さる(隊長作)

5月16日(日)  13:30   - 23 -   訪問者数

    指揮者ナシ  フィルハーモニア・エテルナ
    石橋メモリアルホール

    ベートーヴェン  交響曲第7番
    ハイドン     トランペット協奏曲より第一楽章(団員ソロ)
    モーツァルト   管楽器のための協奏交響曲より第一楽章(団員ソロ)

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  【 上野 】
  
  上野駅は長かった改修工事も大方終わり、すっかり広くて便利な駅になりました。
  改札を出ること無く大きな書店があったり、食べる所も沢山あります。
  東京駅構内も新幹線改札前が便利スポットになりました。
  JRも儲けようという気概が感じられ、変わったよなーと思うこの頃。
  石橋メモリアル
クラオタさんにとっての上野といえば、
「東京文化会館」「芸大」「奏楽堂」。

しかし今回は皆さんの期待を大きくかわして、
上野学園構内の「石橋メモリアル・ホール」でありんす。

このメルマガをやるようになって、
行った事の無いホールを
探検するのも面白くなってきまして、

  どうせサントリーや芸劇で気にいった演目をやっていないのなら、
  未知なるホールに飛び込んでみようや、という気になっております。   いか(隊長作)

東京に来てハヤ十年。
  コンサートに行ってる割には、行ってるホールは限られており、
  これは勿体無いことじゃワと感じている次第であります。
  
  さて、今から述べますコンサートに行ったのは、もう一つ理由があります。
  それは「指揮者ナシ」演奏会だったため。
  指揮者ナシの「ベト7」を聴いて来たんですが、これを聴いてどう思ったか?
  というのも今回のテーマです。
  以前尻すぼみでした「指揮者要・不要論」を、今一度ちょこっと考えてみようとしてます。
  
  石橋ホールは上野駅東口から歩いて15分ほど。
  雨が降る中、江戸の下町情緒を歩く。
  ビルのテナントがあちこち歯抜けになっていて、寂しい風景。
  でも帰りに寄った喫茶&軽食店は学生街のお店風情で、
  ピラフやスパゲッティも美味しく頂けました。
  昔からの町のサテンて、味がいいんだよナ。

  acacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacacaccacacaca
  
  指揮者不在でも演奏は見事に成り立った。
  ベートーヴェンのような有名・古典的な交響曲においては、楽団員全体の
  共通認識・意思疎通も図り易かったのだろう。
  
  「ベト7」はリズム交響曲ともいうべく、全編これリズムの饗宴
  (というほどでも無いと私は思うのだが)と世間一般では言われている。
  それ故に、この曲を指揮者不在で取り組んだ事は周到でもあり、無謀でもあった。
  
  演奏を終えた彼等は、自発的な即興、指揮者によって受けずに済んだ支配、
  彼等の欲するままに音を運ぶ楽しさ、そして難曲を華麗に演奏した喜びを味わったのだろう。
  演奏は相当な成功を収め、見事に奏し終えた喜びに上気した笑顔が印象的だった。
  
  「無謀でもあった」とも併記したのは、ベト7がリズムに支配された音楽であるが故、
  指揮者の持つ遊び心が加わらないと演奏が杓子定規に成りかねないからだ。
  あらかじめ此処はスローにとか此処はアッチェレで、
  という風に練習を重ねていったんだろうけど、
  ライブならではの突発的な「感興」が生まれにくくなる。
  リズム厳守が絶対な音楽では、強固な牽引者がいないと感興に流れるのは危険だ。
  感じるままに趣き、興ずる果てに趣く、といった音楽が本来持つ時間芸術の楽しさ。
  これが指揮者不在により、十分に生じ切れてなかった残念な気持ちが残る。
  
  昔ヴィオラを弾いていた頃は、偉そうに威張っている指揮者が嫌いだった。
  演奏者をノセられない指揮者、人柄とカリスマが低かったのだろうが、
  指揮者ナシの仲間内で合奏する時の方がよほど楽しかった。
  仲間内で遊ぶにはそれで良いのだが、冷静に冷水を浴びせる第三者がいないと、
  演奏がどんどん間延びし、リズムが甘くなった事も覚えている。
  
  今回のコンサートでは、どのような経緯から指揮者ナシのベト7が
  挑戦されたのかは分からないが、相当踏み込んだ成果が結実していた。
  しかしどうも面白くなかった。
  機械仕掛けなテンポと言うわけではなく、緩急強弱に富んだ内容。
  しかしそれが計算されたものに感じられ、ハラハラ感やワクワク感がなかった。
  それだけ安定して、不安の欠片もない堂々たる技量に
  裏打ちされた演奏だったわけであるが、指揮者が齎(もたら)す効果が
  意外と大きかったんだナと認識できたとも言える。   Vn(隊長作)

あと惜しいと思ったのは、1stは上手くてガンガン弾いているのだが、
2ndやビオラがおとなしくてパワーバランスが崩れていた。
  ハイレベルな団体なだけに、あえて厳しく書いてしまったが、こういった指揮者ナシ演奏を
  体験したオケは、演奏そのものの喜びをかなり掴んだ集団になっている。

  次回は指揮者を迎えて「シベ1」と「妖精のくちづけ」。(11月6日)シベリウスは大好きだし、
  ストラヴィンスキーの秘曲が生で聴けるってのもナカナカあるもんじゃない。
  かなり期待できる演奏だと思うので、リピーター確実だ。   

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