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コンサート感想


2011年7月30日(土)18:00 東京オペラシティ・リサイタルホール
アンサンブル・オレイユ / 北爪道夫 指揮
 ショスタコーヴィチ : 組曲「ハムレット」抜粋
 プロコフィエフ : ディヴェルティメント
 ペルト : ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌
 ショスタコーヴィチ : 交響曲第15番

(隊長作)

非常に意欲的で「アマオケなの?」と思ってしまう程のプログラム。
今回だけ突発的にぶちかました訳でなく、演奏履歴を拝見するに、
ストラヴィンスキー、モーラン、ワイル、ラーション、マリピエロ、アーン
と目を疑うばかりの歴代の演目。



今回は第17回定演だが、過去突撃を調べると
第12回定演2006年(シベ6、ラーション)を聴いてました。

自転車でオペラシティまで行った事が書いてあり、
当時住んでいた街はステキだったなぁと懐かしく思う。

ちなみにオペラシティのリサイタルホール、いわゆる小ホールなんですが、
長方形の箱に椅子が並べてある平土間。

流石に天井高は8mありますが、ホールと名乗るにはおこがましい代物。

コンサートホール(三角屋根)に金を掛け過ぎて、
リサイタルホールは質素倹約になったのか?

場所も地下駐車場の端っこみたいな判りづらい辺鄙な場所にあり、
楽屋裏の練習場所みたい。

(隊長作)

ただし286席という小ホールなため、ここで室内オケをやると爆音必至。
そういう面では、まぁ、悪く無い。

コンサートホール(大ホール)の日・祝日夜間使用料は997,500円。
リサイタルホール(小ホール)の同条件使用料は162,750円。
ホールの大きさもロケーションも隔絶の感があるが、料金も反映されている。

286席の本当の小ホールなので、低弦のゴゴゴゴという地響きや
打楽器の振動まで体感でき、スピーカー付きリクライニングシートで聴いているよう。

音響は抑え気味で、無駄な響きが少ないため
弦の細かなパッセージまでクリアで、我々としては嬉しい音響。
ただ箱が小さすぎるので交響曲ともなると音量キャパ・オーバーとなるほど。
そこが嬉しいとも残念とも難しい気分になった。

ショスタコ、プロコ、ブリテンと目も眩むプログラムなのだが、
よくもまぁ私の嗜好を外した選曲ばかりを。



ショスタコーヴィチは交響曲を第15番まで作曲し、
本曲はその最期を飾る音楽なのだが、ウィリアム・テル序曲をパロディ化したり
ワーグナーのリングをオマージュしたりと、彼晩年と謂えども
遣りたい放題やってくれたのは流石だが、如何とも感心は出来ない。

これが第14番「死者の歌」で終わっていたり、第13番「バビ・ヤール」で
交響曲を終えていたなら、さすが20世紀交響曲作曲家ならではの
ラスト・ソングと重いのだが、この第15番を残したところがショスタコらしい。

本曲を採り上げたオケメンや、この曲を演奏した人はその真髄に気付いたで
あろうが、私はショスタキスト25年を越えた今でも、その真髄を掴めない。
まぁ、5〜6年前、ようやく第11番の素晴らしさにハマった自分だから、
いつか老境に挑んで、この第15番の良さに開眼できるのかもしれないが。



プロコフィエフ「ディヴェルティメント」にしてもそう。
非常に演奏頻度の少ない曲であり、それがアマオケで聴けれるなんて、
十年に一度の奇跡なのだが、プロコの中では全く眼中に無かった一曲。

ヤルヴィ(パパ)盤を持っており聴き返してみたが、
どうして「敢えて」本曲を選定したの?

楽譜が入手できたから?誰か本曲が大好きな人が居たから?
モーツァルトのディヴェルティメント(喜遊曲、嬉遊曲)とは
似ても似つかない音楽で、暗くは無いがウキウキする音楽でもなく、
なぜ作曲家がそう名づけたのか・・・。

演奏は、テンポが・・・。
私の演奏感想は「テンポが遅い」とばかり言っているが、
ある一定の演奏水準を維持できていたら、あとはテンポとデュナーミクなんだよね。

テンポだって、ただ速いのを望んでいるんじゃあ、ない。
速い中でフッと落としたり、ネットリと絡めたりするとこに味わいが
生まれるし、逆に異様なスロー・テンポを基本としつつ意図的にサラリと
すり抜けてしまう時にトキメイテしまう。

とにかく、テンポを大きな武器として捉えてくれる演奏スタイルに弱いのだ。
なかなかそういった演奏には出会えない。

テンポを安全設定に据えた代わりに、デュナーミクには大胆だった。
特に銅鑼のデカさは半端なく、小ホールだっちゅーの!
と言いたくなる鳴らしっぷり。

(隊長作)

2012年7月28日の定演は、ヒナステラ。
数年前、フライハイト響のヒナステラ「エスタンシア組曲」に嵌ってしまい、
CDも数種買って、一時はヒナステラ特集が脳内リピートされていた。

そのヒナステラを中心にプログラムを組むという、
これまた意欲的で大胆な姿勢。

まったく、東京のアマオケというのは、いくつか飛んでもない団体が存在する。


過去のコンサート感想。

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