ベルワルド 交響曲第3番 「サンギュリエール」(1845年) - 11 - (2004年5月)
交響曲第4番「ナイーブ」(1845年)
ピアノ協奏曲ニ長調(1857年)
O・カム指揮 ヘルシングボリ交響楽団
(NAXOS 8.553052)輸入盤
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【 ベルワルドのための前奏曲 】
思えば多くを書いたもので、今回で第39番です。
そろそろ皆さんも我が隊の趣味趣向にお気づきのようですが、出来るだけ多くの
作曲家・作品・指揮者・演奏家を採り上げていきますので、これからもどうぞヨロシク。
TVを観るより、CD聴いてる日が多いです。
「タモリ倶楽部」と「水10」だけは欠かせませんが。
そんな我が隊ですから、休日の朝から重っ苦しい曲(マラ6など)を
掛けながらCD棚を見ておりました。
ベルワルドってご存知ですか?
私、好きなんですが、ベルワルドの交響曲第3&4番(NAXOS盤)が2枚も見つかった。
あらら、やってもーてるがな。
しかもこのCD、相当昔に買っている。
長い間、2枚あることさへ気づいてなかった。あほやなぁ。
そんな事もあったので、今日はこのCDについて、お話したいと思います。
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【 CD感想 】
第3番が、特級に良い。
「サンギュリエール」なんてカッコつけてますが、邦訳では「風変わりな」。
何だか自分の事を言われてる様でイヤ〜な気分ですが、音楽は実に風変わり。
ベルワルドは今でこそスウェーデンを代表する作曲家ですが、生前は御多分に漏れず
厳しい評価の中で苦しんだそうです。
早過ぎた天才と申しましょうか、この曲が1845年(シューマンやメンデルスゾーンと同時代)の
作品とは思えません。
まず冒頭のウネウネ&ポワポワした北欧的音形。
ここからして、この曲が只者では無いことが現代の我々なら直感できますが、
当時の人にとってはふざけた開始だったのかな。
初演はなんと60年後の1905年。
ショスタコの交響曲11番じゃないけど、完全に時代は変わってます。
作曲者当人も1868年没ですから、「男は名誉のために生きる」そのまんま。
シベリウス後期やニールセンを愛聴なさってる読者諸兄なら既に御存知でしょうが、
こういった路線の原石と言える作品です。
それが1845年に、誰に演奏されるわけでも無く書かれていた事に、ロマンチシズムを感じます。
不思議な世界を現しているのは、独特な半音階を活用した和声進行というテクニックもありますが、
胸がキューンとなる美しい展開も持ち合わせています。
それが第2楽章で、緩急緩ナイマゼにした手法はブルックナーと似ています。
アダージョで始まるんですが、不安定な転調のあとスケルツォがきます。
これはブルックナー・スケルツォのトリオみたいで、ニヤっとくる。
そしてその後のアダージョへ戻る時の美しさときたら!
ブルックナーがこうまで現世で持て囃されてるというのに、ベルワルドは
まだまだ。
なんで?
第3楽章が終楽章なんですが、「風変わり」なんだから全然おかしくない。
風変わりでなきゃいけないってのは、結構便利かも。
この楽章は轟くティンパニの一撃もあって、爆裂があります。
それでいて呆気なく終わったりして、これまたニヤリ。
書きたいように書き、自己の世界を陶然と漂い彷徨い飛沫を上げる。
ウケとか媚びが無い芸術は、無欲サッパリ、気持ちいい。
そんな音楽です。
ちなみに併録のPコンは、グリーグやシューマンが好きな人ならお薦め。
こういった甘ったるい音楽も書けますよ!みたいな。
でもナクソスの解説によると
「ピアノ協奏曲は死後に匿名で作曲コンクールに出されて好評を博したも
のの、ベルワルド作と判明するやいなや無視されお蔵入りした悲運の曲」
だそうです。
人間の耳や時代の評価なんて、そんなもの。
自分がいいと思えば、それでいい。
悪いと感じたら、声を大にして叫びたいものです。