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コンサート感想


2012年5月3日(木祝)12:15  国際フォーラムA(5008席)
読売日本交響楽団 / 下野竜也 指揮
 モロソフ : 交響的エピソード「鉄工場」
 ストラヴィンスキー : 春の祭典

(隊長作)



2005年以来、久々に「ラ・フォル・ジュルネ2012」に行ってきた。

毎年テーマは変わるが、この年は「サクル・リュス」=ロシアの祭典。
大好きなロシア音楽特集です。

どうせならソビエト音楽特集の方が良かったんですが、それは贅沢過ぎるかな。
いつか北欧音楽特集、英国音楽特集の年が来て欲しいものです。

毎年ゴールデン・ウィークを利用して開催されますが、2012年は生憎の大雨。
雨は雨でも大雨とは、音楽祭に似つかわしくないほどの雨でした。

国際フォーラムは多数のホール・会議室からなる複合施設なんですが、
その中心に広場がある。ここに屋台が出て、オープンスペースの軽食が
摂れる仕組になっていたのだが、大雨。

高いショバ代払って(想像)出店している屋台にとっては、
許しがたい大雨だったろう。テーブルには大傘が付いてはいるんだけど、
横殴りの雨では無駄な抵抗だった。



プロ・オーケストラの演奏会は、基本Aホール。
この「国際フォーラムA」は本来、大発表会用なんでしょうな。
横に広すぎて、演奏会に全く不適格。

しかも、収容人数5千人という化け物ホールなので、
どんな爆演も、おとなしく聴こえる。

(隊長作)

逆に、一度その5千人ホールで聴いてみたかったので、今回チョイスした。
もう一つ、この演奏会をチョイスした理由は、モロソフ「鉄工場」。

シャイーのCDで、本曲を知った当時を懐かしく思い出す。
まさか、鉄工場が演奏される時代が来るとは感無量ですが、
最近は、トキドキ見かけます。

短い演奏時間、派手な音響、ショッキングでアバンギャルド。
それでいて面白く、興味深い時間内に音楽は終わります(飽きない)。
そんな大音響「鉄工場」でしたが、さすが5千人ホール、
驚くほど中くらいな音量でした。

これが5千人ホールの恐ろしさか・・・と感じ入ったのですが、
メイン曲「ハルサイ」で意外な感想を得ました。

指揮者下野竜也を再評価します。相当に良い演奏でした。
音楽祭のイチ演奏会に過ぎないのに、読響は頑張っているし、
下野の指揮が素晴らしい!

読響はトランペットが惚れ惚れと上手く、下野はストラヴィンスキーが
合っているのか、ハルサイが得意なのか知りませんが、とにかく
驚きの良演でした。

今後も下野竜也のハルサイは演奏されるでしょうから、
どこかでプログラムを見つけられたら是非みなさんも聴いてみて下さい。
下野のハルサイ、です。


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2012年5月3日(木祝)14:30  国際フォーラムB7(822席)
堤剛(チェロ)、テゼール(ピアノ)
 ショスタコーヴィチ :  チェロ・ソナタ
 プロコフィエフ : チェロ・ソナタ

(隊長作)



ラ・フォル・ジュルネの一回一回の演奏会は短い。

一時間前後で、1,500〜3,000円くらいの料金設定。
気軽にクラシックに触れて〜♪というコンセプト。

しかし、我が隊が行くコンサートは千円前後(もしくは無料)なので、
結構、大きな出費だ。

読響のハルサイが一時過ぎに終わり、大雨のせいで中央広場の屋台も
無理なので、有楽町近辺のガード下をうろうろ。



魚料理「玉菊」という熟年サラリーマン好みの定食屋を発見。
ここは当たり。私は赤魚の煮付け定食、隊長は焼き魚定食でした。



どちらの魚も身がホクホで、これで800円とはリーズナブル。
ランチ激戦区だからコスパ高いんだろうけど、我が町にも
こんな定食屋があったらなあ。



タコとプロコのチェロ・ソナタ。
アシュケナージとリン・ハレルのCDを、聞き込んだものです。
若い頃は、ショスタコ一本槍だったので、ショスタコをよく聴きましたが、
今じゃ、プロコの豪快なチェロ・ソナタの方が音楽的にも優れていることを
知っています。

そもそも、このソナタに対する作曲姿勢も違うでしょうね。
ショスタコは軽妙洒脱にサラリと、またそこに機知と情感を感じるべきだし、
プロコは、がっつり四つに組んでチェロ・ソナタには勿体無いようなチェロの
極限を探るような世界観。

ところが、箱(822席)がデカ過ぎた。
300人くらいの室内楽ホールだと、プロコの豪壮さが体感できただろうに、
822席の中ホールに、奏者2人は小さい。

堤さんも、ダイナミズムで勝負するようなお年じゃなく、
しみじみとした味わいを、小さな空間で共感したかった。

音楽を気軽に楽しんで、クラシックの良さを広げよう!というコンセプト
ですよね。その心意気は大賛成です。場所を有楽町駅のまん前にして、
みんなが行き易くしていることも解ります。

しかし、ホールがデカ過ぎる。
本能的に「思ったほど迫力ないな。クラシックって、こんなもん?」
と漠然と感じた初心者が多かったでしょう。

初心者を甞めてはいけません。奴等は感覚で本質に気付きます。
先入観がないだけに、クラシックへの期待値が高いし、その失望感も大きい。

そして、こう言うのです
「この前クラシックのコンサートに行ったんだけどさ、
あれ、大した事なかったんだよね(笑)」。

クラシック恐れるに足らず、と思わせてしまったら、
もう、来る事はないでしょう。

私は、ジャズに何度か挑戦してみたけど、良さがちっとも解らなかった。
それだけに、ジャズ・ファンに対して尊敬と嫉妬が残ってますもん。



室内楽プログラムが多いが、この方が少人数の奏者でプログラムが組めます。
でも、初心者のクラシックへの期待は「大オーケストラ」。
「ドワーン!パンパカパーン♪」のイメージが強い。

そう考えると、1,500〜2000人ホールにて、三十分くらいのロマン派交響曲を
延々やっている方がニーズには合うのでは?

私的には詰まんないですが、クラシック・ファン普及のためなら、
有名交響曲を低額大量提供した方が、目的にマッチすると思うんです。

ベートーヴェンの交響曲連続演奏会(大晦日)なんかを聴くと思うんですよね。
なんだかんだ言っても、楽しい♪・・・と。

シューベルト、シューマン、ブラームス、ベートーヴェンあたりの
三〜四十分の交響曲を、フル・マラソンで演奏し続けるプログラムは、
面白いんじゃないか?

管楽器を休ませるため、途中、弦セレ(チャイコ、エルガー、ドヴォルザーク)や、
ディベルティメント(モーツァルト)を混ぜてもいいですね。

とにかくピアノや室内楽好きには申し訳ないですが、「交響曲」祭り的な方が、
初心者には願ったり適ったり、かと思うんですが・・・どうでしょう?

それと、五千席のホールだとか、室内楽を八百席の中ホールでやるな、
と言いたい。折角の料理も、冷めてしまえば台無しみたいなもん。

採算が合わないと仰るでしょうから、そこはアマオケをボランティアで
活用して欲しい。




(隊長作)

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