(隊長作)

3月18日(土)  15:00   - 113 -    訪問者数

    ハルフター指揮   新日本フィル    すみだトリフォニー

    プーランク     ピアノ協奏曲
    プロコフィエフ   交響曲第3番

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  両曲とも実演初めて、ということで大いに楽しんできたコンサートでした。
  
  プーランクと云えばオペラ「カルメル会修道女の対話」しか知らず、
  一般の人にも現代フランスのフニャフニャモゴモゴとした音楽ではなかろうか、
  といった誤った推測がおありではなかろうか?
  私も「カルメル会」と言っても例の首チョンパ・シーンしか耳に残っておらず、
  さして期待してなかった。
  
  ところが、コンサートに向けて予習をしようと思いきや、
  このピアノ協奏曲のCDが我が家にあった。

  コンロン盤なのだが、聴いてみると意外に面白い。
  
  本演奏会しおりには、
  「独奏がいきなりシャンソンそのものの旋律を弾き始める。」とあるが、
  これはシャンソンではなく、橋田寿賀子ゴールデンアワーでしょう。

  プーランクの作曲は1950年頃だから、彼が橋田寿賀子のドラマを
  予見しているわけはないし、橋田寿賀子が50年代のおフランスを
  欲しているとも思われない。
  そんな二つの世界が、不思議とリンクしてしまっている。
  ある意味、この橋田寿賀子ドラマ風冒頭さへなかったら、
  この曲はもう少し日本で定着するんではなかろうか。   (隊長作)

可哀想な作品である。
  第1楽章中間部では、ピアノの和音強打によるかなり印象的な展開がある。
  このナイス旋律から本曲を開始する構成で作曲されていたら、この曲は
  もう少しカッコよくなっていただろう。
  そう、冒頭は橋田寿賀子だけど、途中にカッコイイ場面があるのよ。
  だから皆さんもそこんとこ忘れず、この曲を聴いてみて下さい。
  

  今回の肝心なのは、メインのプロコ。
  なんたってあーた、第3番ですよ。
  第3番の実演は、恥ずかしながら初体験。   (隊長作)

これは嬉しい。
  このメルマガでも最初の頃にビデオ紹介したオペラ「炎の天使」を交響曲化したのが
  第3番なのだが、この曲がどうしてここまで演奏されないのか、
  全く持って理解不能。
  指揮者ハルフターと新日本フィルがどういう経緯で第3番をプログラムに
  載せたかは不明だが、ホントに良くやった。
  客席もなかなか埋まり、思ったほど赤字公演でも無かったんではないか?
    
  プロコフィエフ  オペラ「炎の天使」ビデオ・レビュー
  http://rede200402.hp.infoseek.co.jp/cd/cd2.html
  
  さて、この曲が「良い佳い」と書いてても伝わらない。
  どこがどうイイのか、書いてみよう。
  冒頭は高音による絶叫で始まるんだが、ここは私はそんなに好きくない。
  
  いかにも「プロコ劇場が始まるねぇ」、といった按配だが、プロコの
  真の芸術はこんなもんじゃない。
  こういったドギツイ効果から曲が始まりそれが印象付けられるのは残念だ。
  と云っても、本人がそう書いてるんだからしょうがない。
  プロコも意外とミーハーなのか、どうにかして本曲をメジャーにしたかったのか。
  
  第1楽章もノリノリになってくるのはホント真ん中あたりからで、
  音楽は行進曲風になってテンポはウキウキ、
  金管がパオーンと叫びだすあたりは堪らない。(隊長作)

  旋律が目まぐるしく交代して、混乱に拍車を掛けるが、この錯綜状態がなんとも素晴らしい。
  曲に慣れて無い頃は、ナニが何だかはっきりしないが、構成が把握できると
  この曲はほんとに面白い。
  そしてコーダ前ではテンポがぐっと落ち、一度大団円を迎えるが、
  またしてもあの馬鹿げた行進曲が覆いかぶさる。
  
  そのあと、プロコフィエフでも一二を争う、いな、現代音楽でも一二を争う
  天使の囁きのように美しいシーンが挿入される。
  海洋に小さな海ボタルが無数に浮遊しているような、そんな幻想的な世界のまま
  第1楽章は終っている。
  
  第2楽章は、そのイメージを引き継いだまま「僧院の場」の主題を使うんだが、
  これがまた繊細な音楽なんよね。
  こういった音楽を書けるくせに、第1楽章冒頭のような破壊的な音楽を
  誇示しちゃうんだから、プロコって損な性格。   (隊長作)

第2楽章も進んでゆくとまさしくサイコホラー映画。
  そもそもオペラ「炎の天使」自体がホラー以上なんだから、交響曲も
  そうなっちゃうんだろうけど、このホラー感は堪らん。
  暗い夜道をひとり、この第2楽章を iPod で聴きながら歩いてみよう。
  たまりませんぜ。
  
  それに比べて第3楽章はプロコによくある超絶技巧オンパレード。
  こういう楽章があるもんだから、実演に採り上げづらいのかも。
  弦楽器部隊は最大13パートに分割し、グリッサンドが当たり前のように
  乱れ飛ぶ。
  確かに、これは難しそうだ。
  弦はキュイキュイと跳躍音程を要求され続ける。
  かと思えば細かいパッセージの連続で、こりゃ難しかろう。
  でも中間部はうっとりしたやさしい楽想が挿入されている。
  
  終楽章は悪の大魔王降臨、といった世界。   (隊長作)

いいねぇ、悪の大魔王。
  あたしゃこういう音楽が大好きだよ。
  
  なんだかちびまるこちゃんになってしまったが、正義面した品行法性な音楽よりも、
  こういった血みどろな世界もたまには魅力的では。
  子供の頃、地獄を描いた本なんかに惹かれたりしませんでしたか?
  そんな恐いもの見たさに惹かれるアナタなら、きっとこの交響曲に
  あなたは神経を逆撫でされるでしょう。
  あれ!違うか?
  
  zszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszszs

  今回の本文を読み返してみると、演奏自体の感想が書いてない。
  あれれ?
  演奏の方は簡単に言うと、まぁまぁ良かった。
  新日本フィルはなかなか演奏上手。
  そんなところだ。
  
  要するに、特徴が無い。
  物凄い変った演奏なら、そこを上げ足とって攻めてくんだけど、なかなか
  どうし、手堅い優等生的演奏なのよね。
  まぁ、プロコ第3番なんだから、文句は言え無いが(十分言ってしまって
  るんですが)、譜面をしっかりと再現してくれることも大切なわけでして、
  次回は遊び心たっぷりの演奏も期待してるよ、と言ったところか。
  なにはともあれ、採り上げてくれたことに、最大の謝辞を述べよう!
  

  
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