(隊長作)

ベートーヴェン第4番の想ひで   - 116 -    訪問者数

  何度も書いていると思うが、ベートーヴェンは第4番が大好きだ。
  弦楽四重奏曲やヴァイオリン・ソナタの事だったら渋いんだけど、
  第4番とは交響曲とピアノ協奏曲の事。
  
  私のクラシック入門はハイドンのチェロ協奏曲第1番と、ベートーヴェンの
  「皇帝」だった。
  どちらも協奏曲からクラシックに魅せられたとは不思議な縁だが、
  ベートーヴェンは第5番「皇帝」ばっかり聴いて高一の春を過ごしたものでした。   (隊長作)

もう遠い春のこと。
  でも、ボクがいかに高校生活に夢と希望を抱いていたかが、お解かり頂けるでしょ。
  
  我が家の第5番レコードには、第4番の終楽章が付いていた。
  これはレコードによるPコン全集だったせいだが、いつも第4番終楽章が
  もどかしく、第5番の華麗な第1楽章が始まっては喜んでいた。
  
  第4番最終楽章だって、今聴けば随分魅力的なのだが、初心者のころには
  「皇帝」第1楽章の絢爛さには、あがらいがたかったんだろう。
  あのころから第4番のやさしさに気づいていたら、今頃は音楽評論家に
  なっていたかもしれない。
  
  交響曲第4番の凄さに気づいたのも最近の事。
  そもそもベートーヴェンの存在自体を永年憎んでいた私は、第3番だろうが
  第9番だろうが、これら不滅の九曲があるせいで、ショスタコやプロコの交響曲が
  どれだけ迷惑を蒙っていることかと、歯軋りしていたのだ。
  フフフ...おかしいね。
  
  アマオケからも遠ざかって、巷に無名珍曲のプログラムが跋扈しはじめたころ、
  私はようやくベートーヴェンと虚心坦懐に向き合えた。   (隊長作)

まず、交響曲第3番。
  私のCD紹介にもあるようにシェルヘンのトンデモ爆演にぶったまげた。
  
  こういうことが可能とは、ベートーヴェンってなんと懐が深いのか。
  硬く紳士的に演奏しても良し、くだけて元気一杯におどけても佳し、
  破茶滅茶な殴り書きのような一筆啓上もイイんだな、これが。
  とにかく、いろんな可能性が許されてて、それが不思議とベートーヴェン
  という世界の中に収斂されていってる。
  
  それからまもなく、クライバーの第4番が身に染みてきた。
  まさにこの演奏は「身に染みる」という言葉にうってつけの名演で、
  聴けば聴くほど面白い。
  この演奏がすごいのか、この音楽がすごいのか、分からなくなってくるほどだ。

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  6月4日(日)  14:30  光が丘IMAホール
  
  小野富士指揮   光が丘管弦楽団
    
  ベートーヴェン  ピアノ協奏曲第4番
  ベートーヴェン  交響曲第4番
  光が丘IMAホール
いずれにせよ、こんなに大好きな4番&4番のコンサートがあると知り、
光が丘まで出掛けて行った。

光が丘はその昔は随分近未来的で人工的な街だったろうが、
今はその人工臭さにすっかり人と緑で
不思議な調和を産み出している。
かなり不思議な街だが、大都市郊外の巨大ベットタウンには
ありがちなのかもしれない。

  その町の中心にはショッピングモールがあって、日曜日だったこともあってか、
  とにかく家族連れでゴッタ返している。
  みんなが大騒ぎで買い物したり食事をしたり、平和と幸福が溢れかえっている。
  私も関西人としては懐かしの「aa」を発見!   (隊長作)

でも、たまたま名前が同じなだけみたいで、系列店とは違うような...?
  
  IMAホールは5〜6百人ほど入れる中ホール。
  モーツァルトやベートーヴェンなどの規模の音楽は、これくらいの箱が一番イイ。
  倍管にする必要も無く、弦のアンサンブルも粒だって聴こえるプルートで
  組めるし、無理のないアンサンブルでいて最適な音響が得られる。
  この日も、のびのびとした演奏となっていて、逆にこういったホールで勝負する方が
  レベルが高くないとやれないなと、感心したくらい。
  
  そう、このオケがどれほど有名なのか知らなかったのですが、   (隊長作)

かなり上手い。
  はっきり言えば、各駅にある地域オケの一つくらいにしか思ってなかった。
  
  しかしベートーヴェンの、そして交響曲と協奏曲の、しかもそれぞれ
  第4番を持ってくるところに自信が無いわけがないじゃないですか。
  この組み合わせを選んでること自体、ハッキリ言ってセンスがある。
  妥協がない。
  
  Pコンのピアノはかなり難しいことは素人でも解る。
  難しいだけでなく、詩情や薫りまでも要求されてくる(私が要求してるん
  ですが)んだから、相当厳しい感想になってしまう。
  逆に、対極に立つオケの旨さが際立つ演奏になってしまった。
  メインだけでなく、前半の協奏曲もしっかり練習してきたんだな、という
  点が更にこのオケにいい感情を持った。
  
  前半が良かったアマオケでメインが悪かった例は少なく、交響曲も
  安定感のあるいい演奏だった。
  おそらくクライバーの名盤を目指したような演奏で、そのテンポ設定や
  流れの妙は安心して聴けた。
  ただ惜しむらくは、意外性がなかったこと。
  オリジナリティと言ってもいいかな、アレ?と思わせてくれるような
  遊びが無かったし、それがやれるだけのオケだとも思う。
  指揮者がそういうのは好きじゃないんだろうけど、ベートーヴェンや
  モーツァルトはそういう即席の妙がやれる音楽だと思う。
  
  こういったオケだから、いつかシューマンの2番あたりを聴いてみたい。
  
  けっこうイケルんじゃないかと思う。
  (過去演奏記録によると、01年6月に演奏済です。
   が、強いて今一度聴いてみたいな)
  
  
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