11月11日(土) 15:00 - 129 -
ノリントン指揮 NHK交響楽団 NHKホール
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 (独奏:庄司紗矢香)
ヴォーン=ウィリアムズ 交響曲第5番
owowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowowo
秋深まる東京、
落ち葉敷き積もるNHKホールに行ってきました。
今回はひとえに、
ノリントン聴きたさに行ったようなもの。
いな、更に嬉しい重なりは、
ヴォーン=ウィリアムズ(以下:RVW)の
中でも、かなり大好きな交響曲第5番を採り上げたこと。
いくらノリントンでも、モーツァルトでは食指は伸びなかっただろう、
俺は。
ヘンスラーの新譜CDを試聴する限り、
最近パワーが衰えてきた感があるノリントン。
手持ちのRVW第5番CDでも、ノリントンの演奏は
スラトキンの銘盤に完敗していると思う。
そうは言っても旬な指揮者が、
大好きな珍曲をやってくれるんだから、
聴くしかないだろう、N響だけど。
実はこのRVW第5番、私は実演が初めてではない(自慢)。
しかも海外で聴いたのでなく、国内で聴いている。
しかもアマオケ、3年前の「ルネこだいら」にて。
このメルマガは2004年1月のコンサート感想から創めてるので残念だが、
2003年12月に聴いている。
オケは三鷹市管弦楽団、大したオケである。
不甲斐ないのはその後、どこのアマオケもこの曲を採り上げていないこと。
まぁ、それだけ難しいことは解るんですが...。
ノリントンと云えば、ノン・ビブラート。
この手法で随分出世した。
しかしこれは相当な手練集団がやって初めて真価が発揮するのであって、
生兵法がノン・ビブラートでやるとやばいことになる。
いや、なったと言い直そう。
それからティンパニ。
いつものティンパニじゃない古楽器っぽい太鼓を
使ってた風に聴こえたのだが、
これはキツかった。
あのポンポコ太鼓で、
20世紀のロマンティックを表現するなんて、
ノリントンの先は見えてきた。
もっと問題だったのは、管弦のバランス。
終楽章、この曲最大の大海原に吹き渡る波風のようなクライマックスが
あるのだが、この管と弦の絶妙な音量バランスがいかに大切なのか、
私はノリントンに教えてもらった。
彼のように管を出しすぎると弦の精神的な憂いや厳しさの筋が
解らなくなってしまう。
もしかして、ノン・ビブラート奏法による弦楽器の響きの弱さが、
音量バランスを狂わせたのではないか?
これだけクライマックスでずっこける演奏も珍しい。
この曲を大して知らない多くの観客たちは、自分の無知を証明したいかのように
盛大な拍手を送っていた。バカバカしい。
さて、追記する必要も無いほどだが、
庄司紗矢香ちゃんの感想も書いておこう。
CDも、名前も売れている、
でも私好みではない真面目そうな女の子。
名器ストラディバリウスをどう鳴らしてくれるんだろう、
と興味を持って聴いた。
彼女はかなりヴィブラートを抑えて弾いていたように聴いたのだが、
ストラディバリウスって良い音じゃ無い、と思った。
そもそもヴィヴラートとは、人間の持つ偉大な「知恵」の産物である。
どうやったら音程の危うさを、誤魔化せるか。
どうやったら貧弱な楽器から、芳醇な音を引き出せるか。
どうやったら実力以上に、上手く聴こえさせるか。
私はこれらが悪いコトだとは思わない。
楽して得したいのが、人間の本心。
実に素直な精神だし、そこからいろいろな発明が生れている。
そしてヴィヴラートは、意外にもそこそこの結果をもたらしている。
どういう理屈でノン・ビブラートを愛用してるのかは知らないが、
裸にしたらアラだらけな人達には毛皮は必需品だったのではないだろうか。
cocococococococococococococococococococococococococococococo
ああ、最近、荒んだ心だナァ。
イヤな文章を読んで、イヤな気分になった人には申し訳ない。
もうちょっと、どうにかならんのかと、自省したいです。