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コンサート感想


2011年5月7日(土)18:00  NHKホール
NHK交響楽団 / 尾高忠明 指揮
 尾高尚忠 : 交響曲第1番
 R.シュトラウス : 交響詩「英雄の生涯」

(隊長作)



1951年、39歳で過労死した亡父尾高尚忠の交響曲を、
息子忠明が採り上げた演奏会。

かなり意義のあるプログラムでして、通常なら英雄の生涯を
楽しみにして行くところだが、今回は前プロも期待。

前プロ(序曲)、中プロ(協奏曲や管弦楽曲)、メイン(交響曲)という組み
立てが多いが、今回のように交響曲2〜3曲のプログラムの方がお得度が高く、
こういった組み立てがもっと増えて欲しい。

尾高の交響曲、冒頭。
ティンパニやシンバルを伴う半音階な大音響で始まるが、
この響きが実に古臭い。

戦後の白黒TV放送で怪獣が登場するBGMのようだ。
作曲当時は最新の響きだったのかも知れないが、今となってみると
いかにも戦後間近な雰囲気が濃厚で、時代の空気を吸い込んだ音楽って怖い。

プログラム曲目解説で和洋折衷が強調されて書かれているが、
和テイストはほとんど感じられない。欧米作品とまでも感じないが、
R・シュトラウスの影響はアリアリと感じられる。

だからといってそれは不快ではなく、1948年作曲(37歳)としては
なかなかの出来です。

(隊長作)

第2楽章。
一転しっとりした弦の音型進行で、ワーグナー風。
ここの旋律が、独特またはヴィヴィッドならばこれは埋もれた名作と
騒がれるんだが、そこまではいかない微妙美人みたいな旋律。

背景は美しいが、中央ステージで踊りだしたのは小さな小魚ばかりで、
目を見張る大魚は現れなかった。それもこれも作曲家が若死にだった事が大きく、
彼が長生きしていれば面白い作品が出てきたのではないか?

こういった未来を感じさせる作曲家が、若くして死んでいた。
ルクーといい、バタワースといい、長生きしてくれていたら音楽界が
変わっていた早世の藝術家って多いだろうな。

ちなみにこの尾高尚忠の死因は過労死で、作曲家が過労死だなんて、
どんだけ忙しかったんだよと思ってしまう。ベルリン・フィルも振った
N響指揮者でもあり、作曲に指揮にと大活躍に無理が祟ったそうだ。



リヒャルトの英雄。
序盤、なかなか遅いテンポ。
楽曲構造が透けて見え、指揮者のしたい事は解かる。

しかしアインザッツが微妙にズレているため、気持ち悪い始まりとなった。
リヒャルト英雄の有名シーンや爆音箇所はお手のものだったが、
細かいパッセージを積み重ねるところは首を傾げた。

リヒャルトの設計図を忠実に再現すべく、全員が数学的に行動するわけだが、
リヒャルトのある一線を越えた興奮ゾーンは曲芸みたいなもので、スポーツの
名シーンを期待するのに近いと思う。

名プレー珍プレーは計算され尽くして生み出されるよりも、個人個人が
持って生まれた才能が花開く瞬間に産み出されている事の方が多い。

スポーツも芸術も、日々の練習や努力が基礎とはなるが、結局は
持って産まれた才能がどれほどの物かが火事場の糞ヂカラになってしまう
悲しい好例。

そういった名人芸を必要とする作品はノン!と感じる人がおり、逆に、
純粋に天才しか成し得ない名人芸には諸手を挙げて拍手する人もいる。

私はヴィルトゥオーゾは嫌いだから、パガニーニとかイザイとか、
全然興味を持てない。

(隊長作)

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夜食は西荻「戎」でうまい肴を堪能した。
居酒屋の酒よりも、居酒屋の一品料理が好きで、旨い肴を出してくれる所を
廻っている。

ここ「戎」は、西荻で最も有名な居酒屋だろう、客がどんどん来るから、
西荻窪南口での増殖振りが、そのまま店の繁栄を顕している。
北口店の昔ながらな佇まいは、いかにも居酒屋らしくてイイ。
特に店員さんの対応が一見の価値ありで、客商売の人には参考になると思う。

さて、この店に来たらば、なんといっても「いわしコロッケ、タルタルのせ」に尽きる。



このメニューは限定品で、あまり遅いと品切れになっていた事がままある。
この日は、煮込み、ハミチーズ揚げ、肉入りレンコン焼き、イカ焼きマヨネーズ付け
など。

イカ焼きにはノーマル何も付かないので、マヨで食べたい人は
「マヨネーズ付けて」と頼むとたっぷり付けてくれる。



鰯コロッケは、ポテトコロッケを鰯一匹開きで包み揚げたもの。
これに絶妙なタルタルソースが掛かっており、鰯とジャガイモ、それに
タルタルが見事にマッチして、これだけを3つくらい食べたいところだが、
みんなのお楽しみなので独り占めはできないんだな。



(隊長作)

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