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コンサート感想


2011年11月12日(日)18:30 きゅりあん8階・大ホール
品川区民管弦楽団 / 工藤俊幸 指揮
 ロッシーニ : どろぼうかささぎ序曲
 ドヴォルザーク : スケルツォ・カプリチオーソ
 ショスタコーヴィチ : 交響曲第10番

(隊長作)


久々の大井町、きゅりあんホール。
前回行ったのは2006年2月11日、上野の森交響楽団(ブラ3)だった。
それ以来だから、実に5年半ぶり。

しかもその後、2013年2月現在、また行ってないので、
実に珍しい街とホールという事になってしまう。

この「きゅりあん」という意味は何かと調べると、
ラテン語「キュリア」=「集会所」から創られた
一般公募造語だそうで、なかなか洒落ている。

1074席というこじんまりしたサイズもいいし、駅前という立地もいい。
品川管はここをホームグラウンドとしていて、2013年5月には
チャコ「悲愴」「展覧会」を、2013年11月にはドヴォルザーク第5番と
ディーリアスを予定している。

たまにしか来ない大井町なので、何か大井町らしい店はないかと歩くと、
駅前から数分でありました。



とんかつ「丸八」。
粋な寿司屋みたいな店構えですが、「とんかつ」と白地に黒で
暖簾が掛かっています。ちょっと高そうですに見えますが、
こういったきっちり感のある店は旨いです。

暖簾をくぐると奥までカウンターがスーと伸びた店内は明るく、
清潔で機能的。職人さんが数人とんかつを揚げていて、
お客はおっさん一人かカップルばかり。

いいねいいね、こういう店は間違いありません。
メニューを見ると並カツ定食がサービス価格で1050円、
高いヒレカツ定食は1850円とバラエティです。



こういった一途な店に来たら手堅くとんかつを注文しときゃいいのに、
隊長は「わっ、ポークソテーがある!」といきなり変化球です。
しかしこういった店のサイドメニューも中々拾いもんがあり、
エビフライやハンバーグもありました。

いま考えると、とんかつやのハンバーグも絶対ありだったんですよね。

私はケチなんでサービス定食にしたんですが、これが予想を超える美味しさで、
棒ヒレカツか?と思うような柔らかい肉をパリリとしたコロモで揚げてました。

銀皿というのもイイ感じで、豚汁や漬物も絶品です。
これで1050円は安すぎ。今度行く時は上ロースカツ定食1550円に
してみようっ、と決意しているのです。



とんかつ談義をもう少しさせて頂くと、最近、吉祥寺の「美とん」に行きました。
ここはファミリービル地下1階にあり、ラーメン「さくらい」のあるフロアと
言った方が解り易いかも。

ここのとんかつは判りやすい形をしてまして、ワラジ型の平べったいとんかつを
縦横に切っており、一口が食べ易く、かつ沢山食べた気になります。

しかも身が柔らかく、付け合せの豚汁と漬物が盛ってあり、
旨いトンカツ屋は、豚汁と漬物が共通事項なのか。




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さてさて、音楽に話は戻りまして、コンサート感想。
ショスタコーヴィチの交響曲は全くスタンダードになりましたが、
それは第5番に限っての話で、それ以外は散発的なものです。

いっとき、第9番が多いかな、第1番をよく見かけるな、
といった時期もありますが、結局ショスタコと言えば第5番ばかりです。
第5番も実際聴いてみると「聴きに来て良かった」と満足してしまうんで
いいんですが、それ以外も佳い曲があるだけに残念でなりません。

ポスト・タコ5は、3曲候補があります。
第7番と第10番と第11番。

わたし的には第11番がイチオシなんですが、暗から明へと流れが解りやすく
五十分ちょいという演奏時間もいいのが第10番です。

この曲の最たる聴き所は、ラストのラストです。
交響曲の最後と言うのはどうしてもマンネリしてますよね。
ジャンジャン・ジャーンとかドンデンドンデン・ドン!みたいな
常套句になりがち。

もちろん消え入るように終わったり、アイブズみたいに
パッと意図的に終わらせる手法もあるけど、あくまでそれは天邪鬼。

その点、ショスタコ10番はのラストは見事なもので、
駆け抜けるような光の頂点に突き昇って行く上昇音形なんですね。
これを初めて聴いた時の高ぶりは、今でも思い出せますし、
その感じ方は衰えません。

意外とありそうで他に例を見ないラスト、それでいて
スカっとする終わりでいて、ちゃんと終わった感もする。

卓尾を締めくくるに相応しい、ショスタコ15曲の中でも最も美しいラストです。

品川管はその名の通り「区民」管です。
地域に根ざした地元オケで、品川と言う都会にあるけど
「区民」を外さないスタンスが安全性を感じます。

そんなオケがショスタコをやる、しかも第10番ときた。
当団は2004年に第5番とタヒチ・トロットを採り上げただけですから、
2回目のショスタコにして第10番に挑戦してしまったわけです。

アマオケを永らくやっている人には、お解かりでしょうが、
第10番を選曲会議で通すというのは至難の技です。

第5番演奏会の半分以上はスルーしてますが、第10番を
休日演奏するんなら余程の重複が無い限り聴きに行っています。

2014年以来の私のコンサート記録では、第5番は17回聴いてますが、
第10番はほとんどの演奏会に駆けつけているはずなのに6回しかありません。

第10番を6回も聴いていた事に今さら驚きですが、1〜2年に1回しか無い
というのが実情なのです。

そんな地域オケによるタコ十ですが、演奏は地域オケでした。
そもそも名曲なのに演奏頻度が少ないのは、楽曲難度が高い裏返しでもある。

しかし何年かに一度はこういった挑戦を試みる姿勢は尊いと思います。
手堅い交響曲や作曲家ばかりをグルグル回して「完成度を高めている」
と宣う楽団が多いですが、そういう楽団ほどマンネリで成長していません。

タコ十は難しかったけど、挑戦した人々しか掴めなかったものが、
品管には残ったと思います。


(隊長作)



過去のコンサート感想。

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