(隊長作)

4月17日(日)  18:00   - 77 -   訪問者数

  スクロヴァチェフスキー指揮   読売日響   サントリーホール
  
  ベートーヴェン   交響曲第1番
  ブルックナー    交響曲第7番
  
  zazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazazaza
  サントリーホールの前

現在活躍しているブルックナー振りの名人と云えば、
このスクロヴァ爺さん(1923年生まれ)を
置いて他にいないんじゃないでしょうか。

  ちょっと前までは朝比奈やヴァントが同様に云えましたが、相次いでのご逝去。
  この世にブルックナーを神々しく振って下さる現人神は、
  今はあまり多くはいません。
  
  他に誰かいるかなぁとつらつら考えてみましたが、ブロムシュテット、ハイティンク...。
  もっと他にもアーノンクールやバレンボイム、小澤征爾などもあるんでしょうが、   (隊長作)

私の求めている傾向とは違う。
  サロネンが振ったら面白いんだろうけど...
  そういえばサラステのブルックナーは私的には楽しめましたし。
  
  今回で読響はスクロヴァ直伝のブル7を伝授したわけですが、
  こういった経験を積んでしまうと、今後のブル7演奏にも影響が出ると思う。
  良い面も一杯あるんですが、悪い事もある。
  若手指揮者が新たな角度からスコアを照らそうと試みても、
  スクロヴァとの神秘的なまでの体験が、邪魔してくる。
  あの時の体験に比べると、今回の指揮はマダマダだなぁと...。
  
  これは我々聴く側も同様なことが言える訳でして、今後かなりハイレベルな
  演奏を体験してみても、「あん時のスクロヴァの演奏に比べちゃぁ...」
  
  よく居るでしょ、
  「昔の演奏は凄かった。ワシが若いころ聴いたカラヤンの来日演奏会では...」   (隊長作)

なんて語りだす人。
  でも、それは仕方が無いくらい真実なんです。
  指揮者と演奏のグレードは年々落ちるばかり。
  カリスマ指揮者や鉄血楽団は減る一方。
  多くの人の需要があるというのに、供給が覚束ないという不思議な現象。
  
  これが芸術の世界という奴です。
  全く昨今の芸術は落ちぶれていくばかりです。
  
  さて、久々のサントリーホール。
  やっぱり我々の布陣は舞台裏のP席です。
  LBブロックの方が良いのは聞いてるけど、値段に劣らぬ座席といったら
  このエリアです。   (隊長作)

特に指揮者を思いッきり堪能しようと思うと、ここほど良い席はありません。
  コンチェルトだと全くソリストの音が遥か彼方へ飛んでいってしまいますが、
  今日みたいな交響曲では致命傷でも無い。
  まぁ、どう聴こえるかは人それぞれだけど。
  
  数年前までなら、ベートーヴェンの第1番なんか聴いてる時間さへ
  勿体無いと思ったものですが、最近の私はベートーヴェン大好き。
  実は今夜もベートーヴェンのピアノ協奏曲やらソナタやらのCDを
  4枚も買ってきてます。
  かつて俊友会管弦楽団の演奏会でベト1を聴いて、先入観がガラっと
  変わった経験があるのですが、今回も心洗われるような思いです。
  
  モーツァルトのような序奏を経て、活き活きと若きベートーヴェンの躍動が
  謳われるんですが、この曲は演奏が佳いほどツブ立ちます。
  また、大曲前のウォーミング・アップみたいな添え物的プログラムですが、
  読響団員がスクロヴァから絞り取れるだけ搾り取ろうするかのように貪欲に
  反応してくれるので、初っ端から凄い熱演です。
  
  とは云っても、やっぱり本題のブルックナーです。
  ブルックナーと云えば、私は第6番。
  隊長は第5番です。
  ですから第7番はマイ・フェイヴァリット・ナンバーでは無いんです。
  しかもチューリッヒまで行ってザンデルリンク&トーンハレ管のブル7を
  聴いた印象が強烈なので、正直不安でした。
  
  しかし、そんな思いも杞憂でしたねぇ。
  ブル7が進むにつれ思わずにいられないのが、   (隊長作)

「読響うますぎる」
  指揮者による魔法が掛かっているとはこの事で、弦の音色(特にチェロ)、
  管のやわらかさ(特にホルン)、ティンパニの絶妙な温かみなど。
  世界のオケを相手にブルックナーを振っているスクロヴァからしてみれば、
  日本の読響などまだまだ未熟なんでしょうが、今日の読響は素晴らしかった。
  本質的な響きなどは欧州の弱小オケなどにもまだまだ追いつかないかもしれませんが、
  この指揮者の意に応えたいというパッションは、何事にも替え難いものです。
  
  それから素晴らしすぎるブル7演奏を聴くに連れ思ったことは、
  終楽章が短すぎること。
  ここまで究極を目指す音楽を彷徨ってきた割には、ゴールが早すぎる。
  いくら演奏が良くても、ブル7はこの終楽章がある限り、
  残念に思えてしまうのは私だけなんでしょう。
  
  最期に、演奏終了直後に起こったフライング拍手。
  これは嫌がらせなんですかね?
  ブルックナー音楽とはゼネラル・パウゼの言葉もあるように、
  「響きと静寂」が音楽の二大要素となっています。
  最終結で、全ての音が天空に吸い込まれて、ホールに静寂がおとずれて
  初めてブルックナー音楽は完結する。
  そうですよね?みなさん。
  
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