(隊長作)

11月10日(土)  14:00   - 163 -    訪問者数

    NTTフィルハーモニー管弦楽団 田代詞生指揮  ミューザ川崎

     ベートーヴェン  ヴァイオリン協奏曲
     プロコフィエフ  交響曲第5番

  memememememememememememememememememememememememememememem
  
東海道をぐんぐん上って、
浜松、三島、熱海と乗り継ぎ、
ようやく第一の
目的地・川崎に着いた。



  話は前後するが、ショスタコ・フェスの始まるのが5時だったから、
  川崎の2時開演4時終演なら、新橋徒歩10分(実際は雨の夜道に迷って
  20分)で5時日比谷はイケル、と考えた。   (隊長作)

しかも川崎でやっている演目に目を剥く。
  
  まさしく、目を剥くような演目。
  最近あちこちで採り上げられているプロコフィエフのナンバー・ファイブだ。
  いよいよ日本はプロコ・ブーム到来か?

  バレエ音楽「ロメオとジュリエット」はCMを始めあちこちで使用されてるし、
  私的には「シンデレラ」や「鋼鉄の歩み」なんかも、即、BGMで
  ブレイク間違いない旋律がゴロゴロある。
  ただ音楽プロデューサーが、この宝の山に気付いていないだけだ。
  
  しかしアマオケ界では、プロコ・ナンバー・ファイブの美味しさには、
  各所で気付き始めている。
  残念なのは、プロコは2番だって3番だって、いやいや4番は版が2つも
  あるし、第6番は第5番を超える傑作なのにメジャーに成れていないし。   (隊長作)

山のようにある組曲は、未開の地のまま。
  どこもかしこも「ロメジュリ」と「シンデレラ」はやるが、そこから一歩
  先が出て来ん。
  
  数年前に比べると、夢のようなプロコ時代が幕開けてきたわけだが、
  ショスタコが全曲フェスで盛り上がっているだけに、どうしてどうして、
  プロコだって負けてませんぜ!と応援したくなっちまう。
  それを言ったら、次のポスト・ショスタコはニールセンだし、私は
  パリーが来る日もあるんじゃないか、と睨んでるんですね。

  パリーはブラームスとチャイコの間に生まれたような子ですが、独特の
  英国の黄昏が燻し銀のように輝いて、パリーの交響曲第5番なんか
  絶品中の絶品なんだけどなぁ、と日々溜め息をついている。
  そんなわけで東京のCD漁りは夜に取って置いて、川崎2時コンサートに
  突撃。
  ミューザ川崎
プロコが無けりゃ、ベトベンのVコンなんて
聴かないんですが、実はこの曲も
オーケストラの一員として演奏した事がある。

半年間練習し続けたので、
それなりに細部まで(ヴィオラ・パート中心)
知っているつもり。

ポンポンポンポンと、
呑気なリズムで始まる協奏曲でして、
結局好きになれなかったなぁ。
(隊長作)

  世界にヴァイオリン協奏曲の名曲は数々あれど、ベートーヴェンの力量のわりには、
  これこそベートーヴェンの最高傑作と言い切れる人は少ないんじゃないかな。
  
  駄曲とまでは思わないけど、あのベートーヴェンが心血注いだら、
  もっと強烈なVコンも出来たんじゃないの?と思うのは私だけ?

  第2楽章は美しいし、カデンツァが様々なヴァリエィションがあって、
  面白い事は面白い。
  クレーメル&アーノンクール盤みたいに、ほとんど現代音楽みたいにして
  しまっている版もあり、そういう点では可能性が広くて、悪くない。
  
  当日のソリストは天満敦子。
  ギャラ奮発したなぁ、というのが正直な感想。
  そして、こんな演奏、サギじゃん、と思ったのは私だけじゃないはず。
  
  兎に角、乱暴な弾き方。
  それは許容したとしても、高音をはずして、しかもそれを誤魔化そうと
  する狡っこさに嫌ぁな気分。
  第2楽章終結部、2回の高音によって締め括る箇所がある(重要)。
  1回目は若干高音が下にズレ、そのまま弾き切った。
  小細工するよりは良いよな、と思って聴いていたら、次の同じ高音も同じ   (隊長作)

ハズし方。
  まるで、さっきの高音ハズレはハズしたんじゃありませんのよ、と
  言い訳しているよう。
  天然だとしても、物凄く駄目だと思った。
  

  オケに対して同情的な気持ちになり、優しい心でメイン曲に臨む。
  プロコは大好きな作曲家なので、飛びっきり厳しい審美耳で挑むのだが、
  そうは済まい、と思い聴き始めた。
  
  ミューザ川崎
もったりした所が無く、
全体はキビキビしている。
上手い、ってレベルは超えており、
プロコを選曲するオケならではの
楽団レベル。

本曲で重要な音量もそれなりに出ており、
これはクルかな、と思う事もあった。

しかし、プロコフィエフに最も必要な事は「狂気」。
大音量にせよ、諧謔にせよ、アイロニーにせよ、
プロコは紙一重のウラ世界が透けて見える恐ろしさを
表現できなければいかん。

  大変厳しい要求であることは重々承知してますが、昨年の神戸大響のように、
  それを完璧にやってのけてしまう学生オケもあるのだ。
  社会人オケだって、不可能と諦める事は無いだろう。
  
  神戸大は若さゆえの暴走がとんでもない昇華に繋がった奇蹟だが、
  じっくりと取り組んだNTTフィルは慎重さが裏目に出た。
  この曲は大曲だし、堂々としてるからがっぷり四つに組んで演奏する
  スタイルが多いが、そのほとんどは構築性が今一歩で、エクスタシィを
  感じる手前で終わってしまう。

  何か途轍もない巨大な壁をぶち破り、極限の向こうを超えた先からが、
  この曲のめくるめく幻惑の大伽藍が浮かび上がるんだが、なかなかそんな
  大伽藍は見せてくれない。
  
  とっても頑張った演奏だったし、プロコを採り上げて下さった事だけでも、
  感謝感激。
  こうやってはるばる西の彼方から来たんだしね。
  でも、それだけに残念な気持ちも大きかった。


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  ● 過去のプロコ5番なコンサート感想 ●

  2005年  2月26日  井崎正浩指揮 フライハイト交響楽団 /
  シベリウス 交響曲第5番、プロコフィエフ交響曲第5番


  2005年7月2日&7月9日 ボレイコ指揮 NHK交響楽団 /
  ストラヴィンスキー「火の鳥」、プロコフィエフ交響曲第5番 他


  2005年12月 3日  金聖響指揮 千葉大学管弦楽団 /
  プロコフィエフ 交響曲第5番 他


  2006年11月12日  堤俊作指揮 俊友会管弦楽団 / 
  プロコフィエフ 交響曲第5番 他 


  2006年 12月10日  神戸大学交響楽団 奥田恵悟、河合悠吾指揮 /
  プロコフィエフ 交響曲第5番、ドヴォルザーク チェロ協奏曲 他 


  2007年7月22日  名古屋シンフォニア管弦楽団 堀俊輔指揮 /
  プロコフィエフ  交響曲第5番 他


   









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