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コンサート感想


2007年6月10日(日)14:00  けいはんなプラザ・メインホール
けいはんなフィルハーモニー管弦楽団 / 関谷弘志 指揮
 ワーグナー : 歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
 フォーレ : 組曲「マスクとベルガマスク」
 ステンハンマル : 交響曲第2番
 ヤルネフェルト : 前奏曲(アンコール)

(隊長作)



とうとうステンハンマルの交響曲第2番を
実演してしまうアマオケが現れた。

これほどの名曲なのにナニユエ演奏されないのか、
と事ある毎に述べてきたし、多くのアマオケ・コンサートの
感想チラシに「次回演奏会のご希望曲を書いて下さい」
なんてコーナーがあったら、すかさずステンハンマルやパリー、
アイヴズを書いてきた。

日本初演やアマオケ初演と謳ってなかったので初演では無いのだろうが、
私的にはこの曲がプログラムに載っているのは初めて見た。

さらに時間と場所も合い、当日のコンディションも上々、コンサート会場も周りに
五月蝿い客もいない、と素晴らしいシチュエィションで拝聴できた。

この感動は、このまま行けば今年最大のものになるかもしれない。



けいはんなという研究開発都市が忽然と広がっていて、
その中心部にホールはある。

けいはんなプラザにはホテルからレストラン、
会議室、お店と様々なものが揃っており、
我々は早目に到着して2階のレストランでバイキング。



北欧音楽を楽しもうというからには、バイキングは打ってつけだ。



ここはランチ・バイキング千五百円なのだが、かなりのお奨め。
牛肉や蟹といった目玉は無いが、どれもこれも味付けが良く旨い。
次回このホールに来る事があったら、きっとまた食べると思うバイキングだった。

すぐ脱線して恐縮だが、このステンハンマルを御存知ない方もいらっしゃるだろう。
そんな方は是非、私の過去のCD紹介「ステンハンマル第2番」をまずはお読み下さい。
すごく聴きたくなると思いますよ。


  CD紹介:ステンハンマル交響曲第2番
  CD感想ページへ飛びます♪



このCD紹介ではパーヴォ・ヤルヴィを推しているんですが(2005年1月当時)、
今となっては親父ネーメ・ヤルヴィ盤の方を良く聴いてます。

ステンハンル交響曲第2番 N・ヤルヴィ指揮エーテボリ響 盤

違いは親父は猪突猛進で荒々しく逞しい。息子は流麗で眉目秀麗な演奏。
どうしてこれが親子なのかと不思議に思いますが、
北欧スウェーデンの雄、ステンハンマルはやっぱり荒々しくなくちゃ
と思う今日この頃です。

さて、このけいはんなフィル、結成12年目の脂の乗り切った旨い頃合だが、
過去の演奏曲目が凄い。エルガーの第1番やショスタコの第9番なら珍しい
とまでは言えないが、ニールセンの第2番や安田結衣子に委嘱作品初演、
次回の12月9日にはグラズノフの第7番「田園」と来る。
場所が大和郡山なので、客が来るのか心配だが、私は絶対行きたい。

(隊長作)

関西にも、こういったオケがあったとは嬉しい。
失礼ながら不安だったのが、腕前。ステンハンマルは確かに素晴らしい曲で、
判りやすくダイナミックで聴きどころ満載。

しかし演奏する身になって聴いてみると、結構難所が多い。
北欧音楽が持つ、勇壮で大自然的な、ドイツ音楽みたいな響きとも違う
味わいが必要。

特に私が好きなのは、終楽章。
大フーガあり、捲くし立てあり、それでいてポツンと独り寂しく
歌い抜く難所あり、とこの曲の総決算のような楽章。



いよいよ演奏が始まる。
落ち着いた出だしで、安定したテンポ。
オーケストラが鳴り渡り始めると、すっかり私は安心した。

このオケはやっぱりこれだけの選曲をしてきただけはある、上手いものだ。
ケチを付けるのは難しいが、強いてあげるならクッキリとした輪郭が
弱かったところか。

ステンハンマルは勇壮なところは大いに勇壮、
かと思いきや一転して柔らかく優しく歌うような変転が妙味だ。
マーラーの北欧版と言っては、言い過ぎなのは分かっているが、
褒め言葉として想像して欲しい。

第1楽章中盤のあの弦が奏でる第2主題、あの旋律は堪らない美しさがあるが、
それに覆い被さるように音楽が攻め立てる。
クライマックスは圧巻で、畳み込み、突っかかり、蹂躙してゆく。
これは会場全体も、声にならない思いで一杯だったと思う。
イタリア人なら楽章間で、ブラヴォーを発していたと思う。

終楽章では、中間部に大好きな木管ソロの連綿とした流れがあるが、
これをミスったのは残念だった。
有名な曲では無いので、余り知らない人には気付かれにくく処理したのは
微笑ましかったが、私はあの寂しげな木管吹き渡しが楽しみだっただけに、
やっぱり相当なプレッシャーがあるんだろうなぁとソリストに大いに同情した。



その後は怒濤の結末部、
終わってしまうのだなぁと、久々に音楽が終結に
向かっていくのを残念に感じるほど良い曲だった。

ドヴォルザークもチャイコフスキーも確かに良い。
いざ聴きだしてみると、自分が決め付けている以上に
良い曲だと思ってしまう。

しかし、ステンハンマルの良さをほとんどの人が知らずに、世界は毎日進んでいる。
誠に勿体無い話である。

当団の次回演奏会はグラズノフの第7番「田園」ですが、
その次にはパリーかアイヴズかバターワース辺りをお願いできないでしょうか?

(隊長作)

未来のコンサート感想。

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