(隊長作)

プログラムと楽団レベル        - 13 -  (2006年9月)   訪問者数
  
  私はコンサートのプログラム(演目)にこだわっている。
  たまたま好きな音楽が反主流派と云いましょうか、今いちメジャーになっていない
  音楽が好きと云いましょうか、一番人気以外の曲ばかり注目している。
  ロジェヴェンのチャイコ
では、一番人気の曲とは何ぞや。

例えば、「運命」や「悲愴」などといったニックネームが付いた曲。
特に交響曲なら4大シンフォニスト、
ベートーヴェン、ブラームス、
チャイコフスキー、ドヴォルザーク。

  これに幻想交響曲やカルメン&アルル、チャイコの三大バレエに
  モーツァルトの後期交響曲群を加えたら大体は抑えられるだろう。

  シューベルトやシューマン、メンデルスゾーンといったロマン派は微妙な
  ところだが、一番人気では無いのでほおっておこう。
  
  まぁそういった名曲・有名曲以外を好んで聴いている私は、   (隊長作)

最近すっかり忘れていたことがあった。
  それは、有名曲を演目に採り上げるアマオケは、真っ2つに分けれるということを。
  
  一つは、敢えて有名曲を完璧に、徹底的に美しく、もしくは新たなる角度から
  光を浴びせて・・・と、意欲満々トライするハイレベル楽団。
  もう一つは、有名曲が好きだし、やりたいし、演奏するといってもウチのレベルじゃ
  この辺でも十分大変だし、と全く悲しい流れから採り上げるローレベル楽団。
  
  私も学生時代、理想のプログラムと、現実の消去法で決まってゆく
  プログラムの狭間で随分ジレンマを感じたものだった。
  例えば、私はショスタコーヴィチの交響曲第7番が演奏したかった。
  もしくはマーラーなら第6番や第9番。
  ニールセンの「不滅」やプロコの第5番でも良かった。
  スウィトナーのブラームス
しかしオケの実力と、いや、実力は練習次第で何とかなったかもしれないのに、
オケ総体の方向性はロマン派が過半数を占めていた。

マーラーやブルックナーは認知されてはいたが、
ベートーヴェンやブラームスの完璧性からすれば劣っているとまで宣われ、
まるでそれが常識であるかのように説諭されたものだ。

  そんな馬鹿な、と反駁していた自分に、今でも弁護してやりたい思いがある。

  あれから幾年月。
  マーラーやショスタコはクラシック界ですっかり市民権を得、ベートーヴェンやブラームスを
  抜きん出ているとは言わないが、同じ土俵の上で活躍していると言うのはおこがましいだろうか?
  
  しかし、世間では依然、有名曲から入門し、有名曲に満足し、有名曲しか
  関心を持たない人が多い。
  ベートーヴェンやブラームスを深く深く突き詰めてゆく情熱はあるのに、
  彼ら以外の天才には関心が広がっていかない。
  不思議千万だが、現実にはそういった人がかなり多い。
  
  そして、ここからが重要なんだけど、有名曲ほど演奏は難しいという事。
  シェルヘンのベートーヴェン
例えば、ベートーヴェンの「田園」とヴォーン=ウィリアムズの田園交響曲がある、
とする。

前者は超有名曲ながら、実演はかなり難しい。
しかし多くの団員はCDも持っているし、
好きだし、一度は演奏してみたい。

  ところがそれは多くの聴衆も「田園」が好きなだけあって、演奏に望むレベルが高いのだ。
  
  いくらアマオケは好きな者同士が集まって、誰に迷惑かけるでもなし、
  低料金で演奏会を開いてるんだから、下手の横好きくらいイイじゃないか。
  
  しかし演奏会というのは悲しいかな、聴衆がいてこそ成り立つ。
  聴衆だって、折角の休日、好き勝手にやってきた、と言われればそれまでだが、
  聴衆にも五分の魂、余りにも不甲斐ない演奏会には腹が立つのである。   (隊長作)

また、有名曲を並べた名曲コンサートにこそ、そういった不甲斐なさを感じることが多い。

  私のメルマガを読んで、ひとつ有名曲のアマオケ・コンサートでも聴いてみるか、
  と考えてるアナタ!これは要注意ですぞ。
  有名曲は各人に理想形の演奏があり、そこから少しでも外れればそれはマイナスとなる。
  全く新しい視点からアプローチした、比較しがたいスタイルでもなければ、
  大抵は今一歩だったという感想になりやすい。
  それどころか通常以下の演奏を大好きな一曲でされてみた日にゃぁ、
  怒り心頭、アンナ・トモワ・シントウである。
  
  難曲や無名曲ほど、一見失敗しでかしそうな気がする。
  しかしこういった曲を採り上げる楽団は、そもそも実力がある。
  その上、こういった楽曲が選定されるまでには、多くの人が拝聴し、呻吟し、検証している。
  
ヴォーン=ウィリアムズを知らない人は減り、
逆にイイ作曲家じゃねぇかと感じる人が増える。

ヴォーン=ウィリアムズを好きな人が多い楽団がレベルが高い、と言いたいんじゃ無い。
いろんな作品や芸術を知り、愛好し、追求する人達からなる集団は、
相乗効果が高まっているのが事実なのだ。
  
  世の中には様々な才能が散らばっており、人生の中でそれを幾つ拾えるか、
  出会えるかを愉しんでいきたいのだが、どうも世の中はそう考えていないようだ。
  
  
   前へ  HOMEへ  次へ










inserted by FC2 system