クラシック１５禁（案）　　　　-　25　-　(２００８年６月) 　　

　　週末の度にアマオケに通う我々ですが、社会人オケに極めて多い害悪、子供が多い。
　　モーツァルトやベートーヴェンでさへ理解出来てるのか怪しいのに、
　　ブルックナーやプロコフィエフなんて、幼稚園児や小学生が楽しめるものだろうか？
　　（絶対、無理だ、と断言します）
　　
　　多くは出演者の子供や、その御友人方の子供たち。
　　中には英才教育を気取って、我が児には子供の頃から感受性を伸ばしてやりたい、
　　と思って連れてくるのだろう。

　　しかし、幼稚園や小学生の子供がクラシック音楽なんて、間違ったって分かるはずが無い。
　　百人に一人くらい分かっているお子様がいるかもしれないが、言い換えれば、
　　百人中九十九人は分からないわけだ。
　　それだけ多くの子供たちは、不自由で苦痛極まりない音響の中に
　　２時間前後も閉じ込められてしまう。
　　遊園地やカラオケ、ゲームコーナーやポケモン映画の方が、どれだけ楽しかろう。
　　
　　我が隊では常々冗談で話していたが、どこからも、だれからもご提案が
　　出て来ないので、ひとつ提案してみよう、という名案がある。
　　それは「クラシック１５禁」である。
　　
子供の頃、音楽の授業でバッハやヘンデルの
クルクルヘアを馬鹿にし、
ベートーヴェンの爆発ヘアにばかり
目が行ったのは、皆さんも記憶にあると思う。

音楽の先生は大抵下手なピアノ伴奏に
合唱やリコーダーを吹かせ、
たまにモルダウや運命を掛けて
お茶を濁していた。

　　人前で真面目に歌ったり吹いたりすることが照れ臭く、不良は音楽なんて
　　関係ネーと言うくせに、エーちゃんやバンドには関心が高かった。
　　
　　学校では習わないもの、大人が眉をひそめるようなものに、子供は関心が高い。
　　大人が手放しで応援するものは詰まらないもの、そんな風に子供は本能で嗅ぎ取っていた。
　　
　　これは子供の本能が鈍っているわけでなく、
　　大人こそがクラシックの真髄や魅力を熟知していない事に問題がある。
　　今になって考えれば、今の私よりクラシックが大好きだったと思える
　　音楽の教師はいなかった。
　　そんな人達に真のクラシックを伝える力も弱いだろうし、
　　中途半端な教師に音楽授業は任せていられない。
　　
　　百歩譲って、音楽教育は大切だとしても、何も教材に
　　クラシックを使う必然性は無い。
　　逆に、ジャズやロックの歴史を系統だって授業しても良いわけである。
　　教材はビートルズ、プレスリー、ローリンングストーンズあたりから、
　　最近のヒップホップまで、どのような影響を与え、
　　逆に与えられてきたかを解説するだけで数ヶ月は必要だ。
　　また、そんな授業は現実社会に役立つし、学生の興味は尽きる事も無いだろう。
　　

しかし、しかしです。
　　我らが肝心の「おクラシックさま」はどうするか。
　　これは義務教育では、断固秘匿するのである。
　　まるでクラシックなんてこの世に存在しないかのように振るまい、絶対話さない。
　　子供たちはきっと不思議に思うだろう。
　　社会ではクラシック・コンサートがあり、
　　クラシックＣＤも（１５禁コーナーで）売られている。
　　ＴＶでもラジオでも（深夜に）やっているのに、先生や親たちは頑なに
　　話そうとしない。
　　
　　そういうものに、子供は俄然興味を抱く。
　　なんだよ、なんだよ、大人ばっかり面白そうなもん聴きやがって！
　　中には真正直に「ボクはクラシックなんて不潔だと思うな！」などと息巻く
　　生徒会長がいそうだが、そう言う奴がいると逆にみんなの関心は萌え上がる。
　　
　　大人だけが楽しんでいる。
　　大人になるまで味わえない。
　　大人しか分からない（らしい）。
　　それは、クラシック。
　　何が何でも聴いてみたい、そう思うのが人間でないだろうか。
　　
　　夢にまで見たクラシック・コンサートに、父兄同伴に限って年１回だけ行けたとする。
　　そりゃもう、明日はクラスのみんなに自慢できる大イベントだ。
　　必死に聴かない馬鹿はいない。
　　親に隠れて、何度も聴いたぜ、クラシック。
　　トイレで隠れ聴き、体育館裏で隠れ聴き、部室に篭って隠れ聴き。
　　体育教師はタバコとクラシックの取締りで今日も大騒ぎだ。
　　
　　そんな社会になれば、クラシック人口は飛躍的に上がるんじゃ無いかなぁ。
　　
　　なおかつ、嫌々コンサートに引き連られてくる子供たちも居なくなるのでは。
　　中学卒業とともに、晴れて堂々とクラシック・コンサートだ。
　　そんな高校生がわんさかやってくる方法があるのになぁ、と夢想するのですが、
　　皆さんいかが思われます？