(隊長作)

2009年2月1日(日)  15:00   - 246 -    訪問者数

     桑名弦楽合奏団    桑名市民会館 小ホール


     ハイドン       弦楽四重奏曲第17番「セレナード」
     ショスタコーヴィチ  室内交響曲(バルシャイ編)
     ショスタコーヴィチ  ピアノ五重奏曲
     (上記三曲とも弦楽合奏版)

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今年の冬は、ショスタコ尽いている。

3月15日現在、今年13公演聴いているが、
うち5公演がショスタコ・プログラム。

交響曲第4番、第10番が各1回、第5番が2回、
そして今回のヘンテコ・プログラムの計5公演。
東京ならいざ知らず、焼き蛤で有名な桑名で、
まさかこういったプログラムが聴けるとは。

  東京に住んだままだったら、この演奏会の為だけに桑名まで各駅列車で
  来る事は無かったろうから、西側に住んでいたからこそ味わえた演奏会。
  
  しかし正直、桑名弦楽合奏団。
  うろ覚えなんだけど昔、お茶の水のカザルスホールでアマオケの
  音楽祭みたいなものが催されていた。その中に、この桑名弦楽合奏団の
  名があり、遠い所から来る訳だから実力もあるのだろう、と思ったものである。
  
  最近もペルゴレージの「奥様女中」を上演したりと、   (隊長作)

小粒でピリリ
  とはこういう楽団を言うのかなと思っていた。
  
  今回ショスタコを採り上げたわけだが、交響曲第5番といったマンネリ・ナンバーでなく、
  第7番や第10番といった準普及ナンバーでもない。
  バルシャイ編曲の室内交響曲(弦楽四重奏曲第8番の弦楽合奏版)と
  名曲ピアノ五重奏曲、しかも弦楽四重奏を弦五部で強引に押し切ってしまうという。   (隊長作)

無謀というべきか、快挙というべきか。
  
  ピアノ五重奏曲や弦楽四重奏曲といったカルテット部門を、弦五部という
  ストリングスに引き直してしまう荒業をどう考えるかは人それぞれだし、
  楽曲次第だろう。

  最近ブラームスのピアノ四重奏曲(シェーンベルク管弦楽編曲版)を
  立て続けに聴いて思うんだけど、室内楽の名曲を室内楽(オリジナル)で
  味わう事はとっても大切。

  でも、それをオケ版や弦楽合奏版で味わう事は、想像以上に面白い。
  これは私がオーケストラ大好き人間だからだし、室内楽への造詣や愛情が
  薄いせいかもしれない。   

しかし、室内楽興隆のためにも、
何はともあれ演奏され認知されなきゃ始まらない。

弦楽合奏版は異端かもしれないし、
室内楽愛好家からみれば邪道かもしれないが、
私はそれでも室内楽周知への第一歩になり、
それはクラシック・コンサートの幅の広がりにもなると思う。

特にブラームスやベートーヴェンの室内楽のオケ版は、
もっともっと採り上げて欲しい。
佳い曲が多すぎるからね。(隊長作)


  さて、そんな異端とも邪道とも取られかねない積極策は成功したのか?
  まずは前プロのハイドンでお手並み拝見。
  正直、アンサンブルや音色の美しさに驚いた。
  伊達に東京公演やペルゴレージを上演してしまっていた訳では無かったのだ。
  
  小ホールだったので音響も優れていた効果も手伝ってか、
  弦の音色の美しさが秀麗。一人一人の技巧に差があるようで、
  巧者は率先してリードし、初心者は控え目にアンサンブルに
  従うことにより、とても美しい音楽になっていた。
  
  前プロからして上々の滑り出しだったが、中プロの室内交響曲はなかなか
  難しい楽曲にもかかわらず、アクセントを強調し、キレもあった。
  十分練習を積み重ねて演奏されている事が伝わってくる演奏で、
  自らの持つ実力を上手く押し上げている。不協和音が美しい不協和音でなく、
  厳しい不協和になってしまったのが残念なくらいか。
  

お愉しみのピアノ五重奏曲。
ピアノを中心に据え、グルリと弦五部が取り囲む。
ちょっとしたピアノ協奏曲のようだ。

実際、不思議な演奏効果を醸し出せており、
元々こういった曲だってアリ
なんじゃ無いのと思う事もシバシバ。

トゥッティではピアノが埋没するくらい弦五部が頑張り、
充実した響きが新しいピアノ協奏曲を聴くよう。
  
  ショスタコの本物ピアノ協奏曲は難曲なので、これ(ストリングス版)を
  採り上げる流れが起こっても可笑しくないのでは?
  ショスタコの交響曲が好き、と公言している人で、まだピアノ五重奏曲を
  聴いた事が無い御仁、一刻も早くこの楽曲を聴いて損は無いですよ。
  ショスタコ好きなら絶対ハズレない名曲です。
  
  また、地方のホールに限ってよくある事だけど、ホール音響がなかなか良い。
  大都市の大ホールはいろんな事が絡み合うゆえか、あのような音響になってしまうのか。
  大都会で颯爽と演奏するのは格好良いが、地方の優秀な音響ホールで充実した
  演奏を愉しむのが幸せなのか、どっちがいいんだろう。
  (隊長作)
ま、なにはともあれ、予想だにしない面白くて素晴らしい
ショスタコが聴けれた、満足のいく演奏会であった。


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  *** 過去の 『弦なショスタコ』 コンサート感想。

    * 野村英利指揮 アルテ合奏団 / ショスタコービッチ 弦楽四重奏第4番 他



  *** 過去の 『変形・室内楽』 なコンサート感想。

    * 三重大学室内楽団 大谷正人指揮 / ベートーヴェン弦楽四重奏曲第14番

    * 名古屋フィル K・イシイ=エトウ指揮 / ベートーヴェン弦楽四重奏曲第15番(弦楽合奏版)、
      ブラームス ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編曲) 他


















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