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コンサート感想


2007年12月22日(土)16:00  すみだトリフォニーホール
アイノラ交響楽団 / 新田ユリ指揮
 シベリウス : 交響詩「クッレルヴォ」 作品7



野を越え、山越え、谷も越え〜♪
予言どおり行ってきました、東京第2弾、アイノラ交響楽団!

実は、高速道路を使ってしまいました。
一般国道では、とても16時には間に合わないと判明。

旅としては面白く無いですが、この判断は東京に入ってから、
正しかったと判るんです。それは、都内の大渋滞でした。
クリスマス連休の初日、12月22日の環八は大渋滞。

(隊長作)

事故ってるわけでも無いですが、あの懐かしいノロノロ運転。
大阪付近の国道1号線よりも酷かった。



車は都内某所の激安駐車場に停めて、電車で錦糸町へ!

都内を車のみで移動するのはバカです。
多少の駐車料金と電車賃を払ってでも、
電車移動の方が堅実です。

電車で上京した方がもっと手堅いんですが、今回は別件もあったのと、
ドライブ好きなので車で上京しました。

錦糸町から近い町に昔住んでた事があり、錦糸町は懐かしかった。
錦糸町が誇る「すみだトリフォニーホール」は、座席配置が素晴らしい。



我が隊は視聴環境に、いつもこだわってますが、
隣り近所の雑音が、すごく気になる。

しかしトリフォニーはそんな人を慮(おもんばか)ってか、
3階席横席を1列縦列にした。物凄く贅沢な座席配置。

前後に人はいますが椅子背が高く遮りがあり、左右には誰もいません。
その割にこのエリアは人気がなく、自由席コンサートならいつも余裕で座れます。

今回の催しは、東京新聞全面主催。
前半が講演「カレヴァラをよむ」。
3人が講演したんですが、指揮者の新田さんのみ話術が面白い。
3人ともそれなりの事を話したんでしょうが、人の心をパグっと掴んだのは、
やっぱり指揮者。

(隊長作)

いくら音楽観が優れていても、練習時の会話や説明が面白くなかったら、
楽団員は付いてきませんよね。新田さんの合奏練習は、ためにもなろうし、
さぞかし(厳しくもあろうが)面白いんだろうな。

新田さんのお話で、為になったトリビアを少々。
クレルヴォ交響曲は、初演練習時パート譜が不備だらけだった為、
一度、お蔵入りになっている。

そのため訂正版が複数あり、市販のCDでも小さな違演が多数ある。
そのとおりだと思ったし、指揮者の解釈にしては演奏内容が
かなり違ってるよな、と私も思ってました。

若い日々のシベリウスは超イケてて、しかも遊んでいたそうだ。

レミンカイネンを題材にした曲は、シベリウスだけで無く、
19人の作曲家が作っている。

トゥオネラとは、死の国を意味する。

クレルヴォ交響曲についても、深く為になった話が。
第3楽章は5拍子だが、2拍子&3拍子、もしくは
3拍子&2拍子の組合せで出来ている。

一部、合唱の歌と、オケの管弦楽がこの2&3拍子を反転して
演奏しているそうだ。たとえば、合唱が2拍子3拍子の組合せで歌えば、
オケは3拍子2拍子と奏でる。

これは演奏者たちにとっては、ひどく難しいだろうが、
聴く方にとっても、微妙な揺らぎを感じる仕掛けになっており、
シベリウスのこだわりを、大いに感じる。

聴いている限りでは明確に判るほどでも無いだけに、
大変マニアックな作り込みなんだが、
この辺がシベリウス・ファンとしては嬉しくなってしまう。



後半第2部は、いよいよクレルヴォ交響曲の実演。
アイノラ響プログラムでは、交響詩「クッレルヴォ」となっておりますが、
私は、クレルヴォ交響曲で慣れ親しんでいるので、
この表記で通しております。ごめんね。

(隊長作)

ズバリ、総合感想を述べますれば、2007年最高の演奏会体験。
07年はプロオケ11回、アマオケ27回、合計38回演奏会に行きましたが、
最も感動した演奏が、このクレルヴォ交響曲でした。

名フィルのショスタコ11番が今年は最高だな、と決まりかけていただけに、
年末のクレルヴォに引っくり返されるとは、嬉しい誤算です。
ただ、演奏会が講演会付きだし、新田ユリもアイノラ響も本気モード全開だし、
何と言っても曲が良すぎる。

(隊長作)

この演奏会が「聴講券」ってのも、ありえない価格破壊。
東京新聞は、素晴らし過ぎる。

全5楽章あるが、第1楽章は力が入りすぎたか、少し空回りな感があった。
どうしたどうした?と不安だったが、曲が進むにつれ音楽本来が持つ
アツイ歌い回しにオケ全体が酔いしれ、第3楽章では完全にノリノリ状態。
合唱団「樹の会」が素晴らしい迫力で、オケを煽りに煽る。

オケと合唱と独唱が三つ巴になって、何度も目頭がアツク、
涙目になる演奏だった。



バリトン独唱も、声量が少し不安だったが、第3楽章の絶唱では、
まさに迫真の歌唱。

あの人の人生でも、あれだけ歌い切った演奏はないのじゃないか、
と勝手に心配するほどの大熱唱。まあ兎に角、物凄かったわけです。


アンコールには、合唱付きフィンランディア。
滅多に聴けない代物で、これまたお得感クライマックス。
シベリウス・ファンには堪らない一日なのでした。

8時間ほどかけて、野を越え山越え谷を越え。
花も嵐も踏み越えて、遠路はるばる、錦糸町。
アイノラ聴いたら、我が家へとんぼ帰り。

しかし、それもちっとも苦にならない演奏のお陰だったのでした。
これは、無理に無理を重ねてまで、行った甲斐があったってぇものよ。

(隊長作)

過去のコンサート感想。

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