脱線 隊長の回想 - 34 -
運動が大嫌いなので、運動系の部活を消去すると、
ほとんどの部活が無くなってしまうワケです。
残りは、文化系の部活。地味なんですよね、文化系・・・。
その中で、最も華やかに見えたのが、吹奏楽部。
なんせ、楽器がキラキラしてるから、カッコ良く見えるんですよね〜。
吹奏楽部は、入学式から活躍してましたしね。(入場の曲演奏)
音楽できる、できないは何も考えずに、
即決断、入部してましたね。
運動するのがイヤで吹奏楽部を選んだのに、
「肺活量を増やすんだ〜!!」とか言われて、
半年くらい校庭を走らされて、かなりガッカリしたりしましたが、
私の『クラシック音楽好きへの道』はここから始まっていたのです。
顧問の先生が、「良い演奏をするには、良い演奏を聴いた方がイイ!」と
カセットテープに吹奏楽の曲を録音し、貸し出しできる様に部室に置いてくれていた。
しかし、みんな「吹く」コトが面白いのであって、
「聴く」コトは、あまりしていなかった。
ので、たくさん借りれた。
その中に、オーケストラの曲を吹奏楽に編曲したモノというのが、
結構混じっていたのです。
そこから、じわりじわりとクラシック音楽鑑賞にハマってゆく隊長。
高校に入ってからも、吹奏楽をやりたい!と思っていたのですが、
当然あると思っていた「吹奏楽部」が、幸か不幸か、その高校には無かったのです。
あれぇ?
調べてから高校選べ〜!!と、周りからツッコミまくられました。
弾く時間が、聴く時間に割り当てられる様になり、
ここから、クラシック音楽鑑賞「熱」が加熱しまくり。
しかし、こんな形で好きになってしまった為、
クラシック音楽の話が出来る人が、まわりに一人もいないという
悲しい状況になってしまいました。
そんな状況で、頼れるモノと言えば、「本」しかありません。
当時は、ネットなんて便利なモノはありませんでした。
その音楽評論家や、音楽学者が書いた本達を読んでいると、
どうやら、ワーグナーはすごい作曲家らしい・・・と。
ワーグナーが解る人は、レベルが高いらしい・・・と。
変な「刷り込み」がその時に出来てしまったようです。
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事実、「ワーグナーが好き♪」と大声で言う人は、
CDや実演を、よく聴きこんでいる人が多い。
時々、ワーグナーの序曲や前奏曲が好きで、
オペラ「本体」はあまり聴いた事がない人が、
「ワーグナー好き♪」などと、うっかり口走ってしまうコトがあります。
万が一、「ワグネリアン」に向かってこう言ってしまうと、
聞いたコトもない歌手の名前や、ライトモチーフについて等々、
いろいろと語られてしまうので、気をつけましょう〜。
終いにゃ、「それ、タウンページ(電話帳)?」というような、
ものすごーく分厚いスコアなどが出てきたりするので、要注意です。
私も良く解りません(汗)。
序曲や前奏曲は、「良い」と思うのに、オペラ本体になると「つまらない」
と思う人は、結構居ると思います。ワーグナーに限らず、他のオペラでも、
同じような現象があると思います。
好きになってしまうと、どうしてこんなに良い曲なのにワカンナイかな〜
と思うし、
ワカンナイ時は、こんな曲ホントに好きな人いるの?と思ってしまう。
好きな人にとっては、皆に好きになって欲しい!と思うのが自然な流れで、
そうすると「ワーグナー攻略法」や「オペラ攻略法」なんてモノが出てきます。
初心者がこういったモノを目にした場合、
攻略法が、たくさんあればある程、
「なんかー難しくて、面倒くさそ〜。」と思い、サーッと引いていく人と、
壁が高ければ高い程、
「うおおおお、攻略したる〜ッ!」と燃え上がる人と、真っ二つかと思います。
私は、後者の攻略したる〜ッ!と思ったクチなのですが、
オペラに初めて興味を持った時、無謀にもワーグナーから入ろうとした為、
オペラを面白いと思うまで、10年という膨大な時間がかかってしまったのです。
おそろしや〜。
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「10年」と言っても、10年間、毎日オペラを聴いていたのに、
解らなかったワケではありません。
最初はどうしても、ワーグナーから入ろうとしていた。
バイロイトのライヴを年末にまとめて、ドカンとラジオでやったりして
くれるので、余計とっつき易かったんでしょうね。
高校生ですから、CD買うお金ないしぃ。
でも、ラジオを聴いても、さっぱり「イイ」とは思わないワケです。
テープに録音して、繰り返し聴いても「オモシロイ」とは、ちっとも思わなかった。
自然、徐々に、オペラ(オペラというよりもワーグナー)から離れてゆく・・・。
時々、思い出した様にテープを聴いてみたり、
今はBSでやっているようなモノが地上波で流されていた時代(BSが
まだ無かった時)でしたから、TVを録画して観てみたり。
何回聴いても、何回観ても、
『やっぱり交響曲の方がオモロイ』と思ってしまう。
そんなこんなで、数年が過ぎてゆく。
でも、心の片隅でオペラへの興味&憧れがくすぶり続けていて、
TVで「オペラ」と名がつくモノをやっていれば、
ビデオに録画し保管していた。(←「保管」であって観ていない)
が、ある日ふと、その保管していたビデオを観ていると、突然キタ!
「お・・・面白い」
それは、ヴェルディの『仮面舞踏会』でした。
(次ページにつづく)