なす(隊長作)

コミッシェオーパーのボリス・ゴドゥノフ   - 21 -   訪問者数

  昼にコンサートに行ってしまったので、観光する時間も無く日が暮れる。
  ご飯でも食べよまい!と、ガイドブックに載っている店を目指すが、
  いくら探し回ってもない。
  どうやら潰れているらしい。

  ケチって前回の時に買った、2年前のガイドブックを持って来たのがやばかった。
  鉄道の駅も一つ増えていたりして、1つ手前で降りちゃったりしたし・・。
  
  教訓:ガイドブックぐらい最新のを買え。
  
  夜は、予定通りオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」を観に行った。
  特に有名な歌手が出ていた訳では無いので、当日券で大丈夫だろうと直接行ってみた。
  
  何かの本に、「ヨーロッパではオペラを映画を観に行く感覚で行く。
  価格も手ごろだし、日本の様に勇んで行ったりしない。」と書かれていた事があった。
  
  この時の当日券売場、並んでいた前の若い女の子二人組を見て、すごく納得した。
  若い人でも立ち見席ではない席が、低価格で手に届く値段なのです。
  日本もこんな環境になってくれたらな〜。
  ボリスのチケット

Parkett Reihe13 Platz13
1階席 平土間 13列 13番

48ドイツマルク。

  おそらく1番高い料金だったと思うのですが、当時4,000円くらいでした。
  安すぎです。
  
  開演前にトイレに行っとこうと思い、行った。
  出てくると、右の方からクラシックじゃない音楽が流れてくる...?
  時代錯誤なドでかいラジカセを担ぎ、訳の分からん(ドイツのポップス?)曲を
  流しながら、ちょっと小汚い格好をした若いにぃちゃんがトコトコ歩いてくる。
  
  「ひやゃ〜!変な人がいる〜!!」
  周りのドイツ人達も、怪訝そうな顔をし、
  目を合わさない様にしよ〜といった感じに、足早にそそくさと去ってゆく。
  もちろん、私も逃げる。
  こわい、こわーい!なんなの?あの人・・・。
  
  席に着くと、同じくトイレに行っていた隊員が、先に席に着いていた。
  「あのね、あのね、変な人がいたの、あわわわわ」と、話そうとしたら、
  開演時間になり、いきなり照明が落とされ、舞台にではなく、
  1階席の後ろの扉にスポットライトが当たる。
  
  客席、みんな後ろを見る。
  「???」
  
  スポットライトの先には、さっきのラジカセを担いだ変なにぃちゃんが立っていた!!
  
  borisborisborisborisborisborisborisborisborisborisborisborisborisborisborisboris

  ホワイエをウロウロして、ラジカセぶら下げ客席後方で
  スポットライトを浴びている若い変なおにぃちゃん。
  実はこいつ、オペラ歌手だったんです。
  音楽が始まる前の休憩時間から、オペラは始まっていたんですよ!
  
  のっけから、「やられた〜」と思いました。
  
  ここで、オペラ好きの方なら、
  「誰の演出だろう?」とお思いになることでしょう。
  しかし、この時の旅行の資料が、ごっそり行方不明になってまして、記憶にも残ってない。
  私自身が誰の演出だったのか教えて欲しい、お粗末な状態でございまする。
  
  ごめんなさい。
  
  ここで唐突ですが、隊長は、何回か書いているように、元アバド・ファンです。
  ご存知の方も多いかと思いますが、アバド・ファンにとって
  「ボリス」は欠かす事のできないオペラです。
  アバドはムソルグスキーのオペラが大好きで、チャンスあらば、あちこちで
  「ボリス」や「ホヴァンシチナ」を取り上げ、嫌がられて(?)いたそうだ。
  
  1994年のウィーン国立歌劇場来日公演にもこれを持ってやってきた。
  
  当時、バリバリのアバド・ファンだった私は、チケット代金を省みず、迷う事なくS席を購入。
  この時、同時公演だったクライバーの薔薇の騎士、アバドのフィガロ、
  他にもベルリンフィル、ウィーンフィルも買いまくった。
  チケット代金は1ヶ月分の給料を軽く越えた。
  しかし今思えば、最高に楽しい、まさに薔薇色の1ヶ月でした。
  やっぱり指揮者も人の子、好きなモノの方が良い出来になるのでしょう。
  
  フィガロよりもボリスの方が断然良かった。
  かくして大感動した私はしばらくボリスにハマる。
  いや〜ホントに良いオペラだ。
  
  最近では、ボリスと言えばゲルギエフといった感があり、
  アバドの影はすっかり薄くなっている…
  
  日本でも何回も外来オペラが持ってきてくれていますが、
  どれもオーソドックスな演出だったかと思います。
  
  世の中、この「オーソドックスな」とか、「保守的な」演出が好きで、
  時代設定を現代に移してあるモノなどに拒絶反応を起こす人は、
  国内外問わず結構存在するらしい。
  
  隊長は、平気なタイプです。面白いと思います。
  この時の演出も、ヘンテコリンな演出でした。
  
  スポットライトを浴びたおにぃちゃんは、いまだラジカセを持ちながら、
  後方よりステージに向かってトコトコ歩いてきた。
  よっこらしょと、舞台に上がる。
  オペラは始まりました。
  
  urourourourourourourourourourourourourourourourourourourourourourourouro
  
  ラジカセを持って、客席から舞台までウロウロしなくてはならない彼の役名は、
  私の持っているラザレフ指揮のLDでは、「正気を失っている苦行僧」と
  訳されている役です。
  確かに私は、ホワイエで彼を見た時「変な人がいる」と思ったワケですから、
  この演出は成功しています。   はてな(隊長作)

なぜラジカセ持ってるのかは不明です・・・?
  この他、この上品なメルマガ(?)であるクラシック突撃隊では、とても
  書けないようなエッチな場面もアリ。
  ドイツの演出は、なんかエッチなのが多いよね〜。
  エッチそうな国(偏見)イタリアの演出の方が、フツーなのが多いような・・・?
  
  このオペラで最も印象深く残っている場面は、舞台の上からゴミが
  「どかーん!」と落ちてきた場面。
  ハンパじゃないんですヨ、ゴミの量が。
  
  じゃんじゃか、じゃっじゃじゃ、じゃかじゃかじゃーーーーん、ジャン!
  ↑ボリス知ってる人でも、全然、伝わらないと思いますが、
  テキトーに想像して下さい。
  ちなみにフォルティッシモで想像して下さい。
  要するに何が言いたいかと、申しますと、最後の「ジャン!!」という
  部分の音と共に、ゴミが舞台一面に落ちてくるんです。
  ケッコー「あ然」とします。
  
  しかし、ここでゴミが落ちてくるのは、意味不明。
  プログラムの解説が読めれば、演出家が意図していることが、
  解ったカモ知れませんが、なにせドイツ語。
  読めるワケがあらしません。
  「ゴミを減らそーぜ!」というメッセージでしょうか?
  (そんな単純なコト・・・?)
  
  さすが!エコ先進国家、ドイツ!!
  あっぱれでございます。
  
  (次ページへつづく)

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