ユーロ袋(隊長作)

楽員給与とその問題  - 7 -  (2004年10月)   訪問者数

  10月9日夕刊の日経新聞記事「サタデー・エンタテインメント」は、興味深かった。
  国内主要プロ・オケの楽員標準年収がグラフで表され、
  現状の楽員の雇用問題の厳しさについて触れられている。
  
  驚くことは、楽団によってこうまで年収に差があるのか!ということ。
  一千万円弱のN響を筆頭に、読響の八百万円近く、都響の七百万円。
  この辺りまでは羨ましい限り。
  しかし日フィルや東フィルの四百万円強とは、なんたる厳しさか。
  
  私はタイガース・ファンながら、読響を少し贔屓にしているが、
  他はいつも公平な心で聴いている。
  コンサートに選ぶ基準も、指揮者やコンサート・ホールでなく、プログラム至上主義。
  だからこそ読響に偏りがちなのかもしれないが、おかげでアマ・オケにも
  よく行き、まんべんないコンサート・リサーチが出来ていると思う。
  
  外来オケが無いのは、持論があるから。
  外来オケが日本公演を行うときは、楽団員が大方、疲労困憊している。
  また、演奏の出来が良かろうが悪かろうが、拍手喝采の金太郎飴反応。
  頑張っても頑張らなくても、黄色いお猿さんは毎年大喜び。
  こんな観客のために、どうして渾身の演奏を捧げる気になるだろう。
  だから我々は、海外オケを聴くなら、シビアな地元の観客に包まれた
  現地で聴く事にしている。
  と言っても、年に1週間だけだけどね。
  そして、それでさへも半分以上は凡演なんだけど。
  
  話は戻って、日本の楽員給与事情。
  どのオケの演奏も、技術は五十歩百歩な割には、報酬が違いすぎるね。
  しかも有名オケになるほど、個人レッスンなどの月謝などもアップするんだろうから、
  格差はますます開いていく。
  
  この記事の後半でも触れられているが、「スター」である指揮者が、
  一日の出演料で馬鹿げたブンドリを行っている。
  日本の若手なら約三十万円だが、「世界のオザワ」級となると七百五十万円、
  海外の巨匠なら一千万円クラスを一晩で稼いでいってしまうという。
  雷(隊長作)
これは前から問題視されているが、劇場経営が圧迫されたり、
楽団経営が圧迫されているのに、この有様が続いているのは大問題だ。

  オペラやクラシックは金が掛かり過ぎると叫ばれ、国や自治体が補助金などの
  税金を投入することが問題とされているが、何に金が掛かるのかを点検し、
  掛かりすぎている費用を圧縮すればいいだけではないか。
  金が少ないから振りたくないなんて抜かす強欲指揮者なんかこっちから
  お払い箱にしてやればいい。
  そんな強欲指揮者をありがたがって、「彼の音楽は神のようだ」なんて
  錯覚している人々も目を覚ますことだろう。
  
  「一千万円なら振るけど、五百万円だなんて俺様を馬鹿にしてるのか。」
  
  そんな事を平気の平左で仰っている大先生が、
  今日も世界のどこかで人々に感動を与えているのか。
  そんな事を思うにつけ、私はますますマイナーな世界に金の卵を
  探しに行きたくなってしまう。
  
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