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コンサート感想


2011年9月17日(土)15:00 文京シビック大ホール
文京シビック合唱団 芸大フィルハーモニア / 松尾葉子 指揮
 ラター : レクイエム
 ラター : グローリア



130人を超える大合唱団での、ラター/レクイエム。
個人的には少人数かつ室内楽編成の方が本曲には相応しいと思っていたが、
一糸乱れぬ大合唱が堂々と歌い上げれば、こころは大いに震え大感動した。

チカラ強いハーモニーが、ホールいっぱいに響き渡り、染み透る。
ホール全体が共鳴して、その響きが聴衆の心に伝わってゆく。
オケ主導でなく、合唱団主導のコンサートだけあって、
ここまで合唱の響きに、感動したのは初めてだった。

(隊長作)

ラターのレクイエム。
冒頭は陰鬱なチェロ独奏が朗々と蠢くんだが、さすが芸大フィル。

プロのたまごだけあって、
(※お知らせいただきました。プロオケさんだそうです。すんません訂正。∩(・∀・;))
音色も渋味も申し分なく、今から始まる鎮魂歌の前奏に、
相応しい見事な始まりだった。


3曲目ではソプラノ・ソロが歌うが、宗教曲ということを
よく理解したヴィヴラートを抑えた、やわらかな声質を生かした
温かい歌声が楽曲にぴったり。

このレクイエムは20世紀作品ながら、実に聴きやすく美しい。
それは現代のフォーレ/レクイエムと並び称されるてもいいもの。

しかし、それでも20世紀だなと感じずにおけないこともあり、
先に述べた冒頭チェロ独奏と、第5曲「アニュス・ディ」がそうだ。
神に救いを求めつつ、現世での如何ともし難い悲劇への感情の爆発、
それでも人は、神を畏れ縋ってしまう心理。

それらを見事に音化しており、怒りの日の高まる興奮は、
本曲最大のクライマックス。

怒りのあと、フルートが寂しく流れるのだが、
動と静の対比が、これまた心に染み入る。

終曲が、これまた素晴らしく、転調を経ることで
ステージが上昇してゆくような効果を生んでゆく。

そして、第1曲のメイン・テーマが、回帰してくるのだが、
ここに辿り着く変遷は美しすぎ。

魂が最期に辿り着くのは、やはり産まれた古里なのだろうと連想させる。

故郷へ辿り着こうと変遷する音の動きは深く、それだけに
メイン・テーマが、ようやく再登場するくだりは、本当に心がやすらかに癒される。

その旋律にはレクイエム・エテルナ(主よ、安息を与えたまえ)と
歌詞が附けられており、キリスト教の宗教音楽は実に考えて
創り上げられていると、感服してしまう。



さて、そんな文京シビック合唱団が、2012年も9月に演奏会を開く。
9月15日(土)15時開演、場所は文京シビック大ホール。
注目の演目は、オルフ「カルミナ・ブラーナ」。

しかも面白いのは伴奏が2台ピアノ&打楽器群編成で、
日頃、我々が聴き馴染んでいる管弦楽伴奏ではないこと。

カルミナは合唱の巧拙が、もろに演奏の良し悪しに反映されるから、
合唱を全面に捉えられる、この伴奏の方が面白いものが聴けそうだ。

ちなみに。
9月8日(土)14時開演、場所は横浜みなとみらい大ホール。
オーケストラ夢十夜が管弦楽版のカルミナを演奏する。
ここでは珍しい、「フィンジ : 弦楽合奏のためのロマンス」も、
プログラミングされており、これまた是非聴きに行こうと思っている。



過去のCD感想。

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