたいとこだけど、私には厳しいプログラムだった。
  なんで私には厳しいんだろ?と考えてみました。
  
  楽曲が人口に膾炙されてるのはしょうがない。   (隊長作)

誰もが食べ飽きた食材で、「はう!」と唸らせる料理は、どう創れば良いのか。

  もっともオーソドックスなのはアンサンブルの精度を上げ、
  究極のアインザッツで甘美な音の饗宴を繰り広げる。
  しかしですよ、半年ほどの期間で、週に1〜2回の練習でそれが可能だろうか。

  確かに抜群の精度を誇るスーパー・アマオケは都内に若干あれど、
  そういうオケって精度以外の熱気や情熱も尋常じゃ無いんだよね。
  
  それよりも、アマオケだからこそ出来る大冒険があるのではないだろうか?
  通常の商業ベースでは不可能な、金をシコシコ考えてちゃ出来ないバクチを、
  どうしてどこのオケもやってみないのか?
  
  まぁ、多くの一般聴衆は数ヶ月ぶりに生演奏でも聴いてみようかい、と
  のんびりとやってくるんんでしょうが、そんな癒し系をひっくり返してみても
  面白いんじゃ無いか?
  ひっくり返った聴衆が、禁断の果実の旨味が忘れられなくなるかもしれないではないか。
  杉並公会堂 自転車置き場
さて、禁断の果実とはどんな演奏か?
例えば今回のドヴォルザーク交響曲第8番「村祭り」。

この曲はドヴォルザークの「郷愁」を描いたノスタルジックな、
でも叙情的な美しい旋律に溢れている。
そこを敢えて、「郷愁」じゃなく、「強襲」的に演奏してみたら
どうなるだろう。
  
  第1楽章冒頭の「らーらららー」とチェロが哀愁を帯びて謳い出すのだが、
  これが実は非常に難しい。
  かなり美しい音色で、深い味わいと古里の夕日を映えさせたような世界が
  要求される。
  でも、そんな音色、世界の名だたる名門でもなきゃ表わせない。
  そこでどうせそんな世界観の表出が無理なんだから、思いっ切り荒々しく
  外連味なチェロの疾風怒濤のスピードで始まる。   (隊長作)

客は「ど、どうしたんだ?」とすっかり不安に包まれるが、そこが狙いよ。
  いつもどうりの「村の芝居が始まるよ〜」的なのんびりした始まりではなく、
  村一番の庄屋の娘が、かどわかしにあったような、ナーバスな悲劇を
  予感させるのだ。
  
  こんな調子で語ってたら話は終らないので、最後、庄屋の娘が目出度く
  誘拐犯から取り戻し、犯人を捕まえた青年(少し木偶の坊)と盛大に
  村祭りが開催される。
  「わぁい、わぁい、おらは綺麗な嫁さんを貰えたどー!!」
  こんな喜びを表現するように終楽章は展開するが、ここで登場したいのが
  打楽器だ。
  
  通常は当然ティンパニがドンドコやるのだが、これではつまらない。
  舞台最奥のカーテンが切って落とされると、そこには
  裸体の祭り男と和太鼓が並んでいる。   (隊長作)

この曲はなんといっても和太鼓が似合うはず。
  
  まったくふざけてる、こんなドヴォルザークなんてありえない、などと
  お怒りの紳士淑女も出て来るでしょうが、センセーショナルな演奏会に
  出くわしたことってありますか?
  野次と怒号、「こんなドヴォ8なんてやめちまえ!」そんな声がこだまする中、
  和太鼓群が場内を制圧してゆく。

  私は昔、ベルリンのオペラ劇場で野次や怒号が飛び交う演出に出くわした
  事があったんですが、あの時は血沸き肉踊りましたねぇ。
  ワクワクするもんですよ、あれは。
  
  終った時の聴衆の熱狂的な拍手とブラヴォーの嵐が、聴こえてきませんか?
  
  
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