(隊長作)

6月30日(土)  19:00   - 146 -    訪問者数

    名古屋ブルックナー管弦楽団    小松一彦指揮  愛知県芸術劇場コンサートホール

     ベートーヴェン   交響曲第8番
     ブルックナー    交響曲第2番

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アマオケには「専門オケ」がある。

選曲が設立段階で決まっている団体だ。
このメルマガで採り上げた楽団でも、
ショスタコーヴィチ専門の「オーケストラ・ダスビダーニャ」、
シベリウス専門の「アイノラ交響楽団」がある。
  
これらの団体の良い所はハッキリしている。
演奏したい作曲家が明確であり、
その作曲家が大好きな有志で凝り固まっている。

  どちらの楽団も、通常なかなか採り上げられない楽曲に果敢に挑戦し、
  猛者が集まる団体だけに結果も上々な成果を残している。
  
  さすが東京、と思っていたが、名古屋も負けていなかった。   (隊長作)

今回の「名古屋ブルックナー管弦楽団」がそう。
  ショスタコ、シベリウスも凄いが、ブルックナーも凄い。
  しかも2番だ、渋すぎる。
  
  東京にいた頃から、その楽団名はネットで確認していたが、
  当然拝聴したのは今回が初。

  ブルックナーは独特な響きが大切で、好きの一本槍では
  御(ぎょ)し切れない作曲家だ。
  敬愛するブルックナーを冠するんだから、それ相応な演奏をするんだろうが、
  果たしてどれほどのもんだろう?かなり興味津々で出掛けた。
  
ブルックナーの交響曲第2番(以下ブル2)は、
私の好きな一曲。

高校生時代、お小遣いを大切に使っていた頃、
CDを買うのは本当に真剣な一大事業だった。

マーラーを買うか、ショスタコを買うか、
はたまたブルックナーにするか
で毎月のように推敲していたが、そんなある時、
ブルックナー・サンプラーCDなるものの存在を知った。
  
  たしかロンドン・デッカ・レーベルで、指揮はショルティ。
  今でなら、ショルティのブルックナーを愛好している人は希少なんだろうが、
  クラシック初心者の頃の私は、ショルティだろうがムーティだろうが
  ブルックナーが廉価で入手できるんなら特別問題は無かった。
  まだナクソスのティントナー盤も出てなかったし、廉価名盤レークナーの
  シャルプラッテン盤がCD化されたのは、このもう少し後だった。
  
  このショルティ・ベスト盤の良いところは、超大作揃いのブルックナーが、
  各曲ここぞという名旋律だけをチョイスしていると云う点だった。
  第1番から第9番まで、ここぞという楽章の十分弱が入っていたのだが、
  私が最も気に入ったのが第2番の第2楽章だった。
  
  ドイツの深い森の中に、緑青色の静かな湖、湖面には薄く靄がたなびき、
  白鳥一羽いない静かな世界。
  そんな絵に描いたような美しい世界が第2楽章では描かれている。

  高校生ながら、(隊長作)

これは美しい、
  と随分聴きこんだものだった。しかしものの本によると、
  ブルックナーの中でも第2番はあまり秀作とは書かれていない。
  実際第2番のCDを買ってみて、確かに嘘でも無いと思うのだが、
  全曲を通じて登場する第2楽章はやはり白眉だ。
  
さて、名古屋ブル管演奏会。
前プロのベートーヴェンからして、実に旨い演奏。

オーソドックスな解釈ながら、
これだけ旨い演奏だと文句も出ない。

こりゃ間違い無いと安心してブルックナーも聴いたが、
ブルックナーも心底ブルックナーの音が
出来ていて、感嘆するばかりだった。

  アマオケによくある金管大爆発もなく、管・弦のバランスが絶妙。   (隊長作)

管の弱音も豊かで、音の裏返りも無い。
  弦楽器群には女性が大勢を占めていたが、
  これが今までの考えがひっくり返る力強さと美しさ。
  関西もそうだが、名古屋も女性の弦は実によく弾いている。
  小さく目立たないように弾いている事が、いかに恥ずかしい事か
  よく判っている証左だ。
  
  東京は名古屋の十倍以上ものアマオケが犇(ひしめ)いているのに、
  東京ブルックナー・フィルとか、大阪ブルックナー響とか、
  聞いたためしが無い。
  
ブルックナー専門オケが名古屋にあること自体が
(失礼極まりないが)驚きなのに、これが日本を
代表するほどのブルックナー・アマオケの実力を
持つのだから、本当に名古屋のレヴェルは高い。
  
名古屋は決して近いとは言えないが、
頑張ってでも行くだけの価値があるオケが
多い街だと、改めて感じた。

  来年もこのオケは、無理を重ねてでも聴きに行きたいオケになった。
  

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