(隊長作)

8月20日(日)  13:30   - 121 -    訪問者数

    金子建志指揮   千葉フィルハーモニー管弦楽団  習志野文化ホール

    ラヴェル     「スペイン狂詩曲」
    プロコフィエフ  バレエ音楽「シンデレラ」抜粋
    シューマン    交響曲第2番ハ長調

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  習志野文化ホール
千葉は津田沼、
一時間半くらい懸かりましたが行って来ました。

お目当てはズバリ「シンデレラ」。

メインは珍しいシューマン2番だし、前プロにはラヴェルとくる。
これは夏とは思えないリキの入ったプログラム。

大丈夫か?と心配するところですが、
この千葉フィルの実力は半端じゃ無い。

  なんと去年の演目はマラ10全曲版。
  マラ10についてはかなりこだわりがあるんですが、それを
  満足させてくれるオケというのは非常に有り難い存在。
  
  05年8月20日の千葉フィル「マーラー10番全曲版」感想
  http://rede200402.hp.infoseek.co.jp/dai5/dai93.html

  それに比べたら今夏はちょっと目玉不足かもしれないな、と
  思ってたんですが実際に聴いてみたら脱帽でした。
  「シンデレラ」が「抜粋」とあるので、どうせ20分ほどの
  「アルルの女」程度のものだろうと思ってたのです。
  
  ところが、これが全17曲という堂々たる「抜粋?」版。
  確かに、全曲は50曲で、2時間近くかかる。
  抜粋17曲の小一時間は抜粋かもしれませんが、メインのシューマンより
  はるかに長大で難曲が続く好演目。
  プロコフィエフの交響曲に比べたら曲は解り易いんですが、
  やはりアヴァンギャルドで攻撃的な曲が多い。
  
  さて、こういった重たいプログラムなのに、ラヴェルの「スペイン狂詩曲」
  がいきなり上手いのに驚いた。   (隊長作)

ええ!?と云う上手さなのだ。
  アマチュア人口って東京が圧倒的に多いんだけど、玉石混交でもある。
  その点、千葉って、考えてみるに上手い演奏ばかり。

  敢えて遠い千葉まで聴きに行くわけですから、それなりの高難易度だったり
  珍しい曲だったりするわけで、そういうってことは腕に自信が無けりゃあ
  出来ないわけで...それにしたって上手いんです。
  田舎モンの私が東京・横浜・埼玉・千葉の実力差を知らなかっただけ
  かもしれませんが、どおやら千葉はハイレベルのように思います。
  
  最近我が隊では同じプロコの「ロメオとジュリエット」がブームなんですが、
  同じバレエ音楽なのに「シンデレラ」はほとんど聴いていなかった。
  そこで慌ててロジェストヴェンスキー指揮の抜粋版CDを聴き込んで
  演奏会に挑んだんだが、聴き込んでみるとかなり良い曲が散らばっている。

  どれもが良いとは言え無いため、名曲尽くしの「ロメジュリ」には勝て無いが、
  「シンデレラ」だってもっと評価されて然るべき名曲混じり。   (隊長作)

具体的には「ワルツ」、これが黒っぽくて良い。
  ウィーンのワルツが華やかで、マリアテレジアン・イエローみたいな
  明るいドレスだとしたら、プロコのワルツは黒いドレス。
  黒いドレスに金銀や赤の刺繍や宝石が散りばめられたような音楽になっている。

  何かと似ているな?と考えてみるに、
  ハチャトリアンのワルツと雰囲気が似ている。
  ハチャトリアンも黒くて悪の薫りが漂う妖しいワルツだ。
  それを更にモダニズムにしたのがプロコフィエフ。
  
  この曲最大の山場が「真夜中」。
  真夜中とワルツだけでも、「シンデレラ」は聴いといて損は無い。
  (隊長作)
「シンデレラ」って、深夜十二時になったら魔法が解けるから、
舞踏会から帰るじゃないですか。

  大好きな王子様と離れたくない、舞踏会でこのまま踊り続けたい、
  でも魔法は十二時で切れてしまう。
  その辺りの心の葛藤や、十二時へと近づく時計の刻む音が...凄いんですねぇ。
  
  チクタク・チクタクなんてもんじゃない。
  カッコン!カッコン!と、なんと切迫した大時計の突き刺さる音響。
  ウッドブロックがこれでもかと叩きつけられる中、シンデレラは振り向き
  振り向き舞踏会から大階段を走り降りて行く。   (隊長作)

そんな途中、ガラスの靴が脱げる。
  まったく旨く表現したもんです。
  そう思わせるほど演奏は白熱してまして、久々に私も燃えました。
  これは是非、本物のバレエ舞台も観たい、それも海外で。
  受付
中プロですっかりグロッキーになった後、
興味の無いシューマンを聴くのは、
シューマンにとって不利なんですが、
シューマンは始まります。

この曲は第2楽章が有名ですよね。

  かつてバーンスタインのLDで、第2楽章になったら
  1stヴァイオリン全員を立たせて弾かせる。

  まるでマーラーのホルンを思わせるような演出でして、これが格好良いんですよ。
  それだけ1stは超絶技巧を一糸乱れぬ速さで弾き飛ばすんですが、
  千葉フィルもなかなか頑張ってた。
  おそらく一人一人は弾けてたんじゃないかな。
  一糸乱れぬは、流石に厳しかったようですが。
  
  シューマンの交響曲は、誰もが言うようにオーケストレィションがねぇ。
  部厚く塗りたくった油絵のようで、指揮者金子氏のパンフレット解説にも
  あるように、これをどう料理するか、連綿と綴られている。

  大きく改変すればシューマンのカラーが全く崩れるので、音符は出来るだけいじらず、
  音量調整主体に音響の透明性を上げる、みたいな事を目指している。
  しかし、聴いている限りでは成功してなかった。

  原曲どおり全員一致でフォルテを斉奏しているよりかは、
  随分改善されてるんだろうけど、プロコのオーケストレィションを味わった後で、
  黒ずんだ油絵を見せられてはキツイものがある。
  演奏曲順を逆にしてれば、良かったんじゃないかな...。
  いえいえ、プロコをメインにしておけば、と言いたい訳じゃないんですよ。
  
  
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