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コンサート感想


2012年3月24日(土)15:00  東京文化会館
音楽大学フェスティバル合同オーケストラ / 外山雄三指揮
 武満徹 : 弦楽のためのレクイエム
 ヤナーチェク : シンフォニエッタ
 R・シュトラウス : アルプス交響曲

(隊長作)

演奏会は15時開演だったので、高田馬場、旬彩酒場「和(なごみ)」で食べた。
14時開演が一般的だが、15時開演だと時間的余裕があって助かる。
経った1時間の違いが、ランチを取る街の選択にも幅が出る。

上野は言わずと知れた北への玄関口だが、文化会館周辺は上野公園に包まれ、
飲食店が乏しい。


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実際の上野飲食街は、上野駅広小路口(南口)から御徒町にかけての
アメヤ横丁に伸びている。

しかし観光客目当ての割高な料金も多く、料理屋より飲み屋が多い。
喫煙率も高いので、どうしても足が向かない。

北から上って来た人には上野は居心地いいのかもしれぬが、
西から来た私は好かない。上京した頃は渋谷で遊び、
その後転居したため、池袋の乗換えで馴染み、今は新宿が多い。

そんなワケで今日はババで食べた。
「和」が入ってるビルは芳林堂が入ってる高田馬場FIビル。
地下と2階が飲食街で、地下のとんかつ屋「とん久」がいつも混んでいる。

今の「和」はどうなってるかな?とネット検索したら、なんと閉店してる模様。
かなり旨かっただけに、残念。でも自分だってあのとき以後行ってないんだもんな。
鰆の西京漬焼き定食と、マグロ漬け丼を食べた。



さて、今回は音大合同オケ。
すっかり恒例化し、毎年楽しみに聴いている(選曲次第だから2014年は行かない)。

音楽を研究しているアカデミーでもあるんだから、日本初演とか、
幻の復活蘇演なんて珍曲も織り交ぜて欲しい。

リヒャルトのアルペンにヤナーチェクのシンフォニエッタと、
採り上げずらい曲をチョイスした点は評価大。

だけど、R・シュトラウス「アルペン交響曲」はアマオケに今、大人気なんだよね。

途方もない巨大で複雑な後期ロマン派の大巨峰みたいなイメージがあるのだが、
きちっと足場を固めて練習を積み重ねれば立派な演奏が出来上がる。
ワセオケや新響、ルスコに京大響なんかの演奏が思い起こされる。

この演奏会の一週間前にワセオケで聴いたばかりで、
アルペンが2週連続で聴けるなんて、一生に一度かもしれない。

ワセオケは何と前プロでアルペンを採り上げたが、今回はまっとうにメインで演奏。
中プロのシンフォニエッタは意外と演奏されているが、どこに人気があるのか
さっぱり解らず。解らずと言えば、武満徹。

武満が死んだ頃はあっちもこっちも前プロに武満の前プロがくっついていたが、
最近は滅多に聞かない。伊福部や芥川は好きだが、武満には全く共感できないので、
武満ブームが終焉してきたのは本当喜ばしい。

20世紀音楽と言っても、タイプが多岐に分かれ、十把一絡げに言えない。
マーラーやR・シュトラウスが好きな人は多いが、そんな人が
現代ドイツ音楽も好きかと言うとそうではない。

20世紀の欧州各国で流行った国民音楽、代表例ではバルトークや
今回のヤナーチェク、シベリウスなんかもそうだろう。

私はシベリウスは好きだが、ヤナーチェクやバルトークは
真摯に聴き込んだ時期もあったが好きになれなかった。

それでいてオネゲルは大好きになったし、英国音楽や北欧音楽は手放しで大好きだ。
イタリア現代音楽は関心薄いが、マリピエロとレスピーギはここ十年滅茶苦茶
よく聴いている。

そんな訳で、20世紀音楽とは国だとか主義だとかで分類しづらく、
Aタイプが嫌いでも変形Aタイプになると琴線に触れるという面白さがある。
そんな事情がありまして、武満とヤナーチェクの感想は何もありません。



アルペン演奏は、実に完成度が高かった。
音大の妙手が揃っただけあってテクニックは当然のこと、
アルプスの山々を築き上げる構成力も表現できていた。

金管が前面に出て来るイメージがアルペンにはあるが、弦楽器の音圧が分厚く、
弦も管も重層的な厚みのあるサウンド。

一週間前のワセオケを聴いたばかりの耳でも、音大合同の音に感心できたんだから、
相当素晴らしかったことの証明になると思う。

個別には、チェロのゴリゴリ感、ティンパニの胸のすくような豪砲。
音大のイイ子ちゃん・お行儀良さなんて枠組は無く、実に楽しい演奏だった。
また、弦楽器はリヒャルト独特のうねりが表現できていて、
リヒャルトならではの世界観も出来ていた。

アルペンと言えばパイプオルガンだが、東京文化会館はパイプオルガンが見当たらない。
当日の演奏は普通のオルガン?を使ったためか、音量は当然小さく、
アルプスの神々しさは少し欠けた。

一週間前のサントリーホールのパイプオルガンを間近で堪能したばかりだっただけに、
猶更そう感じたのかもしれない。

こういったパイプオルガンの効果うんぬんを言う奴がいるからいけないんだけど、
決められた会場でアルペンを決行した「英断」こそ評価したい。

選曲会議で、すぐ、ハープは費用が掛かるとか、ワーグナーチューバの調達をどうするだとか、
確かに実務で直面する難題だが、安易な道を選ぼうとする輩が多かった。

ハープが高いんならシンセサイザーでハープもどきにすればいいし、
パイプオルガンが無いならシンセサイザーにすればいいし、
ワーグナーチューバが無けりゃホルンとボーンに割りふりゃいい。
要はやることが重要で、やるための方策は後で代替案を考えればいい。

もう一つ言い忘れた。
舞台裏の大量ホルン群がいい味だしてた。

表舞台と裏との掛け合いが実にサマになってて、
CDでは味わえないライヴならではのこだまのような音響に興奮した。

アンコールは外山雄三「ラプソディ」。
しかも指揮者は外山雄三。
作曲者自身の貴重な自作自演ライブだ。
しかも今月3回目の「ラプソディ」とは、どんだけ「ラプソディ」漬けなんだ。

何度も聴いて解ったのは、「ラプソディ」には、ショート・ヴァージョンと
ロング・ヴァージョンがあること。
何度聴いてもウキウキしてしまう。やっぱり日本人だ。




(隊長作)

過去のコンサート感想。

「アルペン」な感想♪

2012年3月20日(火祝)14:00 サントリーホール
早稲田大学交響楽団 / 山下一史指揮
 R・シュトラウス : アルプス交響曲
 R・シュトラウス : 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲル」
 由谷一幾 : 和太鼓と管弦楽のための協奏曲
2011年10月2日(日)14:00 新宿文化センター
早稲田大学交響楽団 / 田中雅彦 指揮
 ブラームス : 悲劇的序曲
 R・シュトラウス : 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
 R・シュトラウス : アルプス交響曲
2010年5月29日(日)18:30  岡谷市文化会館(カノラホール)
諏訪交響楽団 / 濱一、守山光三 指揮
 ウェーバー : 「魔弾の射手」序曲
 シューマン : コンツェルトシュテュック
 R・シュトラウス : アルプス交響曲
2010年2月20日(土)14:00  サントリーホール
大阪フィルハーモニー交響楽団 / 大植英次 指揮
 シューマン : ピアノ協奏曲
 R・シュトラウス : アルプス交響曲
2009年12月12日(土)18:00  京都コンサートホール
立命館大学応援団吹奏楽部
 レスピーギ : ローマの祭
 R・シュトラウス : アルプス交響曲より 他
2009年7月18日(土)14:00  東京芸術劇場
オーケストラハモン / 橘直貴 指揮
 オネゲル : 交響曲第3番「典礼風」
 R・シュトラウス : アルプス交響曲
2009年6月28日(日)14:00  すみだトリフォニーホール
ル・スコアール管弦楽団 / 千葉芳裕 指揮
 プロコフィエフ : スキタイ組曲「アラとロリー」
 R・シュトラウス : アルプス交響曲
2007年5月12日(土)18:00  京都コンサートホール
京都市交響楽団 / 大友直人 指揮
 モーツァルト : 交響曲第41番「ジュピター」
 R・シュトラウス : アルプス交響曲
2004年10月16日(土)15:00  NHKホール
NHK交響楽団 / アシュケナージ指揮
 シューマン : ピアノ協奏曲イ短調 (H・グリモー)
 R・シュトラウス : アルプス交響曲
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