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CD感想


ステーンハンマル 交響曲第2番  (2005年1月)
P・ヤルヴィ指揮  ロイヤル・ストックホルム・フィル
(Virgin Classic 7243 5 45244 2 4) 輸入盤

ステーンハンマル 交響曲第2番

【 秘曲さがし 】

私の音楽の旅は、高校時代のベトベン・ハイドン、そして
モーツァルトから始まり、高校二年生の時のマーラー復活(第二番)との出会い、
ブルックナーやショスタコへの陶酔...。
中期ロマン派をすっぽかして大人になってゆきます。

大学ではオケの演奏曲の関係で渋々シューマンやメンデルスゾーンといった
名曲路線も聴くんですが、結局このあたりで音楽ファンの方向性は双手に
別れるのだと思います。

(隊長作)

ひとつはそう!バッハです。
原点に帰ると申しましょうか、本質を辿ろうとするのか、
音楽の源泉探しに走るのです。

もう一手は「秘曲さがし」。
これは現代へと向かいやすいです。
国民楽派やバルトークに行き着く人もいれば、ショスタコから派生して
グバイドゥリーナやシチェドリンといった現代音楽、いやいやウィーン楽派から
ドイツやフランスのガチガチの現代(実験)音楽。

私は音楽の三大要素である、メロディ・リズム・ハーモニーの中では、
ベタな考えではありますが、メロディを最も大切にしたい。
メロディの弱い音楽は、メロディ創作能力が無いことを
カモフラージュすべく珍奇な音響効果に逃避してる事が
多いんではないかとさへ思えてきます。

こんな私ですが、私はこの二十年、
絶えず未知なる名曲・佳曲を探すことを喜びとしてます。
隊長と出合って、名曲の名演奏探しの面白さにも開眼したのですが、
我々二人の所有CDはかなり系統が違ってました。

隊長は一つの楽曲についてかなりの同音異盤収集、
ワタクシ隊員は一種でも多くの楽曲を収集。
こんな二人の所蔵CDがひとつになったのですから、
なかなかのコレクションになっていると思います。
と言っても、この手の大マニア様から見れば子供だましなんですがね。

(隊長作)

さて、本年になって未だ一度もコンサート会場に足を踏み入れていない我が隊。
コンサート感想は書きようもないですが、
皆さんにお話したいCDについては山のようにネタがあります。
ただ、どういった系統を書いていったら良いものか、苦慮してるんです。

本来ならそろそろブラームスだとかチャイコの取っておきを
お話しするんだろうけど、こういった名曲はまさに「人口に膾炙」されており、
我々が敢えて声高に叫ぶ必要があるのか疑問なのです。

かといって、独りよがりな「そんなに佳い曲かなぁ?」という程度の
楽曲はお薦めしたくありません。
誰がどう云おうが、間違いなく大音楽です!と我が事のように
自慢したくなるような名曲名盤を書きたいと思うんです。

前置きが永くなりましたが、そんな曲を今日も書きたいと思います。

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秘曲さがしの人間にとってナクソス・レーベルは、全くもって重宝な存在。
私がこの楽曲に知り合えたのもナクソスのお陰です。

ナクソス盤ではペッター・スンドグヴィストという日本では絶対
人気の出ないであろう可哀想な名前の指揮者なんですが、
この人がロイヤル・スコティッシュ管弦楽団とつくり上げる音楽は
実に自然で、永らく私はこの演奏で十分堪能してました。
千円以下で購入できるヴァリュー・プライスも考慮すれば、
相当な名盤だと思います。

ただ、一枚しか知らないのにその音楽とCDをお薦めするのは
なんだかなぁと思い、最近パーヴォ君の盤を購入しました。
買って聴きまくって一週間になるんですが、約二千五百円も
出して買っても損は全くなかった名演奏です。
私なりにはもう少しエグイ解釈もいいんですが、
ナクソス盤と比べると遥かに彫琢の深い造り込みです。

いきなり演奏比較から始めてしまいましたが、楽曲そのものが一級品です。

スウェーデンが誇るまさに「なぜブレイクしない?」作曲家です。
楽想はシベリウスと似ていますので、シベリウス好きな方なら
直ぐに受け入れてもらえるでしょうが、ヴォーン=ウィイリアムズの
思想的な深さも持ち合わせていて、聴けば聴くほど味わいが出てきます。

そう、今回もP・ヤルヴィという2種目の盤を聴き比べただけで、
もうかなりの演奏の違いが堪能できるわけですから、指揮者としても
いじくり甲斐のある楽曲なのでしょう。

聴き始めた当時は、第1楽章が大好きでした。
勇壮で民族的な、それでいて朴訥な第一主題から一転して、
捻(ひね)り返るような哀切極まりない第二主題。
この第二主題の寂しさが堪(たま)んないです。

(隊長作)

「何か佳い曲はないもんかのう?」なんてお困りのあなたには、
大プッシュの一曲です。

この曲を聴き始めて7〜8年になると思うんですが、
今更ながら最終楽章の構造の壮大さと深遠さに陶酔しています。
私の大好きな「フーガ」が中心となって組み立てられている。
いくつかの主題が手を変え品を変え、これでもかこれでもかと
攻め寄せてくるのですが、その後に応答してくれる旋律が
涙チョチョ切れる熱いパッセージで、ティンパニがドドン♪と
追い討ちを懸けるのも堪んないです。

音楽は悲劇の真っ只中で終わりを告げるんですが、シベリウスの1・2番を
凌ぐ完成度があると私は思います。

大問題は実演のご縁が全くないこと。
北欧のオケがプログラムに盛って来ないのは勿論のこと、
国内のプロ・アマ問わず演奏したのはいつのことなんでしょうか?
ステーンハンマルの序曲「エクセルシオール!」は13分ほどの
短い曲ということもあって、序曲で演奏されたこともあるんでしょうが、
今回の交響曲第2番は45分前後なので、気安く採り上げるわけにも
いかないのでしょう。

そこで是非、弊誌メルマガをお読みの読者様には、この曲を聴いて頂きたい。
パーヴォやネーメのヤルヴィ親子の盤は二千五百円余と高額な一枚ですが、
演奏は良いと思います。

また、ナクソス盤は千円を切っている販売店が多いですから、
発見され次第聴いて頂きたいものです。
そしてアマオケ・メンバーの方なら、選曲会議で。
コンサート・ファンの方なら、コンサートのアンケート等で
「ステーンハンマルの第2番」を推挙して頂きたいものです。

人はそれぞれ千差万別。
今回の楽曲が万人に即効で、愛聴して頂けるとは思っていませんが、
聴けば聴くほど発見と喜びに溢れた音楽である事には、嘘偽りはないんですよ。

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【追伸】

パーヴォ・ヤルヴィ盤を25百円ほどで購入した、と書いたんですが、
先日某巨大CD店に行ってみますと、この盤が15百円を切った価格で売られてました。
ヴァージンめ、再発売しやがったようです。
ですから、この盤、今こそが買い時です。
逆にナクソス盤は売り切れ品切れ状態のようです。
5百円程度の差なら、断然パーヴォ盤の方がお薦め。

また、父ネーメ・ヤルヴィ盤(BIS)も入手しました。
まだ聴いてませんが、もしあまりにも良かったら「追伸」したいと思います。

コンサート感想。

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