いくら(隊長作)

9月4日(土)  18:30   - 43 -   訪問者数

    内藤彰指揮  東京ニューシティー管弦楽団  東京芸術劇場
  
    ブルックナー   交響曲第8番(1.5版) 世界初演

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  芸劇
今回の第8番1.5版は日経新聞文化面でも
大きく取り上げられたので、
概要を御存知の読者諸兄は多いかと思います。

て云うか、今回の世界初演を芸劇で聴かれた方、
結構多いんじゃないですか?
  

  指揮者内藤彰氏および東京ニューシティー管弦楽団、ともに初めて聴きます。
  今回はどうしても聴きたかったので、B席3千円を出しましたが、
  C席2千円なんかがありません。
  世界初演となると、チケット収入も重要なんでしょう。
  ブル8の新版を紹介してくれるんだから、こういう時くらい文句言わずに出しましょう。
  
  全4楽章の第8交響曲、当版の相違点は第3楽章アダージョのみです。
  他の三つの楽章はノヴァーク版第2稿(1890年稿)が使用されています。
  しかしこのアダージョが予想を上回る仰天振りでした。
  それが第1稿や第2稿より良かったかはさておき、これだけ違えばブルックナー・ファンと
  しましては聴き甲斐がありましたし、聴きに来て良かったと思いました。
  
  予習のしようも無いので、次から次へと起こるブルックナーの異稿に驚く
  ばかりでしたが、やはり推敲を重ねている最中の作品かと感じました。
  こう書くと中途半端な作品のように思えますが、さにあらず、
  ブルックナーが目の前で呻吟しているようなリアリティがあります。   さくら(隊長作)

モーツァルトの音楽は神から教えられたかのように一点の淀みも
ないように音楽が連なっています。
  ブルックナーの音楽もこういった傾向が多く、
  ゲネラル・パウゼでさへ神の沈黙のような厳(おごそ)かさが満ちている。
  しかし、当版は人間ブルックナーが試行錯誤して天国への門を目指して
  彷徨(さまよ)い歩くさまが表出されており、
  これはこれでひとつのドラマが形成されています。
  
  世界初演と云う事も手伝ってか、演奏は大変な大熱演。
  終演時はブラボーとブーが双方出ましたが、私は惜しみなく拍手しました。
  いつもは拍手を惜しんでいるので、私としては十分満足した演奏会でした。
  
  当団の弦楽器群は女性が多く、1stは男性が3名おりましたが、2ndとヴィオラは全員女性。
  これで中高域の弦が弱かったら文句を書いてやろうと
  意地悪な考えを持っていましたが、全然鳴っていました。
  かえって女性ばかりだと団結力がアップしているのかもしれません。
  低弦や管楽器は男女バランスは普通でした。
  
  最後に。
  ブル8終楽章の最終コーダの辺りは何度聴いても鳥肌が立つ素晴らしさですね。
  ブル9の終楽章が丹念に書き上げられていたら、
  この第8番の最終コーダを乗り越えていたかも知れない。
  ただ、第8の最終コーダを凌駕する音楽を人間が書きえるのか?
  それを阻止すべく、神はブルックナーを召還せしめたのかもしれません。
  

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