ガァ(隊長作)

ベートーヴェン 交響曲第3番「エロイカ」 - 4 - (2004年3月)
   訪問者数 シェルヘン エロイカ


H・シェルヘン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団
(ウェストミンスター MCAD2−9802−A)
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  【 「聴く人」 と 「弾く人」 】
  
  隊長の妹夫婦は、今も現役アマオケ奏者だ。
  妹がクラリネット、その旦那がヴァイオリン。
  ままある大学オケ・カップルの、なれの果てだ。
  しかし今でも夫婦で一つのオケで仲良く合奏とは、結構な事だ。
  
  そんな奴等からCDのリクエストがあった。
  
  「今度の定期(演奏会)で「エロイカ」やるんだけど、なんかいいCDない?」
  
  なぬなぬ?おもしれぇじゃねえの。
  我が家の「英雄」総動員だ。
  どうせならリヒャルトの英雄を聴いて貰いたいんだが...。
  
  社会人になってもアマオケ(アマチュア・オーケストラ)続けてる人って、凄いと思う。
  自分も社会人になって、3〜4年は頑張ってたんだが、
  転勤・引越等が重なり、「惜しまれつつ」(!?) 退団した。
  しかし現実は、「自分のやりたい曲」と「オケが民主的に決める曲」の
  ギャップが埋まらなくて、諦めて辞めたのだった。
  最近は選曲の幅も広がったので、オケによってはかなり守備範囲が
  広がってるみたいだけどね。   と音(隊長作)

アマオケやってる人って、二つに分けられると思う。
  一つは、弾いて・聴いて・のめり込んでる人。
  もう一つは兎に角、弾く・吹く・叩く専門の人だ。
  前述の妹夫婦はまさに後者で、これから弾こう&吹こうとする曲のみ、ひたすら聴いている。
  そして、その演奏会が済んだら、さっさと次の演奏曲へ移り、聴く曲も移る。
  私にすれば、「英雄」つながりで「英雄の生涯」も聴かんかい、と思うんだが、
  「ベト3」から「ベト4」にさへ関心が進まない。どーちて?
  
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  我が隊の「エロイカ」コレクションは貧弱だ。
  人はみな、オノレの本分というものを持っており、ベートーヴェンの交響曲は、
  我が隊の本分から外れている。しかし若干のCDはある。
  
  バーンスタイン、カラヤン、アバド、ケーゲル、ワルター、コンヴィチュニー、シェルヘン。
  あらまぁ、そこそこあった。流石は名曲。
  しかしベートーヴェン・ファンから見たら鼻で笑われてしまいそうな貧弱なラインナップだ。
  
  でもこの中に金剛石も混じっている。
  それはシェルヘンとコンヴィチュニーだ。
  今回は爆裂ヘンテコおじさんのヘルマン・シェルヘンを取り上げてみたい。
  
  恐らくシェルヘンについて説明する事は、読者諸兄に念仏みたいなので割愛しよう。
  それよりシェルヘンを知らない人は、ラッキーだよ。
  こんなオモシロ演奏を、これから楽しめるからだ。
  あなた達の後半生はバラ色だ。
  この演奏を堪能し過ぎると大方の演奏が、怠惰で青ちろっく聴こえて来るから困りもんですけど。
  
  具体的には、兎に角、早いとこが徹底的に早い。
  タメるとこはタメて、爆発が暴発同然になる。
  それでいて軽やかで楽しげ。
  音楽的難所の「葬送行進曲」が特に秀逸。
  この演奏で熱くなれない人が、この世にいるのかしら。
  こういう指揮者が同時代にいない我々は、不幸なのかもしれない。
  
  また、瞬間はクライバーを髣髴させる。シェルヘンの方が大先輩だから、
  クライバーの方が亜流なのかもしれないが。
  クライバーやフルヴェン、クレンペラー、チェリ、朝比奈などを冒涜すると、
  暗殺の危険が生じるので、深くは書けないが、
  シェルヘンはその奇妙性の為に、イロモノ扱いされている。
  私のように吹聴されるから、彼はドンドン王道から外れて行くが、
  世の中こんな面白い演奏CDを聴かずに、
  小澤なんぞをありがたく聴いてる人々もいるのだから、不思議な話だよ。
  
  このCDは確か、中古CD屋で安価で見つけたので、即ゲットした。
  だけど私も新品だったら、買わなかったかもしれない。
  古い録音が嫌いなので、1958年録音は引っか掛ったが、ステレオ録音なので買った。
  しかしなんと瑞々しく精気に満ち溢れた事よ。
  颯爽として、躍動感抜群。
  アッチェレランドはお茶の子さいさいで、低弦はゴリゴリ浮き立つようなリズムがハジケテいる。
  それでいて浪花節的コブシも効いている。
  
  前述の妹夫婦の反応はどうだったか記しておこう。
  
  隊長 「この演奏どう?」
  
  妹とその旦那 「こんなの、速くて弾けない...」
  
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