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コンサート感想


2012年3月20日(火祝)14:00 サントリーホール
早稲田大学交響楽団 / 山下一史指揮
 R・シュトラウス : アルプス交響曲
 R・シュトラウス : 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲル」
 由谷一幾 : 和太鼓と管弦楽のための協奏曲

(隊長作)

以前は溜池山王駅から長い地下通路を歩いたものだが、
六本木一丁目駅が出来てからは、専らサントリーへはこの駅を使う。

溜池山王より格段に近くなったが、この駅もアークヒルズ前とはいかず、
地下道を数分歩かねばならない。



エレベーターで地上に出ると、六本木スペイン坂に出る。
この坂道の両脇は見事な桜並木で、桜が坂道を覆いかぶさるように
覆い茂っている。3月20日では芽吹く前の黒い枝ばかりだったが、
桜の名所だそうだ。


※2012年4月9日な写真♪




せっかく赤坂六本木まで出っ張ってきたのだから、旨い店でランチ
と洒落込みたかったが、開演ギリギリに到着したのでランチは断念。

終演後、アークヒルズのいつものカレー屋「フィッシュ」で
キーマカレーを食べた。



アークヒルズ飲食街という好立地を差し引いても、もっとこのカレーは
話題になるべきだ。いつ行っても座れるのでありがたいが、話題になって
行列店になっても困るね。




ワセダのオール・リヒャルト・プログラムという事で、
随分リキが入ってるなーと入場。

ところが、前プロ「グントラム」第1幕前奏曲がカットされ、
由谷一幾「和太鼓協奏曲」に曲目変更。

ワセダは和太鼓が大好きというか、得意のパーカス部隊があり、
欧州公演で、大成功を修めた和太鼓協奏曲を披露しちゃおうっ!となったようだ。
和太鼓の変幻自在な超絶変奏曲で、うーん、凄いけど、凄いけどなぁ、
と思うしかない曲。

そもそも超絶技巧な協奏曲が私は嫌いで、プロコのピアノ協奏曲第2番(キタエンコ盤)と
チャイコのヴァイオリン協奏曲(コシュラー盤)くらいしか超絶技巧モノを楽しまない。

リストとかショパンを、ホンモノのスーパーテク演奏で触れてないから
先入観が入ってるんだろうが、聞こえよがしにテクニックを曝け出している楽曲が
好きになれない。

体操とかフィギアスケートが、好きになれないように、
技巧に、純粋な感動ができない性質なんだろう。



アルペンは、パイプオルガンが加わっている。

CDではあまり聴き取りづらいが、実演だとこれが堪能できる。

この時座ったエリアが、あまり音が来ない、大音響を120%で
堪能できないゾーンだったので「失敗席だった」と思っていたが、
弱音部やオルガンの音だとよく届き、実演ならではの面白さが満喫できた。

早稲田大学交響楽団は、現在、大学オケとして、
最も、組織的かつ技巧的に優れた楽団だろう。

それはココのHPをご覧頂ければ、流石に誰も否定できない。
年十回以上の国内演奏会、海外ツアーに出れば独墺の十数ヶ所の都市で演奏会。

もう大学オケでは、括れないレベルにある。
それだけに、リヒャルト演奏は安定感バツグン。
演奏に対して心配するどころか、あまりに当然な安定感で、逆に怖い。

ここまで鍛え上げるには、膨大な努力と練磨が基礎にあるんだろうが、
演奏として面白かったか?と問われれば、素直にうなづけない。
なぜだろう?
なぜだ?

つんのめりつつ、勢いだけで持ちこたえ、押しに推す学生オケだと興奮する。
学生の演奏は技術が不揃いで、情熱だけで繋がっていることが多い。
精神論というか、感情論と言うか、そういった青臭い演奏には
照れ臭くもあるが、心打たれる。公立の高校野球みたいな感情がある。

一方、ワセダの演奏は出来上がっており、これはこれで文句の付けようが無い。
ここまで到達するのに、彼らがどれほどの汗と涙を流したか考えると、
畏れ多くておいそれと批評しづらい。

努力のあとさへ見出せないほど完成した演奏を、学生オケが、
しかもあのリヒャルトを!

そうも考えつつ、こうも思いは巡る。
これほどの技術で組み立てられた音楽なのに、感動できないのは何故か?
統率者(指揮者)か?
感情表現がクールなのか?
一音たりともミスしまい、という演奏を目指しているためか?

ミスは減点となるが、点数化できないパッションはミスを誘発する
リスクとなるのか?

一度、練習指揮者のもと、ゲネプロでも聴いてみたい。
各人がやりたいようにやってみて良いよ、といった遊びを聴いてみたい。

一人でも多くの人の心を、わし掴む演奏を目指して欲しい。
それが可能な楽団だけに、どうも勿体なくてならない。




(隊長作)

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